10市町の内訳は、原発立地県の鹿児島県で、出水(いずみ)市、伊佐市、日置(ひおき)市、肝付(きもつき)町、南種子(みなみたね)町、屋久島町の3市3町。熊本県では、荒尾市、水俣市、大津(おおづ)町の2市1町。宮崎県は高原(たかはる)町です。
九電は「再稼働に当たって住民の理解と協力が必要」といいつつ、自治体の議会決議を無視し、これまで一度も住民説明会を開いていません。再稼働に走る九電とともに、説明会の開催を促そうとしない国の姿勢に批判の声が高まっています。
熊本県水俣市議会は7月2日、「水俣市での住民説明会開催に関する決議書」を全会一致であげました。決議書では、再稼働について「国民の同意が得られているとは到底いえません」と強調。川内原発について、「地震問題、火山問題、過酷事故対策、使用済み燃料、避難計画など、安全上の問題が数多く指摘されています」としたうえで、「40キロの距離にある水俣市民は、再稼働されることに不安を持っています」「住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として、責任のある態度とは思えません」と厳しく批判しています。
福井地裁は昨年5月、大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決を出しました。採択された多くの決議は、この判決から「原発から250キロ圏内の住民に具体的な危険があり人格権が侵害される」を引用しています。
例えば、宮崎県高原町。川内原発から250キロどころか69キロの地点です。採択された陳情書は「川内原発で重大事故が起これば、壊滅的被害を受けます」と警告。汚染が万一およばなくても避難者受け入れの問題などが生じるとして、「高原町で公開での住民説明会」の開催を求めています。
また、鹿児島県日置市では「再稼働に当たって住民の理解と協力が必要だ」との九電のいい分を引いて、「市民の生活圏内外が30キロ圏内外という至近距離にあることを考えれば、市民に対し公開の場で事業当事者である九州電力が説明会を開催するのは当然のことです」と結んでいます。
1993年に日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島町議会も、住民説明会を求めています。