主張
安倍総裁記者会見
強権政治は“経済”でだませぬ
安倍晋三首相が総裁に再選された自民党両院議員総会でのあいさつとその後の記者会見を聞いて強い怒りを禁じ得ません。国民の強い反対を押し切って戦争法を成立させて最初の公式の場での発言です。にもかかわらず、総会あいさつでは短く戦争法について「国民に説明していく」とのべたものの、記者会見では一言もふれなかったのです。その代わり、国内総生産(GDP)600兆円実現を持ち出すなど経済に焦点をそらすねらいは明白です。バラマキで強権政治はごまかせません。安倍政権を続ける有害さは明らかです。
戦争法への怒り収まらぬ
戦争法成立後、安倍首相は短いインタビューは行いましたが、記者会見は開いていません。連休中はゴルフざんまいでした。成立後最初の記者会見が総裁再選後の自民党本部でしたが、その場でさえ戦争法にふれなかったのは、首相に国民の批判に向き合う自信もなければ立場もないことを浮き彫りにしています。質問も出ません。
戦争法成立後、国民の怒りは収まるどころかいよいよ燃え盛っており、連休中も国会周辺など各地で、廃止を求める行動が繰り広げられてきました。日本共産党の志位和夫委員長が呼びかけた、戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府実現の提唱にも、各界から強い反響と期待が寄せられています。
戦争法強行直後の世論調査でも、戦争法「反対」が51%(「朝日」)、成立を「評価せず」が57%(「毎日」)など、多数が反対しています。採決の進め方が「よくない」や審議が「不十分」も7、8割にのぼります。内閣支持率はすべての全国紙と共同通信の調査で不支持が支持を上回っています。
こうした状況にもかかわらず、安倍首相が両院議員総会のあいさつで、「平和安全法制は国民の命と暮らしを守る必要な法制」とこれまでの説明を繰り返し、「(戦争法などといった)デマゴギーには負けない」と絶叫したうえ、記者会見では一言もふれなかったのは、国民にまともに説明する気がないといわれても仕方がありません。
安倍首相は国民の批判に、あとで「説明する」とさえいっておけば、そのうち忘れてしまうとでも考えているのか。戦争法案審議の最終盤、安倍首相は「成立した暁には時を経ていく中において間違いなく理解が広がる」と強弁しました。自民党のある閣僚経験者は「連休を過ぎればみんな忘れる」とまでいったと報じられています。安倍首相が国民の声にこたえようとせず、時間の経過を待つだけという姿勢をとるなら、それは国民を改めて愚ろうし、民主主義を否定するものです。政権を担う資格がないことの証明です。
破綻したアベノミクスで
安倍首相が会見で、今後は経済政策に軸足を戻す姿勢を示し、GDP600兆円を目標に持ち出し、「新3本の矢」に取り組むなどとしたのは、それこそ二重三重に国民をばかにした態度です。首相が看板にしてきた「アベノミクス」は破綻し、GDPは昨年の消費税増税後、今年度も2年連続でマイナス成長といわれる状態です。これでどうしてGDP600兆円などが目標になるのか。
安倍首相にこれ以上政権を任せることはできません。安倍政権を打倒し、戦争法廃止の国民連合政府を国民の手で実現すべきです。