厚生労働省は17日、東日本大震災の津波被災地の高台移転に伴う土地・建物の売却で一時的に所得が増えた高齢者について、介護保険料などの負担が増えないように所得の算定方法を見直すことを決めました。災害や公共事業のため土地を売却した場合も対象とします。同日の社会保障審議会介護部会で了承されました。

 被災者の要求と日本共産党の小池晃参院議員の追及が動かしたものです。

 65歳以上の保険料などは所得で決まりますが、不動産の売却収入は控除されません。被災地の高台移転や公共事業で不動産を売却した人の負担が急増し、見直しを求める声が上がっていました。

 新算定では、基準となる所得額から不動産の売却収入を差し引く方法に変更。保険料、利用者負担、施設入所者への食費・居住費補助「補足給付」などで負担が軽減されます。

 実施時期は、「補足給付」で課税世帯対象の第4段階が今年8月から。2015年1月以降の売却収入に適用されます。それ以外の利用者負担軽減は18年4月から実施。一方、保険料の軽減は自治体判断で17年4月から実施できます。控除対象となる高齢者は推計で年13万人。「補足給付」の対象者となるのは2000人。

 小池議員は15年4月の国会質問で、岩手県陸前高田市で集団移転事業に伴い介護施設利用料が年80万円も増えた実態を示し、「津波や震災被害で売らざるをえないのに大幅な負担増になる。緊急に是正が必要だ」と求めていました。