14日の日経の1面に以下のような特集記事が掲載されていた。


HX4HOALc_normal.jpg天野 統康@amanomotoyasu 

マネー膨張、躍らぬ経済(モネータ 女神の警告):日本経済新聞 https://t.co/VxQUIamWOG 世界の通貨供給量の増加に対してGDPが伸びにくくなり通貨供給量とGDPの関係が乖離してきた、という記事。70年代以降の先… https://t.co/lRZX2EmKsv

2017年11月17日 23:40


記事には以下のように書かれている。


「世の中に出回る現金に預金を足した通貨供給量(マネーストック)は、実体経済の規模以上に膨らんできている。

世界銀行の統計をもとに算出した2016年の通貨供給量は、87.9兆ドル(約1京円)。

世界の国内総生産(GDP)総額よりも16%多い。

00年代半ばまでの半世紀、マネーの増加は実体経済の成長とほぼ軌を一にしてきた。それが09年以降は

マネーがGDPを大きく上回るようになった。乖離は年々鮮明になっている。」



つまり、中央銀行と民間銀行が作り出している通貨供給量は、リーマンショック以降、GDPを大きく上回る

規模で拡大を続けている。


GDP取引(実体経済)に使われないで、だぶつくカネ余り現象が起きているという事だ。


記事では09年以降と述べているが、それはあくまでも世界での話である。

この現象は、多くの主要先進国では70年代以降、一貫して見られてきた現象である。


つまり、GDP取引の増加率よりも、通貨供給量の増加率が低い状態が恒常化しているのである。


これを、主流経済学の基本的な考え方になっている

「貨幣数量説に基づく交換方程式」

で通貨供給量とGDPの関係を表す式にすると以下のようになる。


通貨供給量×通貨供給量の流通速度=生産量×商品価格


式の左側の通貨供給量は、現金と預金の総額だ。

「流通速度」とは、通貨が市場でどれくらいの回転数で取引されているのかを表す数字である。

式の右側の「生産量」の増減は「実質GDP」を表し、「商品価格」の増減は「物価」を表す。

そして、生産量×商品価格は、「名目GDP」を表す。


式の左側の通貨供給量の増加率よりも、右側の名目GDPの増加率が低いのが

70年代以降の日米欧でおこり、09年以降は世界中で起きている現象だ。


そうなると、必然的に、式の左側の「流通速度」の数字が下がることになる。


つまり「通貨供給量の流通速度の低下」である。


これが長い間、主流経済学では「謎」、とされていた。


なぜなら、長い間経済学では流通速度は基本的に一定と考えられていたためだ。

フリードマンらのマネタリストは、流通速度が一定なのだから、中銀が通貨供給量をコントロールすれば

経済は必然的に拡大する、と述べてきた。


しかし記事でも指摘されているように、近年では通貨供給量を増加させても、生産量にも物価にも反映されにくくなっている。


この流通速度の低下の謎を世界で初めて解明したのは、リチャード・ヴェルナー氏であろう。


2003年にヴェルナー氏は流通速度を、通貨供給量ではなく、銀行貸し出し(つまり信用創造量)によって

計測することで、実体経済向けの流通速度は下がっておらず、ほぼ一定であることを解明した。



それは以下のような公式を作りだしたためだ。


実体経済向けの銀行貸し出し×流通速度=名目GDP(生産量×商品価格)


銀行貸出総額からGDP取引に含まれない金融経済向けの銀行貸し出しを省いて

実体経済向けの信用創造に限定して計測した。


(下記グラフ)

(上記図 拙著 「サヨナラ操作されたお金と民主主義」から転載)


上記図の79年から2000年までの左軸の実体経済向けの信用創造量の流通速度は、ほぼ一定である。

一方で右軸の通貨供給量の流通速度は下がり続けている。


今回、2003年以降の実体経済向けの信用創造量の流通速度と、通貨供給量M2の流通速度を私が作成してみた。

(下記グラフ)


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実体経済向けの流通速度(左軸)はヴェルナー氏の計測とは少々違うために、

数字が若干変化しているが、それでも1,4前後で推移して、安定している。

一方、通貨供給量M2の流通速度(右軸)は、0.77から一貫して下がり続け

0,55になっている。

流通速度が下がり続ける理由は、不動産や為替、先物などのような金融経済向けの取引が拡大しているためだ。


主流経済学では、通貨供給量で交換方程式を計算する。

通貨供給量では、実体経済向けと金融経済向けに分割することが不可能なのである。

預金を分割することはできないためだ。


一方、預金と同時に発生する銀行貸し出しは、実体経済向けと金融経済向けに分割することができる。

そのために、流通速度の低下の謎と、実体経済の流通速度が一定であることを明らかにすることができる。


しかし主流の経済学では、アダムスミス以来、250年にもわたって信用創造の仕組みについてタブー視してきた。

信用創造の仕組みが景気変動に与える影響を理論として構築してこなかったのである。


そのために、景気対策と称して、実体経済向けの信用創造を増加させず、金融経済向けに資金供給が

大規模になされる日米欧の中央銀行による量的緩和政策が正当化されてきた。


金融経済にお金が作られれば、債券、株、不動産などの資産価値が上昇するのは明らかである。

いっぽうで 実体経済にお金は回りにくいために物価は上昇しない。





その結果、以下のような超格差社会が意図的に創られたのだ。

meyGuKRl_normal.pngtonton42@ton_ton_42 

米国で進む富の集中、上位3名の資産が国民50%の合計以上に https://t.co/ztdevMh8tT ワシントンDCを本拠とする左派系シンクタンク「Institute for Policy Studies(IPS)」の作成… https://t.co/mLgVTRpcDH

2017年11月13日 14:24

この主流経済学の詐欺の仕組みを図解すると以下のようになる。





現在の自由民主制度は次の図のような状況にある。






このマインドコントロール体制を次の図のように変化させなければならない。

 

 

 

 

日米欧の自由民主制の問題点の詳しい解説はこちらの本をお読みください。

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■出版関連


<リンク>先月号に続きザ・フナイ12月号に船井氏と安西氏と私の鼎談掲載 危険な金融資本から日本は離れるべき






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