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【図説 銀行の歴史 エドウィン・グリーン著 石川通達 
監訳 関哲行/長谷川哲嘉/松田英/安田淳 
1994年 原書房】 

現在の国家債務の原因となっているのが政府が通貨発行権を行使できない
システムである。
その歴史的経緯について。



前回の

<リンク>図説 銀行の歴史 エドウィン・グリーン著 を読む 1

の続き。

欧州で銀行業が国家に対して貸付けを行ってきた事例について

 

(銀行の歴史より転載)

P37

【1572年以降、スペイン、フランスそしてイングランドまでも戦争に巻き込まれそれぞれ戦費を
確保するために、イタリアとドイツの銀行家の介在が必要となった。】

P38

【16世紀を通じてフッガー家やジェノヴァ人銀行家は、国家への信用供与において本質的に
革新的企業家の役割を演じた。】

P39

【国家への信用供与に関するより永続的で制度的な方式が確立されてはじめて、銀行業の
安定性と、さらに大きな財源確保が可能となる。
銀行業の発展におけるつぎの段階で顕著となるのは、まさしくこの公共部門ならびに民間へ
の融資の純化であった。】

P44

【イタリアの都市国家にあっては、公債管理を銀行の手に委ねようという伝統は、13世紀に
さかのぼる】


欧州では16世紀から民間銀行による国家への貸付は盛んになった。
中央集権的な国家の登場による戦争の大規模化が原因である。

とはいえ、絶対王政と言われる欧州の王たちの権力は、中国やオスマン・トルコの
ようなアジア帝国の君主に比べれば、遥かに制限されたものだった。

圧倒的な政治権力は、民間の銀行化にとっては脅威である。
欧州の場合は、各国が分裂している状態が定常化していたので、
そこに銀行家が
紙幣を発行し、国家財政を牛耳っていく状況が生じた。

民間銀行はイタリアの都市国家を活動の中心にしていたが、17世紀以降は、
金融の中心はオランダとイギリスに中心が移っていく。

 

P46

【こうした状況下にあってイタリアの都市国家は、金融銀行業の指導権を喪失して
いった。
金融技術や制度がいかに高度化しても、イタリアの都市国家は、拡大しつつある
国民国家と成長過程にある経済の要求に答えられなかった。
17世紀において、こうした要求により良く子対処できたのは、北西ヨーロッパの
ロンドン、パリ、バルト海諸港、そしてとりわけアムステルダムだった。】

 

次に欧州初の紙幣が登場する。

スウェーデンとイングランドでほぼ同時に発生した。

日銀HPでは、1640年にイングランドで金細工士が振り出した金の預り証が欧州の
最初の紙幣として紹介されている。
一方、「銀行の歴史」では、以下のように記述されている。

P50

【1656年にストックホルム銀行を設立したヨハンパルムストルクは、銅貨に代わる
紙幣を案出した。
クレディティヴセドラルと呼ばれる紙幣が初めて流通したのは、1661年のことで
あった。それは実際ヨーロッパ最初の銀行券であった。】

民間銀行が作り出した紙幣は現在でも「銀行券」と呼ばれる。
政府券ではないのである。

次に民間銀行は、イングランドで現在の中央銀行の元祖であるイングランド銀行を
創設する。

P50

【1694年のイングランド銀行の創設によって初めて、ステイト・バンクの潜在的可能性が明らか
となった。
イングランド銀行は、ヨーロッパのさまざまな都市や国民国家にみられた多くの先駆的銀行
と同様に、その成立と初期の発展の背景には政府債務の長期累積という事情があった。】

次回へ続く
 
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