『この世界の片隅に』劇場アニメ公式ガイドブック10月28日発売と出ました。
現在作業は大詰め。内古閑智之さん率いるチャンネル・プロダクションさんがデザインを担当していただいており、甘すぎずやさしい雰囲気の誌面が出来上がりつつあります。本編を何度も見返したくなるムックを目指しましたので、是非お求めください。
ではいってみましょうか。
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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
10/15 『アリーテ姫』『マイマイ新子と千年の魔法』
11/19 特別講座『動きのおもしろさを体験しよう』
※ゲスト講師 演出・アニメーター 数井浩子
12/17映画『ラブライブ!The School Idol Movie』
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/dbf50167-77f5-f85e-c98c-577de73c53f2
2.朝日カルチャーセンター新宿教室特別講座
12/3「僕はこんな作品を見てきた。'80年代 バブルの喧噪と昭和の終わり」
アニメーション監督・幾原邦彦氏をゲストに招き、氏が触れてきたアニメ・文学・映画・演劇作品を振り返る講義の第二弾。今回は'80年代の作品を中心にうかがいます。幾原監督が、どのような作品に接することでクリエイターとしての地盤を形成してきたかが垣間見える内容です。聞き手は僕と上智大講師・上田麻由子さんです。
【取り上げる予定の作家】
森田芳光、相米慎二、池田敏春、吉本ばなな、村上龍、村上春樹etc
https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/348243ee-1ee0-ba9b-141a-577daebf06e8
3.SBS学苑「アニメを読む」
今や当たり前のようにTVアニメでも使われている3DCG。しかし、3DCGでアニメが作られるようになるには、長い道のりが必要でした。'80年代の挑戦から最新の成果まで、国内作品を中心に解説します。
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=177510
4.栄・中日文化センター「アニメを読む」
『心が叫びたがってるんだ。』『あの花』をヒットさせた長井龍雪(監督)、岡田麿里(脚本)、田中将資(キャラクターデザイン)のトリオによる青春群像。この作品の細やかな心理描写の魅力と、作品の本質に迫ります。
https://www.chunichi-culture.com/programs/program_166148.html
5.NHK文化センター青山教室「アニメを読む」
こちらも『心が叫びたがってるんだ。』です。東京の方は是非。
https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html
Q&A
「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第26回『YUYUSHIKI Key animation note』
『YUYUSHIKI Key animation note』は、2013年夏のコミックマーケットで頒布された原画集。
このコラムでも、何度も書いていることになりますが、出版される原画集の数はずいぶん多くなりました。理由は様々だけれど、ファングッズの意味合いが大きいのではないかと思います。なので必然的に、キャラクター人気のある作品が原画集になる割合が多いです。
しかし、そうした作品の原画集は、アニメーション素材を掲載した原画集という感じではなく、キャラクターの絵がたくさん載っている本の一つという内容になっていたりします。キャラクターの顔のUPや全身の止め絵の掲載が中心になっている場合が多く、どちらかというと版権画集的な本を本編素材を使って作成しているようなイメージです。そうした本の需要も分からなくはないのですが、それだけだとなんとも寂しい。
ファングッズの一貫ということもあり、アニメ制作会社が原画集を売る機会も多くなっていますが、そこで出た本でも、そうした内容のものが少なくないような気がします。作品のファンはもちろん、作画が好きな人たちにも満足できる、バランスの良い本が出ないものかと思っていました。そんなところに現れたのが、この原画集です。
この『ゆゆ式』の原画集は、作品のファン、作画の好きな人、どちらの人も、その内容に満足できるバランスの取れた原画集です。
カラーページでは、版権イラストをラフや清書、完成イラストなどと合わせて掲載していて、作画オタク的にはラフを掲載してくれているのが嬉しいところです。
白黒ページ部分では、キャラクターの顔のUPの絵をしっかり載せつつ、全身が映るカットでは大判の絵をページ1枚使って大きく載せることで、一枚絵として見ごたえのある掲載の仕方となっています。
一方で、キャラクターの映っていない背景原図なども掲載していたり、キャラクターが映っていても顔の見えないようなカットでもしっかり掲載されています。
動きのあるカットでは、タイムシートの抜粋が掲載されているのはもちろん、絵コンテの抜粋も掲載されており、担当されたアニメーターが絵コンテからどう原画を膨らませたのかを見比べられるようになっているのが嬉しいところです。
これは、作品的な特性なのかもしれませんが、ゆゆ式原画集に掲載されている動きのあるカットは、後ろを向いていたり、足や腰をクローズアップした顔の見えないカットが多いです。
歩いたり、椅子に座ったり立ったりするカットでそうなっているのは、作画的な労力を下げるための意味合いもあるのかもしれませんが、他に掲載されている、靴を履いた後つま先をトントンして履き心地を整えたり、靴下の口ゴムを整えたりといった動きのカットが掲載されているのを見ると、こだわりをもって描かれていたものなのではないかと思います。
『ゆゆ式』は、作品全体を通じて、歩きなどの動きのあるカットでも足元までしっかり映していたり、一見記号的な絵柄のようでいて、地に足の着いた描写の多い作品でした。
原画集でそうした動きを改めて見直すことで、生活の中で人が無意識にしている仕草に注目し、その仕草を細かく描写することで実在感を感じさせようという、仕草の美学を感じさせられました。
顔の見えないカットではありますが、そうした仕草を表情の一つとして描けるのもアニメの大きな魅力の一つだと思います。
原画集を読むことで、作品の中に込められた、こだわりを改めて見直すきっかけとなりました。ファングッズとしてはもちろん、作品自体を見直すためにも、様々な作品でこうした原画集が出てきてくれればいいなと思います。
(『YUYUSHIKI Key animation note』/キネマシトラス/1500円)
お蔵出し原稿
「WEBNewtype」で連載していた『アニメを見ると××になるって本当ですか?』の第1回です。バンダイチャンネルで見られるアニメを一つ取り上げて、おバカなコラムを書くという趣向でした。これ40回以上も書いてましたね。第1回は『キディ・グレイド』を取り上げたのでした。2007年6月の原稿ですね。
ハニカンでる~こちらは王子ではなく、というくだりは「はにかみ王子」=プロゴルファーの石川遼というフレーズが流行っていたから書いてるんですね。
『キディ・グレイド』
「アナタが好きなのは私のカラダなんでしょう?」と女になじられる修羅場。「そんなことないよ」といいつつ語尾がもにょもにょとなってなんだかハニカンでるようになってしまうが、もちろんこちらは王子なのではなく、むしろペテン師。ホンネをぐっとこらえて「じゃなくて、その君のココロがさぁ」などと話を続けなくてはいけないのである。