これから出る「BRUTUS」のアニメ特集でコラムを12本(1本1000文字!)を書いたり、ニュータイプである連載(次号からスタート)のまとめを担当したりと、予想外にバタついてメルマガ発行が遅れてしまいました。
そのため、2月のメルマガは前回の154号と連続して155号を発行します。
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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.不定期アニメ日記
4.連載一覧
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」1月期(東京)
3月16日 『リズと青い鳥』【受講申込】
2.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」4月期(東京)
4月20日「脚本を書いてみよう!」(特別講師:大河内一楼)
5月18日『総括「平成のアニメ」とは何だったのか?』
6月15日「アニメと戦争 冷戦を超えて」(冷戦後、アニメは戦争をどう扱ったか)
【受講申込】
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第83回『SAOのはなし。』
『流星のロックマン』『WORKING!』『ガリレイドンナ』などでキャラクターデザインを手がけられた足立慎吾さんは、それらの作品の修正集で同人誌を出し続けてこられました。
なので「『ソードアート・オンライン』の本は出ないのかな?」と待ち続けていたところ、満を持して出たのが、今回紹介する『SAOのはなし。』です。
待ちに待った『SAO』の本で、今までに足立さんが出してこられた本を超えるような、400ページという大ボリュームです。『SAO』のアニメは、3本のTVシリーズに番外編や劇場版と、7年間続いている大人気シリーズで、足立さんの新たな代表作となっています。
足立さんは、最新シリーズ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』では現場から一歩引いた立場でお仕事をされているようで、この本はそれまでの『SAO』でのお仕事をまとめた内容となっており、『アリシゼーション』編の資料では足立さんが担当されたOPの資料が掲載されています。
今までに見てきた作画監督修正集の中でも、1つの作品でここまで長期に渡るお仕事をまとめたものはなかったと思います。修正だけでなく版権イラストの原画がカラーページに掲載されているのですが、ここだけで80ページ以上もあり、画集を一冊見ているほどのボリュームがあります。
修正原画の方も、今となっては懐かしさを感じる第1期から劇場版まで、これでもかという量を一気に見ることができて眼福ですね。足立さんの修正は、総作監とは言え、指示書きを読んでいると細かなニュアンスから動きの考え方まで、色々とコメントが書かれています。修正集の中でも読み応えがあるタイプの資料集だと思います。中にはなかなか手厳しいコメントもあり、足立さんのアニメーターとしての強いこだわりを誌面から感じる本となっています。
修正の絵には、パースのアタリ線が引かれているものが多かったのですが、今までの足立さんの同人誌に掲載されている修正にはそうした絵はあまり載っていなかったような気がするので、足立さんのようなベテランでも、今でも絵が変化しているのが見えて興味深かったです。これだけ膨大な量の修正がまとめられていたために、そうした絵が見れたのかもしれません。
この本は『SAO』ファンにとっても嬉しい本だと思いますが、やはり自分にとっては足立さんのアニメーターとしての技術が感じられる絵が見れるのが嬉しいところだなと思います。
『SAO』では7年が経っていますが、それ以前からのお仕事と絵の変化を見比べられるのも、こうして足立さんご自身で、同人誌という形でその時々の絵を残してくれているからだということを実感します。
修正には、コメントで当時の思い出などが語られているのですが、自分はそういうタイプではないと思っていたのに泣きながら描いたというようなコメントもあり、作品に対する足立さんの思い入れが伝わってくる内容で、こちらも読み応えがあります。
ここ数年コミケで出される修正集は、どんどんと分厚く、内容も濃くなっていって嬉しい限りなのですが、やはり7年という長い時間を感じる今回の本は、その中でも特に見応えのある本になっていたと思います。
コミケでの頒布後に通販もされた同人誌ですが、現在では入手が困難になっているのがつらいところです。『SAO』ファンや足立さんのファンだけでなく、アニメーターという仕事に興味を持っている、いろいろな人に手にとって欲しい本です。
(『SAOのはなし。』/流星のはなし/4,000円)
不定期アニメ日記
あんまりアニメの話ではないのですが……。
昨年秋に出た『ただの文士――父,堀田善衞のこと』(堀田百合子)を読了しました。ご存知の方も多いかもしれませんが、堀田善衞は、宮崎駿監督が敬愛している作家で、代表作に『広場の孤独』『路上の人』『定家明月記私抄』などがあります。堀田善衞の長女で著作権継承者である堀田百合子さんが、父親の想い出をつらつらと語ったのが本書になります。