「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2025年11月25日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2025年11月25日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2025/11/25配信のハイライト
- 「Cloudflare障害の背景」と「SNSの未成年制限」
- 「AndroidでAirDrop」と「上位10パーセントが支える消費」
- 共和党の敗北と「都市のゾーニング」
- 視聴者質問「台湾が正式な独立国となるには」と「中華民国の歴史」
- 台湾問題の今後
- 「台湾有事のアメリカの出方」と「トリウム溶融塩炉の将来性」
「Cloudflare障害の背景」と「SNSの未成年制限」
小飼:はい、唐突に始まりました。
山路:大変申し訳ございません、30分以上も、機材トラブルのために遅れてしまって申し訳ございません。
スタッフ:音声とかどうですかね?
山路:音声、聞こえてますかね?
小飼:画質がちょっと荒れて、
山路:画質が荒い、音も来たって、音も行ってるみたいですね 。
小飼:音も来てるみたいですね。
スタッフ:大丈夫ですか、いつもより小さくないですか、
山路:大丈夫ですかね、とりあえず。じゃあ行きましょうか。じゃあさっそく最初の話題、
小飼:すいません、我々もモニターなくて、じつは中継じかに見て、実際に言ってるかどうかというのを確認してる次第で。
山路:すごい壊れ方(笑)、
小飼:けっこう満身創痍なんですけれども。スタンバってるということで、あれ、切り替わったぞ、また。
山路:これ、たぶん自動切り替えなんですよ。スイッチングが自動でやるんですよね。
小飼:そうなんだ。
山路:障害つながりってわけでもないんですけども、最近あったでかい障害といえば、Cloudflare。このCloudflareで、それこそXが止まったりとか、ニコ生は影響受けなかったんだっけ、
小飼:幸か不幸か使ってなかったのかもしれない。
山路:これってたまに起こるじゃないですか、こういう規模の大規模なやつ。今回の障害の本質っていうのは結局何だったんですか?
小飼:Cloudflareの場合は、要はCloudflareっていうのはいろんな状況というのをプログラムで処理した上で流してるんですよね、単純なキャッシュではなくて、スマートキャッシュというのか。そこのプログラムにバグというのか、見落としがあったというのが。
山路:へええ、そんないろんなサービスにまでいっぺんに影響しちゃうようなバグ、
小飼:いったんプログラムを書いたら、それを各エッジサーバに配るわけです。
山路:しかしこれってプログラマーとしてはけっこうゾッとしません? こんなエラーって。しかもCloudflareがやってるようなシステムのエラーって、大量の接続があるとかっていう状況でないと起こらないエラーみたいなことがあるわけじゃないですか、
小飼:全くもってその通り、
山路:だからそれこそ弾さんがよく言うように、はっきり言ってどういうふうな状況になるかによって、
小飼:だから少なくともCloudflareはたぶんケイオスモンキーみたいなやり方はしてないわけですよね。
山路:Netflixなんかが時々動いてるシステムちょっと壊してみて、
小飼:わざと壊して、ちゃんとフォールバックとか見るというところまではやってないのかなと。
山路:そうかそうか、本当にNetflix、ケイオスモンキー、頭おかしいんじゃねえかと話聞いてて思いましたけど、
小飼:じつは実に正しい、あれは。
山路:めちゃめちゃ役立ってるってことなんですね。
小飼:現代としては実に正しいんだけども、これがたとえば物理に来ると、そうだ、消防団のテストをするために本物の建物を消火するような、
山路:コストかかりすぎやろみたいな(笑)。それはやっぱNetflixがめちゃめちゃ稼いでるからできる、でもCloudflareのそうとう稼いでますよね。
小飼:もあるし、Cloudflare、そうね、でもどっちが利が厚いかって言ったら、たぶんNetflixのほうでしょうね。コンテンツそのものをやっぱりけっこう握っているっていうのはでかいと思います。
山路:しかし改めてインターネットってよく動いてんなと思いますね(笑)、そんなことないですか?
小飼:まぁ止まりそうになると、こうすれば動くよっていうやつが出てきて、でも昔インターネットの理念としては、ホストとホストがあるだけでホストが送りつけたものというのは何も加工しないで、もう一方のホストに送れっていうふうにしてるんですけど、そういうモデルというのがすぐに動かなくなるというのはもうわかってて。そこを最初に解決したのが、商業的に解決したのがAkamaiなわけです。
山路:ちなみに最近こういうCDNなんかの文脈の話で、
小飼:完璧なシステムでないからうまくいってるという設計、というのともちょっと違うんですよね。だからインターネットというのはこういうものだという理想があるんだけども、理想通りにやるとみんなが不満足なものになるので、お金を出せばそういうところを解決しますよっていうところがいっぱい出てきて、最初はAkamaiが出てきて。でFastlyとかCloudflareとか、もう少しスマートなキャッシュサービスが出てきて。
山路:Netflixはある意味自前でCDNやってるみたいな感じでもあるんですよね、
小飼:そうですね。
山路:これ、ちょっと関係ないんですけどAkamai、一時期話題になってたのがなんでCloudflareが、
小飼:今もやってるはずですけどね。
山路:そういうCDN業界でこんなに熾烈な争いがあるというのもびっくりだというか、
小飼:少しだけコンテンツというのか、ウェブページをエッジのほうでいじってしまったら、もっとうまくいくんじゃないかっていう状況が出てきて。だから単純なキャッシュじゃないんですよね、Cloudflareとかがやってるのは。それでいうとこの間の角川が原告になった判決、Cloudflareの、
山路:ああ、マンガ村とかの絡みのやつ。
小飼:そうそうそう。
山路:Cloudflareがそれを止めなかったみたいなところで、訴えられたわけですよね、
小飼:そうそう、本来であれば本当にただの純粋なキャッシング業者であれば、それも良かったんですけど、それであればお前のキャッシュの裏のほうに下手人がいるから、それ差し出せって言った時に、差し出さなかった。だから共犯ということで。
山路:なるほどね。それにしても、さっきの「完璧でないから動く」みたいな話の続きっていうわけでもないんですけど、困った時にいろんな人が工夫する余地があるからなんとかなってるってことだったりするんですかね? インターネットっていうのはある意味。
小飼:インターネットっていうのは村井先生が1995年に、95だったっけ、6だったっけ、岩波新書で出した頃の姿とはぜんぜん違います。ただ単にネットワーク同士がつながってるっていうところだけが共通点。いちおうすごいローレベルではTCP/IPっていうプロトコルを使ってるんですけれども、たとえばHTTPというのも最初はTCPで動かしてた、だからTCP/IPっていうのはインターネットのコンピューター同士を通信するときにどうしたらいいのかっていうプロトコルですけれども、最新のやつというのはTCPじゃなくてUDPというのを使ってるんですよね。どういう違いがあるかっていうと、TCPというのはパケットはバラバラに送られてくるんですけども、本当に専用線でつながってるように見えるんですよね、つながってるときに。だからバーチャルサーキットといいます、仮想回路といいます。仮想回路ができてて、仮想回路の間をやりとりしてるというのがHTTPやHTTPSの基本だったんですけども、それじゃやってられないということで、たとえばGoogleがQUICというのを出して、それがHTTP2の基本になってます。
山路:結局それっていうのはサーバなんかのネットワーク機器の処理が上がってきたから、言ってみたらパケットなんかをすげえ高速に処理できるようになったから、そういうことも可能になったということ?
小飼:まずそういうことが可能になったというのがひとつと、あともう一つ重要なのは端末側がモバイルになったということなんです。モバイルになったということはどういうことかっていうと、通信環境が変わる、だからもともとのTCP/IPの前提っていうのはIPアドレスの双方とも変わらないっていうのが、いったん繋がったら、それはずっと固定だというのがあったんですけれども。それをノートパソコンとかで繋ぐつど変わるというのはあったけども、一度繋がった時に繋ぎっぱなしで変わるという。たとえばWi-Fiからセルラーで、同じセルラーでも、たとえばセルラー会社AからBというのはまだそんな想定してなかったんですよね。今、そういうのがむしろ当たり前じゃないですか。
山路:iPhoneの最初の頃って、携帯電話網からWi-Fiの切り替えとか、その時によく切れてたような気がする、その頃はまだモバイルに対応したインターネットにはなってなかったという、
小飼:今でも基本の部分っていうのはなってないというのか、HTTP2とかであれば、それができるんだけどという、そんな感じですね。
山路:インターネット生きてるわって感じしますね、つくづく。
小飼:インターネットも、もう一つ想定してなかったのがおま国。そう、インターネットにつながっていればどこも一緒だよっていうのが最初の理念だったんですけれども、本当に金盾の内側なのかとか。国内のかっていう。
山路:金盾みたいなものとかっていうのは、新しい技術を持って、既存のインターネット関係のプロトコルを使って実現はしてるわけですよね、金盾みたいなものも。
小飼:もちろん。
山路:だけど、中か内かどうかということでどうにかするみたいなことでまた、
小飼:理念としてはオープンがデフォなんですよ。ファイアウォールというのは後付けなんです。
山路:それにしてもまぁ本当に危ういものの上に私らは乗っとるなという気が(笑)。
小飼:もともとそうだったといえば、そうだったわけですよね。
山路:なんかいい加減だからどうにかなっているのかなという気もするし、ガチッとしたプロトコルが決めてあったとしたら、
小飼:それはもうその通り、
山路:本当にやったら、何か誰かがシクったら、もう本当に復旧不能みたいなことになってたかもしれないわけですもんね。
小飼:ただ、それはどんなものでもガシッとしてたらダメだっていうものではなくて、そんなのいくら緩くてもいいというものもあれば、ガシッとしてなければダメだっていうものもあって。
山路:橋とかは、土木とかはそうですけどね(笑)、
小飼:それのたぶんガシッとしてなければダメの代表っていうのはもう、単位ですよね。
山路:そっちに行きますか。
小飼:時間の長さであり、長さの単位であり、こういうものはガシッとしなければダメで。もっとガシッとしようというので、今の時間の単位というのはセシウムの出す電波の周波数を元にしてて、マイクロ波単位なんですよね。100億分の1秒単位ではないんです。それよりもゆるんですね。91億の1ぐらいなんですよね。でも、一挙に150兆にしようという(笑)、
山路:光格子時計?
小飼:光格子時計。をもう秒の単位しようというのがもう始まってるらしくて。
山路:ファイルシステムもナノ秒単位はなくなってくるのかもしれないですね、そのうち。
小飼:ナノ秒でも遅すぎるでしょうね。
山路:いやいや、恐ろしい。
小飼:というのか、
「重力場によって変わってくるということ?」(コメント)
小飼:ましてや宇宙インターネットとかっていうふうに言ったら、軌道上の時間と地上の時間っていうのは明らかに違うわけですよね、もうGPSはちゃんとキャリブレーションしてあります。軌道上のほうが少しだけ遅くなる。
山路:宇宙インターネット、テーマにしたSFもうすでに書いてる人はいそうな気にしますね。
小飼:ただ今度こそ冷却問題を扱ってほしい。冷却問題というのは『2001年 宇宙の旅』でも、この番組でも何度か話している通り、シカトされたんですよね。翼に見えちゃう、
山路:ディスカバリー号の放熱版ということですよね。
小飼:そうそうそう、
山路:しかしそれでちょっと最近気になったのがNVIDIA、あるじゃないですか、宇宙データセンターみたいな、弾さんが冷却どうなんよと言ってる。あれ、11月にもう衛星打ち上げるらしいですよね、AI、実験レベルですけど、AI搭載衛星を。
小飼:いや、だからそんなの持ち上げるの、簡単で。チップ1個乗っけといたやつをポンと打ち上げれば。で、アルファ線でおしまいとかっていうのはオチかもしれないけど。
山路:もう一つ、Googleがまたこの宇宙データセンターに関するサンキャッチャー計画みたいなことを、太陽電池搭載型の、なんかそういう宇宙データセンター、
小飼:全部冷却のことごまかしてる、
山路:いちおうこのサンキャッチャー計画に関しては、冷却に関しては重大な課題とは認識してると書いてる(笑)、
小飼:だからごまかしてるじゃん、
山路:しかしこれって素人目からすると、こんなビッグテックの頭の良さそうな人がそんなこと気づかないの? みたいなことあるんですけど、そんなことってあり得るんでしょうか? そんな大きな見落としが、このわざわざ衛星ロケットで打ち上げようという人たちが、そんな単純なところを見落としているってこと、
小飼:けっこうある、そういうものって、
山路:そうか(笑)、
小飼:そういうものは全部見落とさないんだったら、Google、今ごろ世界のSNSというのはもうGoogle+になっている、
山路:あはははは、そこでGoogleのディスるところに出てくるのがGoogle+ってのがいいですよね(笑)。じゃ、ちょっとSNSの話が出たからってわけではないんですけど、最近のXの新機能、話題になってるそうじゃないですかと。Xの新機能で、ユーザーがどの場所から主に利用してるのかっていう、ユーザーの所在地というか、正確な位置じゃないんですけど、どの国にいるとか。そんなのが明らかになって。
小飼:明らかになっているようで、ぜんぜん明らかになってない、
山路:違うことも多いみたいなことらしいんですけどね(笑)、NHKが、
小飼:工作員、バレてないのもあるから。
山路:MAGAの関係者っていうのが、ほとんどロシアからじゃねえか、みたいなこととか(笑)、これってこの影響ってどう見ます? 仮にじゃあこの所在地が正確だったとしましょう、それの場合、
小飼:いや、でもぜんぜん見てないじゃん、そういうところを見ればさ、明らかなことで、そのままデマ流すじゃん、明らかにさ、ちょっと見ればデマだってわかるのを。
山路:その所在地とかはXが見られるようにしたところで、あんまり変わんねえだろうと、
小飼:いや焼け石に水だろうと。
山路:(笑)そうですか。あとそのSNSで言うんだったら、オーストラリアがとうとうSNSの16歳未満利用の閉鎖を始めるみたいで、それに先立ってインスタとかFacebookがアカウント閉鎖なんかをユーザーに通知するようになってきているって話なんですけど。
小飼:ちゃんとあれなんだ、コンプライするんだ、SNS各社は。まぁでもそうだよな、たとえTwitterといえども、ドイツでナチスを称揚するようなコンテンツというのはバンするわけで、
山路:弾さん相変わらずペアレンタルコントロール否定派じゃないですか、このSNSの16歳未満禁止のやつが、前にも取り上げましたけど、いざ実際に施行するとなるとなんかでかい影響あると思います?