『耳をすませば』という映画は、実は「夜」がテーマでもある。そのことに気づく人は案外少ない。それは物語の大半が、明るい日光の下でくり広げられるからだ。

しかしあらためて見返すと分かるのは、この映画はオープニングシーンとラストシーンがともに「夜」ということである。もちろんラストシーンのラストは「夜明け」だから厳密な意味での夜というわけではないが、それでも大半は夜の場面である。

そんなふうに、映画そのものが「夜」にサンドイッチされている。これは作者(監督や脚本家)の意図の有無にかかわらず、強力なメッセージを見る人にもたらす。

そのメッセージとは、象徴としての「輪廻」だ。人は闇から生まれ、明るい中を生き、また闇に戻っていく。それが終わると新たな夜明けが来る。そういう輪廻や一個人の一生――人生を否応なく想起させる。

ちなみに、映画ではよく汽車や自転車、ときには自動車の、車輪の回転カットがアッ