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人を動かすのがうまい人っているじゃないですか。営業でも、プレゼンでも、あるいは日常のちょっとしたお願いでも、「なんかこの人の言うことなら聞いてしまう…」みたいなタイプで、皆さんの周りにも一人ぐらい思い当たる対象がいるんじゃないでしょうか。

 

で、この「人を動かす力」ってのは、なんとなく「センス」とか「生まれつきの才能」と思われがちなんですが、最新の研究(R)では「カリスマは才能ではなく技術である」って結論になってて面白かったです。

 

研究の詳細に進む前に、まず前提として研究チームはこんなことを言っておられます。

 

カリスマは固定的な性格ではなく、「状況の中で作られる印象」である

 

ちょっと抽象的なんで、もうちょい詳しく説明しましょう。多くの人は、他人を見るときに「あの人はカリスマがある」「自分はそういうタイプじゃない」みたいに「内面の性質」だと考えがちなんだけど、この研究チームは「カリスマはその人の中にあるものではない!相手がどう解釈したかで決まるのだ!」ってことなんですな。

 

ここでいう「状況」は、環境だけじゃなくて、「表情(どれくらい笑うか)」「声(スピード・抑揚)」「姿勢(開いているか閉じているか)」「視線(どれくらい合わせるか)」といった、その場で変えられる振る舞いすべてを指します。たとえば、同じ人が同じ内容を話していたとしても、

 

  • 背中が丸まっていて、目線が泳いでいて、声が小さくて早口な場合 → 「頼りないな…」と思われる
  • 姿勢が安定していて、適度にアイコンタクトがあり、ゆっくり落ち着いて話している場合 → 「この人できそう」と思われる

 

って感じで、同じことを話してても評価は真逆になるじゃないですか。これがまさに、状況(見せ方・振る舞い)の中で印象が作られるって意味です。

 

なぜそんなことが起きるのかと言いますと、人間の「判断システム」が雑だからであります。私たちは、相手を評価するときに、論理的にじっくり判断するよりも見た瞬間の印象で判断する傾向があります。心理学ではこれを「ヒューリスティック(近道思考)」と呼びまして、落ち着いていれば有能そうに見えるし、笑顔が自然なら信頼できそうに思われるし、少し厳しい表情だと意志が強そうな印象を持つしで、見た目のシグナルから「中身」を推測してしまうほうが普通なんですよ。

 

でもって、この考え方のいいところは、「決して自分を根っこから変えなくてもカリスマ性は身につく」って点でしょう。カリスマ性を身に付けるために必要なのは、性格を変えることではなく、ただ見せ方を調整することだけってことになりますからね。たとえば、緊張しやすい人でもゆっくり話すだけで印象は変わるし、内向的でも姿勢を開くだけで評価は上がるしで、外側を少し変えるだけで、内面の評価まで変わるんだから、まことにありがたいことでしょう。つまり、「自分は人を惹きつけるような性格じゃないし…」みたいな悩みは、わりと的外れな可能性があるわけですね。

 

ここでむしろ重要なのは、

 

  • どんな表情をしているか
  • どんな声の出し方をしているか
  • どんな姿勢・動きをしているか

 

といった「非言語コミュニケーション(ノンバーバル)」のほうでして、ここをいじるだけで他人からの印象はガラッと変わる可能性があるわけです。

 

この考え方を検証すべく、研究チームはこんなデザインで実験を行っております。

 

  1. 「エレベーターピッチ(短い営業プレゼン)」の動画を作る。その際に、「非言語コミュニケーションありバージョン」と「なしバージョン」を用意する(プレゼンの内容は同じ)
  2. 2つの動画を見てもらい、被験者に「どっちが魅力的か・説得力があるか」を評価させる

 

つまり、言ってる内容は同じで、「話している時の態度」だけ変えたらどうなるかをチェックしたわけですね。

 

そこでわかったのが、「カリスマを構成する要素」には大きく3つあるってところです。