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AIを使うと「つまらない人間」になるんじゃない?と指摘するレビュー論文を読んでみよう!対策編
「AIを使うと『つまらない人間』になるんじゃない?と指摘するレビュー論文」の続きです。
これは近年のAI研究をまとめたレビューを取り上げたもので、ざっくり話をおさらいすると、
- AIは文章や表現を平凡なものにしやすい
- AIは視点や価値観をメジャーに寄せやすい
- AIは私たちの思考もつまらなくするかもしれない
- その結果として人間の創造性が下がる可能性がある
みたいな感じでした。せんじ詰めると、「何も考えずにAIを使ってると考え方が平凡になっちゃうから気をつけようぜ!」みたいな話っすね。
で、この理屈を押さえたうえで、今回は具体的な対策を考えていくことにしましょう。AIの使い方について誰でも思いつくものとしては、
- 最初は自分で考えましょう
- AIはサポートとして使いましょう
- 複数の視点を出してもらいましょう
- AIに反対意見を出してもらいましょう
などがありまし
AIを使うと「つまらない人間」になるんじゃない?と指摘するレビュー論文を読んでみよう!理論編

最近は生成AIの使用が当たり前になりまして、私も文章作成やアイデア出しなどにめっちゃ使っております。なかには、意思決定まで任せている人も多いんじゃないでしょうか。
となると、その功罪と言いますか、「AIを使いすぎることのメリデメ」みたいなところが気になるわけですが、当然ながら技術が新しすぎるもんで明確な答えは出ていないわけです。そんななか、個人的に「まぁ、そうだよなぁ」と思える内容のレビュー論文(R)が出てましたんで、ちょっと内容を整理してみましょう。これからAIを使う上で、かなり役立つ話になるんじゃないかと。
AIを使ってると考え方が平凡になっちゃうのでは?問題
これは過去に出たAI研究をまとめたレビュー論文で、これまでのデータを整理しつつ「AIってこういう問題があるんじゃない?」ってのを整理したものになっております。ここで研究チームがどんな問題を指摘しているのかと言いますと、
- AIを使ってると考え方が平凡になっちゃうのでは?
って感じです。AIを普段から多く使っている人ほど、発想や意見の幅が狭まり、平均的な思考に寄ってしまうのではないかというんですな。
では、なぜこういう話になるのか? ここで問題になるのが、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の存在であります。これらのモデルって何をやっているかと言うと、超ざっくり言えば、「過去のデータから、もっともそれっぽい次の言葉を予測する」じゃないですか。要するに、大量の人間の文章から“平均的に自然なパターン”を学習して、それを再現するみたいなことをやってるわけですね(まぁ違うところもあるんだけど、超おおまかなメカニズムとしては、そんな感じ)。
なので、これでどんなことが起きるのかと言いますと、AIってのは仕組み上、
- よくある表現
- よくある考え方
- 多くの人が支持する視点
を優先的に出力するってことです。言い換えれば、個性的な表現ほど出力に上がってこなくなるメカニズムになってるんだよーってことですね。さらに、強化学習(RLHF)によって、わかりやすくて、礼儀正しくて、安全な回答が優先されやすくなるので、その結果どうなるかというと、
- 誰が書いても似たような文章のスタイルになる
- 「無難で平均的」な意見ばっかりになる
- 少数派の視点が消えて、つまらないアイデアが増える
といった現象が起きることになるわけです。ここらへんは、私も普段からAIを使っててよく思うところっすね。
あなたは「心理学っぽい嘘」にダマされていないか?そして、クリティカル・シンキングのスキルはあるか?をチェックする50問

世の中には、科学的っぽい嘘が広まってるもんでございます。たとえば、
- 「水を1日2リットル飲まないと健康に悪い」
- 「右脳型・左脳型で性格や能力がはっきり分かれる」
- 「ポジティブ思考だけで人生の成功が決まる」
みたいな感じっすね。どれもいかにも心理学で証明されたっぽく聞こえるんだけど、実はほとんどが科学的には怪しい神話(myth)だったりするわけです。おそらく、皆さまも上記の例にはダマされなかったことでしょう。
……と思いきや、面白いことに、心理学の世界では昔からこんな現象が知られています。
- 心理学を学んでも、心理学の誤解はあまり減らない
つまり「専門知識を学んでも、人間の思い込みは意外とアップデートされない」と言うんですな。ちょっと信じがたい話ですが、これは近年の研究でも何度も確認されている事実だったりします。
たとえば、南フロリダ大学のダグラス・バーンスタイン博士らのチームが行った研究(R)では、アメリカの8つの大学で心理学の入門コースを終えた学生933人を対象に調査を実施。みんなに心理学に関する40個の説を提示し、それが正しいかどうかを判断してもらったんだそうな。
その結果はなかなか面白いもんで、
- みんな平均して22.09個の誤解を信じていた。割合にすると約55.2%
- 人によっては82.5%も誤解していた
だったそうな。つまり、心理学の講義を受けた学生でも、半分以上の知識が間違いだったわけですね。これは研究者たちも「かなり深刻」とコメントしておられます。
似たような研究はめっちゃ多くて、また別の調査(R)では、大学生に「心理学の神話に関するクイズ(50問)」に答えるように指示。ここで集められた被験者は4つのグループに別れてまして、
- 心理学入門の授業 開始前の学生
- 同じ授業の 終了後の学生
- 心理学専攻の上級生
- 心理学を学んだことがない学生
みたいになります。となれば、普通に考えて心理学を学んでいる人ほど正解率は上がりそうなもんですが、実際はさにあらず。結果はかなり微妙だったらしく、神話を見抜けた被験者の割合は、
- 入門授業(開始前)のグループが約39%
- 入門授業(終了後)のグループが約40%
- 心理学専攻の上級生グループが約50%
って感じだったそうで、要するに「心理学を学んでいても、デタラメを半分しか見抜けない!」って話ですね。しかも驚いたもので、心理学の授業を受けた学生と、受けていない学生にほぼ差がないという結果まで出てますからねぇ。心理学専攻ですらこれなんだから、一般社会で神話が広がるのも無理はないですな。
なぜ心理学の誤解は消えづらいのか
となると、当然「なぜ心理学を学んでも誤解は残るのか?」って疑問が出てくるわけですけども、研究者たちは大きく3つの理由を挙げておられます。
- 人は「自分の経験」を優先するから:心理学は誰もが日常で経験する分野でして、たとえば、子育て、恋愛、性格、ストレスといったテーマでは、誰でも「自分の体験」を持っているはず。その結果、「データよりも経験を信じる」という現象が起きるわけです。この研究でも、学生が「神話が正しい!」と判断した根拠として挙げた情報源は、メディア、個人的経験、友人・家族の話だったそうで、科学よりも「体験談」の影響が強いんですな。
- 授業で神話を扱っていない:調査によると、心理学入門の授業で「神話の多くがそもそも扱われていない」って事実もあるそうな。研究によると、実験で出された問題のうち約6割は授業に出てこなかったそうで、授業で扱わなければ誤解が残るのは当たり前ですな。
- 人は「信念」を簡単に捨てない:心理学には「信念保持バイアス」という概念があります。これは、一度信じたことは、証拠が出ても捨てにくいという人間のクセです。たとえば、占いや血液型性格、サブリミナル広告などは、どれも証拠は弱いのになかなか消えなかったりします。心理学の神話も構造は同じっすね。
ってことで、これを読むとなかなか絶望的な感じがしてくるわけですが、研究では少し希望のある話も出てますんでご安心ください。というのも、データを見ていると、心理学の授業を受けた人たちは、「誤解そのものの数は減らないんだけど“自信”は下がる」って結果が出ているんですよ。つまり、
- 心理学を学ぶ前→「絶対これが正しいはずだ!」と思いがち
- 心理学を学んだ後→「たぶん正しい…のかな?」ぐらいの感覚になる
ってことですね。研究者はこれを「メタ認知の改善」と呼んでまして、簡単に言えば「自分が間違うかもしれない」と気づく能力でして、これは科学的思考の第一歩ですからねぇ。
というわけで、今回の研究から学べる知見はとてもシンプルで、心理学を学ぶうえで大事なのは「心理学の知識ではない」ってのがポイントになりましょう。本当に重要なのは、証拠を見る力。自分の直感を疑う力、情報源をチェックする力といった「クリティカルシンキング」に属する能力だってことですな。
そしてこの研究を見る限り、残念ながらクリティカルシンキングってのは心理学の授業を受けただけでは身につかないという結論になりまして、ここもめっちゃ大事なポイントでしょう。ちょっと前に、私のオマケ配信で「正しい読解力は本を読んでも身につかない」って発言をしたんですけど、それに近い観点じゃないかと思います。クリティカルシンキングって、やっぱ専用のトレーニングをしないと身につかないところがあるんですよね。
鈴木祐
1976年生まれ。新宿区在住のライター/編集者。パレオダイエットにくわしい人。普段はチャイナ服ではありません。ライター歴は18年ぐらい。科学の知見を自分のカラダで試していくのが趣味で仕事。
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