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『人生の質は「細胞エネルギー」で決まる!』の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7)
このシリーズでは、現代人の不調の原因を「細胞エネルギー」という視点から整理しております。要するに、ミトコンドリアの働きが低下すると、体内でうまくエネルギーを作れなくなり、その結果として疲労や肥満、慢性疾患といったさまざまな不調が引き起こされるわけですね。そこで前回は「ミトコンドリアと健康刺激」の話をしましたんで、今回はその続きで「“恐怖”がミトコンドリアを壊す?」って話をしてみましょう。
現代人は「本物の危険」より「想像上の危険」にやられている
さて、本シリーズでは、ここまで現代人の不調を「細胞エネルギー」の問題としてとらえてきまして、
- 血糖値が乱れる
- 超加工食品を食べすぎる
- 睡眠と体内時計がズレる
- 運動不足になる
- 現代生活で本来の刺激が失われる
みたいな要素が積み重なることで、ミトコンドリアの働きが落ち、体内で「バッドエナジー」の状態が起きるんじゃないか、という話でした。ミトコンドリアは「細胞の発電所」と呼ばれる器官で、食べ物から得た栄養をATPというエネルギー通貨に変えてくれるもんで、こいつがうまく働かないと、疲れやすい、太りやすい、血糖値が乱れる、炎症が増える、脳の調子が悪くなる……みたいな問題につながるんですよ。
で、ここまでは「身体」の話がメインだったんですが、今回は抽象度をアップさせて、「怖がらない力」について考えてみましょう。これはアメリカのウェルネス作家であるケイシー・ミーンズの主張するポイントで、まぁこの方の主張には極端なところもあるんですけど、この「怖がらない力」については私も賛成するところなので、じっくり見てみましょう。
これがどのような主張なのかと言いますと、簡単にまとめると、
- 食事、睡眠、運動を整えても、人生をずっと恐怖で動かしていたら、ミトコンドリアはうまく働かないのでは?
みたいになります。つまり、健康のラスボスは食事でも運動でもなく、「慢性的な恐怖で神経系がずっと警戒モードに入りっぱなしになっていること」かもしれないって話ですな。
どういうことか説明しましょう。まず大事なポイントとして、そもそも恐怖そのものは悪いものではありません。人類の進化の歴史を考えれば、恐怖はかなり優秀なアラームシステムでして、森の中でガサッと音がしたときに「まあ、たぶん気のせいでしょう」と落ち着いていた人より、「ヘビかもしれない!」「敵かも!」「逃げろ!」と反応した人のほうが生き残りやすかったのは間違いないでしょう。その点で、不安や恐怖は、もともと私たちを守るための機能として働いていたわけです。
ところが現代では、このシステムがだいぶバグってまして、現代人が浴びている脅威ってのは、昔のように「目の前のヘビ」ではなく、
- SNSの炎上
- 経済不安
- 健康ニュース
- 老後資金
- 人間関係の空気
- AIに仕事を奪われるかも……という問題
- 食品添加物への不安
- 病気の予兆っぽい身体感覚
みたいな、かなり抽象的で、終わりがなく、しかもスマホを開けば24時間アクセスできるような脅威だからです。これは原始時代にはなかった現象なので、人類史的にかなり異常な状態なんですよね。
そのため、私たちの脳は、Xで流れてくる炎上、YouTubeの不安商法、ニュースアプリの悲惨な事件、健康系インフルエンサーの「これを食べると死ぬ!」みたいな投稿を見るたび、それが自分の身に迫った危険ではないと頭ではわかっていても、身体のほうは「なんかヤバいことが起きているぞ!」と反応してしまうわけです。結果として、目の前にライオンはいないのに、脳と身体はうっすらライオンに囲まれているようなモードに切り替わってしまうわけです。
2026年5月の時点でオススメできるベストな「オメガ3サプリ」を見てみよう

ってことで、久々に「オメガ3サプリ(フィッシュオイル)」の推奨プロダクトをアップデートしときます。ご存じのとおり、「オメガ3は体にいい!」みたいな話は、健康界隈ではもう定番中の定番でして、オメガ3を構成するEPAやDHAといった話を聞くと、なんとなく「血液サラサラ!」「頭が良くなる!」「炎症が下がる!」みたいなイメージがあるわけです。
が、パレオチャンネルをお読みの方であれば、ここでおそらく「そんな美味い話はないでしょー」と思うはず。世の中に「飲むだけで全部解決するサプリ」なんて存在しないもんで、効果が出やすい人と出にくい人を分けて考える必要があるんですよね。
ということで今回は、2026年時点におけるフィッシュオイルの最新の動向をチェックしつつ、いまオススメできるオメガ3サプリを見てみましょう。
オメガ3サプリを飲む意味がある人ってどんな人?
まず簡単におさらいしておくと、EPAとDHAは魚、クリル、イカ、藻類などに含まれるオメガ3脂肪酸で、体内の炎症反応や血中脂質、脳機能などに関わる「良質な脂質」であります。なので、「オメガ3をちゃんと摂るのは大事」という話は、かなり妥当だと言っていいでしょう。
ただし、ここで大事なのが、
- 魚を食べることのメリット
- 魚油サプリを飲むことのメリット
は、意外と同じではないってところです。魚を週2回ぐらい食べる人は、心血管系や脳の健康に良い影響が出やすい一方で、「魚油サプリを飲めば心臓病がバッチリ予防できる!」みたいな話になると、臨床試験の結果はわりと微妙なんですよね。
実際、健康な人や、すでに心疾患リスクがある人を対象にした研究(R)では、普通の魚油サプリを飲んでも心筋梗塞や脳卒中、死亡率を大きく下げるとは言い切れないと報告してるケースが多かったりします。つまり、
- 魚を食べる習慣がいいのは確実
- でも、サプリだけで魚食のメリットを丸ごと再現できるとは限らない
というのが、いまの現実に近いところでしょう。まぁ、魚にはEPA・DHA以外にも、タンパク質、ビタミンD、セレン、ヨウ素などが含まれてますし、そもそも「魚を食べる人」は食生活全体がマシな可能性もありまして、どうしても有利な結論が出やすいってのはありますね。
とはいえ、「じゃあオメガ3のサプリは意味ないの?」って気持ちになりますが、もちろんそんなことはありません。現時点でのデータを見ていると、個人的には以下のような条件に当てはまる人には、オメガ3サプリがハマりやすいでしょう。
- 中性脂肪が高い人:高用量・高濃度のEPA/DHAは、中性脂肪を下げる効果がかなり確認されていて、アメリカ心臓協会の研究(R)でも、1日4gのオメガ3は中性脂肪の低下に有効だとしております。ただし、ここでも注意点があって、「中性脂肪が下がる」ことと、「心筋梗塞や脳卒中が減る」ことは、完全にはイコールじゃないので注意したいところです。たとえばEPA主体の処方薬では血管や心臓の病気リスクが低下した一方で、EPA+DHAの別製剤では同じような効果が出なかったなんてケースもあったりします(R)。つまり、オメガ3なら何でも同じではなく、「EPA主体なのか」「DHAも多いのか」「そもそも魚を食べているのか」によって結果がかなり変わるって感じなんでしょう。
- メンタルがヘコんでる人:あるレビュー(R)では、うつ病の治療補助としてのオメガ3についてはかなり知見がたまってまして、特にEPAの比率が高いサプリは、うつ症状に対して一定の効果が期待できると指摘しております。ここでのポイントは、「うつ予防に誰にでも効く」というより、すでに抑うつ症状がある人が、医療的な治療と組み合わせる補助として使うと効く、ってイメージでとらえて欲しいところです。ここでも重要なのはDHAよりEPAの比率で、ある研究(R)では、EPAが多いタイプ(EPAが総EPA+DHA量の60%以上を占めるようなサプリ)のほうが、うつ症状への効果が出やすいとされております。なので、メンタル目的なら、「1日1000〜2000mg程度のEPAが確保できるか?」を見たほうがよさそうであります。
- 魚をあまり食べない人:現時点のデータ(R)を見る限り、オメガ3サプリのメリットは「ふだん魚を食べていない人」に出やすい可能性があったりします。すでにサバやイワシ、サーモンなどを週2回ぐらい食べている人だと、さらにサプリを足しても追加のメリットは小さそうですが、魚が苦手だったり、外食中心だったり、植物性中心の食生活でDHA/EPAが少なそうな人なら、サプリで不足分を補う意味はあるでしょう。
ということで、オメガ3サプリの効能はかなり人を選ぶので、このサプリについて考えるときは、いきなり「どの商品がいいか?」ではなく、まずは「自分は魚を週に何回食べているか?」をチェックしたほうがいいでしょう。もし現時点で週2回ぐらい脂ののった魚を食べているなら、心臓や脳の健康目的でわざわざサプリを足す優先度はそこまで高くないでしょう。一方で、魚をほとんど食べない、外食が多い、魚が苦手、植物性中心でDHAが少なそう、みたいな人はサプリを検討する余地がありますね。
その科学、本当に正しい?真の「科学的思考力」を鍛えるクイズをやってみよう!#3「「ストレスで胃に穴があく」は本当か?」

「真の「科学的思考力」を鍛えるクイズをやってみよう!」の続きです(#1)。
このシリーズでは、ポップサイエンスや科学の報道にありがちな落とし穴をチェックしつつ、「ものごとを科学的に考える」とはどういうことか?を説明しております。パレオチャンネルでは、「科学的な思考が大事!」と口を酸っぱくして言ってますけど、実際にどのように考えるべきなのか?って問題ですな。
そこで、こないだは「空腹の裁判官は判決が厳しくなる!」という話を取り上げました。簡単に言えば、前回のポイントは、
- それっぽい説明は、必ずしも正しいとは限らない
- 相関があっても、原因がわかったとは言えない
- 研究の“測っていないもの”に注目すると、別の仮説が見えてくる
というところでした。ということで、今回も同じく、昔からよく聞く科学っぽい話を検証してみましょうー。
珍妙な科学問題2:「ストレスで胃に穴があく」は本当か?
さて、今回のテーマは「ストレスで胃に穴があくは本当か?」であります。これは、かなり多くの人が一度は聞いたことがある話でして、仕事が忙しすぎる人に対して、
- 「そんなにストレスを溜めたら胃に穴があくぞ!」
みたいに言うことは、いまでも普通にありますからね。しかも、この話は直感的にもかなり納得しやすいところがありまして、誰でもストレスがたまると胃がキリキリするし、緊張すると食欲がなくなるし、不安が強いと吐き気がすることもあるはず。となると、
- ストレスが強い
- 胃酸が増える
- 胃の粘膜がやられる
- 胃に穴があく
という流れは、なんとなく自然に見えるわけです。実際のところ、「ストレスで胃に穴があく」って主張はネットでも普通にありまして、
「強いストレスが続くと胃酸の分泌が増え、胃の粘膜が傷ついて胃潰瘍になることがあります」
「責任感が強い人や神経質な人は、ストレスをため込みやすく、その結果として胃に穴があくこともあるので注意が必要です」
みたいな文章はいくらでも見つかるわけです。それぐらいベタな考え方だってことですな。
この説が広まったのは20世紀前半から中盤で、この頃の医学では、胃潰瘍の主な原因は、
- ストレス
- 性格
- 食生活
- 生活習慣
- 胃酸の出すぎ
あたりだと考えられていたんですよ。特に20世紀前半から中盤にかけては、「胃潰瘍はストレス病である」という見方がかなり強かったもんで、「忙しいビジネスマンが胃を壊す!」「神経質な人が胃を壊す!」「責任感が強い人ほど胃に穴があく!」みたいなイメージが強かったんですよ。なんとなく納得感のある説明ですよね。
が、ここで一歩踏みとどまって考えたいのが、「この説明は、本当に原因まで特定できているのか?」という問題であります。「ストレスで胃が痛くなる」はかなり実感しやすい話ですが、それと「ストレスが胃潰瘍の主因である」は別の話なので、ここを混ぜてしまうと、かなり雑な因果関係を想定しちゃうことになります。
ステップ1 まずは“常識”をちゃんと見てみる
ということで、この「ストレスで胃に穴があく」って説を検討してみましょう。「ストレスで胃に穴があく」という説明は、ざっくり言えば、
- 強いストレスを受ける
- 胃に負担がかかる
- 胃の粘膜が壊れる
- 胃潰瘍になる
という流れで構成されてまして、これは一見すると、かなり筋が通っているように見えるわけです。実際、ストレスがあると胃が痛くなる人はいますし、緊張で食欲がなくなる人もいるので、「ストレスが胃に悪い」というところまでは、体感的にも納得しやすいでしょう。
しかし、ここで注意したいのは、毎度おなじみ「相関が因果関係っぽく見える」って考え方であります。簡単におさらいすると、これはふたつの現象が同時に起きているからといって、一方がもう一方の原因だとは限らないって話でした。
では、この「相関と因果の混同」をもとに、「ストレスで胃に穴があく」って説を検討してみると、どのような論理的な穴が考えられるでしょうか? 以下のような文章を読んだときに、まず疑うべきことはなんでしょうか?
ある調査によれば、強いストレスを感じている人ほど胃の不調を訴える割合が高く、研究者は「ストレスが胃に大きな負担をかけ、胃潰瘍の原因になる可能性がある」と説明している。
答えを考えてみて、思いついたものを紙に書き出してみましょう。
鈴木祐
1976年生まれ。新宿区在住のライター/編集者。パレオダイエットにくわしい人。普段はチャイナ服ではありません。ライター歴は18年ぐらい。科学の知見を自分のカラダで試していくのが趣味で仕事。
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