
北米MMAを知り尽くした男・水垣偉弥がここ最近のMMAシーンを語りまくります(聞き手/ジャン斉藤)
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・【2万字】ファイターvsプロモーターの対立は必要■笹原圭一
――水垣さん、令和に首相撲がクローズアップされる事件が起こりまして。萩原京平選手がメへウラの首相撲の前に負けてしまったと(裁定はメへウラの体重超過があったためノーコンテスト)。首相撲が有効になった試合でした。
――ああ、そうだ。修斗・軽量級を支えたマモルさん。
水垣 首相撲を一番うまくMMAに落とし込んだのはマモルさんだと思うんですよね。
――あの頃の修斗の映像ってそんなに出回ってないから、いまのファンはピンとこないかもしれないですけど。
水垣 マモルさんよりボクのほうが背は高いし、レスリングも強いのに首相撲で、いなされちゃうんですよね。それくらい首相撲は有効な技術なんですけど、難しいっちゃ難しいですよね。ヒジとの相性もいいですし、覚えればすごい武器になるんですけど。レスリングで差しちゃうとヒジは打てないですけど、首相撲はヒジが使える。MMAとの相性はすごくいいですよね。
――いまのMMAってヒジは重要なポイントですね
水垣 やっぱりヒジとの相性が抜群にいいので、使いこなせると大きいです。レスラーはどうしても差してレスリングしちゃうじゃないですか。キックやムエタイ出身の人がレスラーのテイクダウンや差しに対して首相撲で対抗していく。それはそれでなかなか難しい部分はあるんですけど、使いこなせたらすごい武器にはなるなって。
――マモルさんの話を聞きたくなりましたね(笑)。
水垣 首相撲談義をしてもらったほうがいいですよ。だいたい下ネタトークで役に立たない話が9割なんですけど(笑)。
水垣 けっこうしますよ。ウチのジム(シューティングジム八景)はもともとキックのジムだったので、会長にやらされました。ボクは嫌いでしたけどね(笑)。アメリカのボクシング+レスリングに憧れた10代だったので。
――「首相撲になんの意味があるんだろう?」と思ったくらいですかね?
――ムエタイは試合間隔が短いから、リングに立てなくなる技はご法度だったわけですね。
水垣 会長から勧められたんですけど、「ふくらはぎを蹴ってもな……」みたいな感じで。ボクがもうちょっと素直な人間だったら、一世を風靡してたかもしれないです(笑)。
――「ミズガキック」として「イマナリロール」のように世界的に定着していたかもしれない。
水垣 イマナリロール、ニンジャチョークにミズガキックが並んでましたね(笑)。
――失なわれている技術はどの格闘技にもあるんでしょうね。柔道もルールが変わって20年前とは違う競技になってたり。
水垣 両手刈りが禁止になって、タックル系ができなくなりましたよね。
――外国人のタックルが猛威を振るいましたよね。
水垣 あのルールなら、ダゲスタンが柔道を制しちゃいますよ。MMAって柔術家から始まって、レスラーが下から極められたけど、今度はテイクダウンしないストライカーが現れて……順番が回っていくうちに技術がどんどん上がって、ストライカーやグラップラーの境目がなくなっていったんですけど。同時に誰も使ってない技術が掘り起こされてブームになる。それを攻略してるうちに、また忘れた頃に次の技術がやってくる感じがします。

水垣 基本的には少なかったんじゃないですかね。ストライカーだからレスリングの対策はするけど、首相撲だけの練習はそこまでやる人も少ないと思うんですよね。ボクはマモルさんと練習させてもらってたんで、首相撲に免疫があったほうだと思うんですけど。
――首相撲も練習して試合で役立ったことありました?
水垣 あります! UFCで1回だけKO勝ちしてるんですけど、相手からめっちゃ首相撲されて。首相撲返しじゃないですけど、殴りまくってノックアウトしてるんですよね。ある意味マモルさんのおかげです(笑)。
――その勝利の影には、首相撲で費やした時間があったわけですね。
水垣 やっぱりスパー相手の中に首相撲をやる人がいると、自然と学んでいくと思うので。いろんな練習相手がいることが大事かなって。
――興味があるものに奔ると。
水垣 プロになりたてぐらいのときは格闘技をやること自体が楽しいんで、試合を見て気になる技術をマネすることが多い。そうすると格闘家としての幅も広がるんですよね。でも、UFCだと1試合1試合が負けられない。次に負けたらクビみたいな状況に追い込まれていくと、目の前の勝つための練習になっちゃう。そうすると自然と幅は狭まっちゃいますね。それこそ萩原選手はけっこう早めにRIZINに出て、人気もバッと出ちゃって、負けられない状況にいた選手。そうすると勝つためのコスパのいい練習が多くなるので、首相撲には行きつかないんじゃないかなって見てますね。
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