ホルムズ海峡を巡る米国・イランの動向
1:ホルムズ海峡に関する20266月の米イラン暫定合意(MOUMemorandum of Understanding
。規定2026617日(現地時間)、トランプ米大統領とイラン大統領ペゼシュキアンが署名=「イスラマバード覚書」(MOU14項目程度とされる暫定合意)。
戦争終結に向けた枠組みで、60日間の交渉期間を設定。
主な規定(ホルムズ海峡関連を中心に):ホルムズ海峡の再開:イランは商業船舶の安全な通航を認め、60日間は通行料(toll)無料。米国はイラン港湾に対する海軍封鎖を即時解除。
2:60日後:米国は、通行料(toll)無料の永久化を意図。
イランはホルムズ海峡への主権を主張し、将来の海峡管理体制を意図。
3. 2を背景に合意に達する見通し:見通しは「脆弱で不確実」。
60日間の交渉期間中(6月下旬〜8月頃)に最終合意を目指すが、すでに亀裂。
4:最新状況6月下旬):船舶攻撃を巡る相互非難で米がイラン施設を空爆、イランが米軍基地(クウェート・バーレーンなど)をミサイル・ドローンで攻撃。攻撃停止と協議再開で一時的に落ち着きつつあるが、停戦は不安定。
. イランは何故米側攻撃を恐れないか
イランは**非対称戦力(asymmetric warfare**で優位性を保てると計算。
全面戦争を避けつつ、米国に高コストを強いる戦略。
米国がイランの無人機・ミサイル・小型ボートを軍事的に排除できる可能性:
米国は20262月以降の戦争でイランのミサイル・ドローン能力を大幅に劣化(数千の標的攻撃、発射装置・保管施設・レーダー破壊)したとみられるが、その後の調査で、7割程度ふっ供したとみられている。
イランの資産は安価・多数・移動式(Shahedドローン数万基規模、ミサイル数千基)。飽和攻撃で防空を飽和させ、一部突破可能。完全排除には時間・資源を要し、完全封鎖は難しい。

イランの米軍基地攻撃能力とトランプ政権の耐性:

能力あり。地域の米軍基地(バーレーン第5艦隊、クウェートなど)をミサイル・ドローンで攻撃可能(実際に20266月に報復攻撃実施、基地に損害)。小型ボート・機雷でホルムズ海峡の船舶を脅かし、保険料高騰・輸送停滞を誘発。
トランプ政権の耐性:イラン戦争は開始投射から米国民の多数は反対。世論調査(202636月):イラン攻撃・戦争開始に反対多数(4961%反対、支持は2141%程度)。
自国兵の死亡には極めて敏感に対応。
共和党内に、戦争終結に向けての圧力発生。
イランが恐れない理由:非対称優位で米国に「勝てないが、痛めつける」戦略。
。過去の制裁耐性も背景。
5. トランプはイラン攻撃に反対する米国国民をどこまで無視できるか
。トランプの対応を不支持多数。共和党支持層は比較的容認(40%前後支持)。
トランプはポピュリストとして「国家安全保障・石油の自由航行」を強調すれば支持を維持しやすい。迅速な作戦や「ディール」成功なら世論は追従しやすい。
限界:長期化・米兵死傷者増加・原油高で支持急落。202611月の中間選挙を控え、過度な無視はリスク。
6. ホルムズ海峡がイランの管理下になる(通行料徴収)はどれ位高いか
極めて高い
通行料の規模:イランが主張・実施した水準で船舶1隻あたり約200万ドル(VLCC大型タンカー換算で約1ドル/バレル)。これが恒常化すれば:年間収入:イラン側で数十億〜900億ドル規模の試算(JP Morganなど7090億ドルの指摘も)。
湾岸輸出国(サウジ・UAEなど)の負担:年6140億ドル程度(大部分を吸収)。
影響:原油価格に上乗せ(0.050.40ドル/バレル程度の試算だが、心理的影響大)。代替ルート(パイプライン)は限定的。イランに巨大な収入源と政治的レバレッジを与え、米国・同盟国に「管理下の海峡」という屈辱と安全保障リスクをもたらす。
結論:暫定合意は「一時しのぎ」で、根本解決には核・代理勢力問題の進展が必要。状況は流動的