議会の混迷の中、幾つかの断片的動き。
 ①読売「国会審議の正常化・皇室典範改正案を最優先に森衆院議長(旧宏池会)が与野党幹事長らに要請、現状に「憂慮」。与党が衆院議員定数削減法案等の審議を野党不在で進める中、正常化を呼びかけ、皇室典範改正案の審議を最優先にするよう求めた」
 ⓶①大越健介(報ステ)
「与党が衆院議員定数削減法案を、野党の反対を押し切る形で「職権」の連発で審議強行に)選挙や国の形という重要問題で与野党合意形成を待たず数の力で押し切ろうとしているよう。数頼み押し切るのは、あってはならない行為」
これを背景に①  比例区の削減の問題点、②自民の議会での強硬姿勢の問題点を見て見たい。
1: 比例区の削減の問題点
現在の衆議院定数は465議席(小選挙区289 + 比例代表176)。
与党提出の法案は1年以内の与野党協議で結論が出なければ、比例代表を45議席削減(176→131)する自動条項を盛り込んでいる(当初の小選挙区25+比例20のバランス型から、比例のみ45削減にシフト)。
主な問題点:
(1)多様な民意の反映機能の弱体化
比例代表は、小選挙区で生じやすい「死票」を補完し、中小政党・少数意見・地域の声・女性候補などを議席に反映させる役割を担っている。
比例を大幅に削減すると、この補完機能が低下し、議会全体が小選挙区中心の「多数派優位」型に近づく。結果として、少数派の声が議会に届きにくくなり、政策の多様性が損なわれる懸念。
中小政党・野党に不利で、大政党(与党)に有利に働く
過去の試算でも、比例削減は中小政党の議席を比例以上に減らす傾向。
朝日新聞の試算では、前回選挙結果を基に比例45削減を当てはめると、与党の議席占有率が76→80%に上昇すると指摘されている。得票率と議席占有率の乖離がさらに拡大し、「民意の歪み」が強まる可能性。
「身を切る改革」ではなく「党利党略」との批判
総定数削減自体に一定の合理性(人口減少対応・歳出削減)はあるが、「比例のみ45削減」という選択は、小選挙区をほぼ守りながら比例を狙い撃ちにする形。与党(特に維新との連立維持の文脈で)有利な制度変更に見えやすく、公平性に疑問
選挙制度は「有権者の意思をどう正しく反映するか」で決めるべきもの。
有権者の選択肢が狭まる
比例区が減ると、中小政党が議席を得にくくなり、結果として有権者が「支持したい政党・候補」に投票しにくくなる可能性。大越氏が指摘した「有権者の選択肢を狭める」点が、まさにここに該当。
 「比例のみ」に特化する点は、制度のバランスを崩すリスクが高い。
2:現在の議会運営上の問題
 自民の議会での強硬姿勢与党は、野党5党が審議拒否・欠席する中、委員長の職権で審議入りを強行し、質疑を進め、採決の構えを見せている。
これは大越氏が言う「職権の連発」「数の力で押し切る」典型例。
この姿勢の問題点:
選挙制度という「国の形」を決めるのに、熟議を欠く
選挙制度は三権分立や民主主義の基盤そのもの
過去の大きな制度変更(1994年の小選挙区比例並立制導入など)でも、与野党の一定の協議や合意形成が重視されてきた。与野党合意を待たず、多数の力で強行するのは、「数の論理が民主主義に優先する」というメッセージに
国会正常化を阻害し、政治不信を招くリスク
野党がボイコットする中での強行は、中長期的には「与党が勝手に決めた選挙制度」というレッテルを貼られ、制度の正当性が損なわれる。有権者から見れば「自分たちの代表を選ぶルールを、与党が自分たちに有利に変えた」と見られ政治全体への信頼低下を招く。大越氏の「有権者はそこまで白紙委任したのか」という問いかけは、この点を鋭く突いている。
与党側の理屈と限界
与党側は「公約実現」「野党の非協力的な姿勢」「効率的な審議」を主張。
選挙制度のような根本問題では「多数決で決めること自体が問題」との批判は根強い
3:総括大越氏の指摘通り、選挙や「国の形」を決める問題で、与野党合意を待たずに数の力で押し切るのは、民主主義の作法として望ましくない。
比例のみ45削減」という内容と、それを「職権」で強行する手続きの両方が、党利優先・手続き軽視である。
現在の強硬姿勢が続けば、短期的な法案成立はあっても、中長期的な政治の質や国民の信頼を損なう結果になる。