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名古屋格闘技界を牽引する春日井“寒天”たけしさんのヘッドコーチ論です!(聞き手/松下ミワ)

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セコンドから見た伊藤裕樹のRIZINドリーム!!■梅村寛






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RIZIN長崎大会では、寒天選手がセコンドについた芦澤竜誠選手の試合が、最終的にはKO負けという結果になりましたが、かなり話題になりました。

寒天 まあ、そうですねえ。凄く盛り上がっていい試合だったんですけど、正直言って勝てた試合だったし、もの凄くもったいなかったです。最初は「こう戦おう」と言ってたとおりで、凄くいい距離感だったんですけど、やっぱり一発もらうと向かって行ってしまうところが……まあ、そこがいいところでもあり、悪いところでもあるんですけど。

――
試合後、芦澤選手がつい「熱くなっちゃう」という点を指摘されていましたが、それは普段の練習でも感じていたことだったんですか?

寒天
 いや、練習ではそんなことは感じてないです。まあ、一種のパニック状態ですよね。でも、そこも改善できるはずなんで。

――
えっ、改善できるんですか?

寒天
 できます、できます。そこも改善するし、本人も何がダメだったかはもう明確にわかってるし。だから、ボクらの中では強くなるイメージしか湧かないです。ボクはあと数ヵ月で彼をMMAファイターにさせる自信はありますね。それを彼には伝えてあります。正直簡単……まあ簡単と言っても、もちろん努力が必要ですけど、彼は覚えが早いんでね。

――
芦澤選手の戦い方は試合が盛り上がるぶん、セコンドとして複雑な思いもありますよね。

寒天
 やっぱり勝ってほしいですよね。ブレイキングダウンの試合もそうだったけど、やっぱり盛り上げて、かつ勝ってほしい。彼は身体を張りすぎちゃってる。まあ、そこが彼のいいところだし、引退前のボクにはなかったところなんですけど。

――寒天選手としても、いまの芦澤選手に求めたいのは勝利ですか。

寒天
 もちろん。みんな彼が勝つところを見たいでしょ? 今回だって温かいコメントであふれてますよ。まあボクも一緒にいて9ヵ月ぐらいですけど、彼の人間くさいところが大好きだし、それが見てくれてる人に届いてるはずなんですよね。

――
ファンも感情移入しちゃいますよね。

寒天
 そんな選手なかなかいないですよ。

――
そんな寒天選手と芦澤選手は、そもそもの接点というのは?

寒天
 ええっと、最初はボクがDMを送りましたね。去年の大晦日のジョリー戦で彼が負けたあとに。

――
DMを送ったんですか?

寒天
 そもそもなぜDMを送ったかというと、ボク『喧嘩旅』をけっこう見てたんですよね。

――
ABEMAで放送されていた『芦澤竜誠と行く ぶらり喧嘩旅』ですね。

寒天
 その最終回で彼は「俺は一人で戦ってた」と言ってたんです。俺、その気持ちがめちゃくちゃわかって。だから「一緒に戦いませんか?」とDMを送ったんです。そしたら、すぐに会いに来てくれて。そこでいろいろ話したんですけど、そのときに「これは俺と合うな」と。

――
「気持ちがわかる」というのは具体的には?

寒天
 ボクも一人で戦ってたんで。最後のほうは、セコンドに日沖発さんがついてくれたんで凄く心強かったんですけど、ボクは志村道場の所属で。まあ、もちろん館長はついてくれるんだけど、毎回セコンドは変わるし、館長もやっぱ忙しいんで、ボクの練習を毎日見ているわけじゃないじゃないですか。だから俺、親父と一緒にやってる選手が羨ましかったんですよ。たとえば、那須川天心選手、亀田兄弟、井上尚弥選手もそうですけど。だって、絶対に裏切らないから。

――家族だから結びつきは強いですよね。

寒天 そんな存在がずっと練習も見てくれて、深いところでつながっていて。そんな人が試合のときに一緒にいてくれたら凄く落ち着きませんか? 俺にはそういう存在がいなかったんですよね。だから、ボクは引退してからずっと選手の“親父”みたいな存在になりてえなって。

―― 一人で戦っていた芦澤選手の“親父”になりたい、と。最初、芦澤選手の練習を見て、率直にどうでした?

寒天
 運動神経いいなと思いましたね。

――
おお~、そうなんですね。

寒天
 なんか、無駄なことやらせたくないなと思ったし。だからポイントを押さえてやっておけば大丈夫という感じで練習してました。だから今回、技術を教えたというよりコツを教えただけなんですよね。たとえば、下から立ち上がるコツだったり、テイクダウンをディフェンスするコツだったり。もうそこだけ。じゃあ、いまから柔術やるとかじゃないです。そこはやらなくていい。

――そうやって方向性を決めてもらえるのは心強いでしょうね。

寒天
 それを覚えるのが早かったし、彼は本当に動きもいいです。

――
そんな中、出会って2ヵ月でブレイキングダウンでの試合がありましたが、その試合はどうご覧になってたんですか?

寒天
 ブレイキングダウンの試合はね、ボクが彼を名古屋に呼んだときにはもう決まってたんですよ。

――
そうだったんですね。

寒天
 でも、ボクはMMAしか教えられないから。ブレイキングダウンのルールは正直、ボクは素人だから。でもボクが彼を名古屋に呼んだんで、もうボクに責任があるじゃないですか。だから、そこはセコンドにつくかは迷いました。でも、しょっぱなに俺がセコンドにつかなかったら、絶対に心もとないなと思ったから、どういう戦いになるかわかんないけど、最終的には俺はセコンドつきましたね。

――
もし、まだ参戦が決まってなかったら、そのタイミングで試合するのは止めてました?

寒天
 ボクが止めるわけでもないんだけど、ボクはMMAしか教えられないよ、と。ただね、結果は負けちゃったけどトライしたことは素晴らしいですよ。ぜんぜんマイナスじゃない。だって、人間って不快感を超えないと進化しないですもん。今回の試合もそうですけど、試合って一種の不快感なんですよ。でも、それを超えたら進化するんです。だから彼は2試合ぶん進化してる。格闘家としてもそうだし、人間的にもね。

――
ちなみに、芦澤選手は性格的にけっこう一匹狼だと耳にするんですけど、そこは寒天選手としてはどうでした?

寒天
 いや、一匹狼でしょう。でも俺だって一匹狼だもん。それでいうと寒天練のメンバーで群れてるヤツ、一人もいないですよ。

――
寒天練とは、東海地区で寒天選手が主導でやってるプロ練のことですよね。

寒天
 もちろん群れてる人も悪くないです。ただ、ボクらは群れない生き物なんで。だからボクらの練習メンバーで、じゃあプライベートで「今日夜飲みに行くか」なんてことはまったくないですから。たまに、祝勝会とかでスポンサーを交えて行くことはありますけど、それ以外は必要がない。

――
そういう意味でも、寒天選手のところが肌に合うということなんですかね。

寒天
 それは彼に聞かないとわかんないけど。だからいい意味でボクらは人に興味がない。もちろん、大事な仲間ですけどね。

――
じゃあ、今後も芦澤選手は寒天選手と一緒にやっていく見通しが立っているという。

寒天 もちろん。やることわかってるし、二人で前を向いてますから。ボクね、この2試合で彼の人間味が凄く……なんか彼って格好つけないじゃないですか。インタビューも、あれ素だもん。本当に素だからみんなに伝わったし、絶対みんな彼の勝つところを見たいですよ。それ彼にも言ったけど、竜誠が勝つ姿を見たら「俺も明日頑張ろう」って絶対みんな思うと思うんですよ。これね、どういうことかというと、国力が上がるんですよね。

――
国力が上がる!

寒天
 そんな国力を上げられる人間なんてどこにいます? 俺はなかなかいないと思うよ。俺はその手伝いがしたいと思ってる。いまの竜誠はどん底じゃねえか、と。試合後のインタビューでも言ってたじゃないですか。「俺よりどん底のヤツがおるか?」って。「俺も頑張るから、オマエら頑張れよ」って。もうね、俺は次にアイツが勝つのが楽しみです。

――
芦澤選手の勝利はそれだけの価値がある。

寒天
 いまの日本にとってめちゃめちゃ刺激になる。いま、どんだけの人が見てるかわかんないけど、みんな見ろ! 格闘技が好きとか嫌いとかどうでもいいから、みんな竜誠の試合を見ろよ。国力が上がる。勝った瞬間爆発するから。

――
それを側で支える身としては、寒天選手も楽しいでしょうね。

寒天
 バクバクする。もう次にしか動いてないです。

――
ところで、今回は先ほど話に出た「寒天練」についてもうかがいたくて。これってスタートしたのはどのくらいからだったんですか?


・8年近く続く「寒天練」とは何か
・セコンド料をもらうことで生まれる責任
・昔のMMAにはヘッドコーチはいなかった
・MMAはメンタルスポーツ
・目指せジャパニーズ・マイク・ブラウン
・大和魂を使え……13000字の続きは会員ページへ




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