
RIZINマッチメイカー柏木さんが語るリアルなMMA現場20000字です(聞き手/ジャン斉藤)
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・シェイドゥラエフはなぜUFCに行かなかったのか■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
――今回も柏木さんにMMAシーンの現在をざっくばらんに語っていただきます。
柏木 よろしくお願いします!
――まずはRIZIN長崎ですが、前評判はあまり芳しくなかったものの、めっちゃ盛り上がりましたね。
柏木 長崎はよかったんじゃないですか。トラブルはありましたけれども、やはりPPVを買ってみていただいた方、会場に足を運んでいただいた方たちの満足度は高かったんじゃないかなと思います。
――いままでのRIZINの大会の中では、一番期待度が低かった感じはしたんですけど……。
柏木 散々言われていたんですけど、フタを開けてみたら「やっぱりRIZINって面白いよね」という結論に行きついたんじゃないかなと。
――RIZINって期待されてないときほど神興行になる、というジンクスってありますね(笑)。
柏木 そうですね。やっぱりヘビー級も最高だったじゃないですか!!!!!
――ヘビー級責任者としての言葉が重いです(笑)。たしかに荒東“怪獣キラー”英貴 vs 長谷川賢は面白かったですね。
柏木 激闘すぎて長谷川選手がインターバルなのに自分のコーナーに戻れない。あんなシーンは見たことないですよ!
――あれ、失格にならないのかとビックリしたんですけど。
柏木 ああ、たしかにそうですよね。自力でコーナーに戻れなかったらどうなるのか。インターバル中は自分自身のコーナーに戻らないといけないというルールはないはずですよね。
――これによって「長谷川賢ルール」ができるかもしれない(笑)。
柏木 あと安井(飛馬)選手とコレスニック選手のパフォーマンスはよかったんですけど、試合後のマイクがちょっともう……
――RIZINってマイクにやけに厳しいですよね(笑)。
柏木 そこも厳しいんですよ(笑)。パフォーマンス100点、マイクがマイナス200点という試合もあったりしますので。
――どんな暴言を吐けば「マイクがマイナス200点」になるんですか!(笑)。
柏木 ボクも最近理解できるようになってきたんですけど、イベントの流れって重要なんですよね。お客さんの感情の波をいかにメインまで上げていくか、繋いでいくか。そこはイベンターとして気をつけなきゃいけない。なので、試合がよかったのにマイクがダメだと勢いが下がっちゃうんです。
――でも、選手は試合後だから興奮してるじゃないですか。うまくマイクするのは難しいというか。
柏木 なかなか難しいと思います。もうアドレナリンがバンバン出てる中、理性をコントロールしながらマイクするわけですから。
――短くしたほうがいいときもあれば、自分の思いを長く伝えたほうがいいときもある。正解のマイクの方程式は決まってないわけですよね。
柏木 そこはセンスだと思います。とくに外国人の選手は通訳が入るので長くなっちゃうんですよね。たとえば一気に10秒近くも喋られると、お客さんは置いていかれるじゃないですか。そこは区切って通訳してもらって、また話すとか。そういうやりかたを教えることも大事なのかと思いましたね。
――やっちゃいけないのは「神、仲間、セコンドに感謝です」かね(笑)。お客さんには関係のない話ですから。
柏木 コレスニックは全部やってましたね(笑)。あたりまえですけど、選手は試合に勝つことしか考えてないし、イベント全体のことを見ないですから。
――UFC の場合は、アナウンサー役が選手に質問を振るけども、そこも良し悪しですよね。選手に任せたほうが何か面白いことが飛び出す場合もあるし。
柏木 海外はテレビ番組としてやっているので、必ずアナウンサーがつくんです。それにマイクを渡すと、ずっと喋りっぱなしでいつマイクが戻ってくるかわからないんで。選手によってはマイクを奪おうとするじゃないですか(笑)。
――オン・ステージになっちゃうわけですね(笑)。メインの堀江圭功vs宇佐美正パトリックはRIZINでは珍しいキャッチウェイトになりました。
柏木 事前にキャッチウェイトに合意するのは、普通にあることなんですけどね。ちょっと話はズレるんですけど、私が知ってるかぎり、アスレチック・コミッションが管轄する州では違反した選手はファイトマネーの20%を罰金で持ってかれるんですよ。でも、なぜかコミッションに10%、選手に10%の割り振りなんです。
――なぜコミッションに?
柏木 意味がわかんないですよ。だったら選手にすべて渡したほうがいいじゃないですか。自分もカリフォルニアでマッチメイカーをやっていたときは、コミッションに10%渡すぐらいだったら、事前に交渉して対戦相手に15%が行くようにする提案はしてました。
――ああ、なるほど。そのほうが選手にもいい話ですね。UFCだと計量する前にキャッチウェイトに変わってるときがたまにありますね。
柏木 ありますね。でも、今回は体重計に乗っちゃったんですよね。だからあらためて協議してキャッチウェイトになったんですけど、それはあくまでもプロモーターとしては、メインイベントがノーコンテストルールはできれば避けたいと。
――メインがノーコンテストルールでは締まらない。
柏木 宇佐美選手からキャッチウェイトを持ち出したというわけでもないですし、主催者が提案したわけです。通常だったら淡々とお役所仕事としてノーコンテストルールで進めてますよね。
――今大会で100グラムオーバーの山本聖悟選手はノーコンテストルールでした。でも、メインイベントだからこそ……。
柏木 どうしてもノーコンテストルールだと、勝負論が薄まってしまうので、熱狂を作れないじゃないですか。格闘技のいいところって、感情の起伏がすごいというか、この熱狂ってどのスポーツにも勝てないんじゃないかなって。そう考えると初めての長崎大会で、地元の堀江選手がメインを張る中、ノーコンテストルールはできれば避けたいですよね。なので、交渉はまとまらないかもしれないけれども、「最大限やってみよう」という社長の言葉がありですね。そこからみんなが試合実現に向けて動きましたね。
――交渉で難しいのは、クリアしてる側がリスクを背負わなきゃなんない。そこを解決するのがお金だったと。
柏木 そのとおりです。どんだけ綺麗事を言っても、お金はポイントのひとつになりますよ。
――オーバーした側が罰金を払うのはわかるんですが、今回主催者が堀江選手に上乗せしたわけですよね。
柏木 RIZINの場合、計量オーバーしたらファイトマネーの何%が罰金……ということはルールブックには明記されてるんですけども、それはあくまでもプロモーターに対する罰金ですからね。今回はプロモーターが公式戦にしたいと望んだわけなので、それはプロモーターの都合で決めたことです。
――だからプロモーターが払うと。
柏木 そこでお金が発生しないと、堀江選手からしたら本当に旨味がないわけじゃないですか。
――ただムチャさせてるだけではなく、メリットがあるってことがファンに伝わるのはいいことですよね。
柏木 堀江選手は条件に合意して、公式戦でやると気持ちを入れ替えてくれたので成立したってことですね。そこは社長の嗅覚というか、チマチマと交渉やる場合じゃないと。気持ちよくドーンと行こうということで話はまとまったし、この盛り上がりに繋がったと思いますよね。
――キャッチウェイトにしたからこそ「ここで宇佐美選手が勝ったらどうなっちゃうんだろう」というドキドキ感が出ましたね。
柏木 試合前にあんなにブーイングが飛ぶのは初めてですよ。
――ここで宇佐美選手が勝ったら「やっぱりノーコンテストルールのほうがよかった」という声も挙がっていただろうし。
柏木 そうなんですよね。そこがすごく難しくて。「これを機にノーコンテストはやめよう」という意見が出るのもすごくよくわかるんですよね。ただ、ボクは性善説でいきたいんですけれども、キャッチウェイトをあたりまえにしちゃうと、やったもん勝ちになっちゃうんですよね。減量でちょっと心が折れたら、お金で解決という逃げを作るのはどうしてもよろしくない。たとえばファイトマネー10万円でペナルティが20%だとしますよね。「2万円払えば、こんなつらい思いしなくていい」となったら「キャッチで……」となっちゃう。それが頻発すれば、ストーリーも難しくなるというか。次期王座挑戦者決定戦がキャッチだと、なかなか納得いかないですよね。
――伊藤裕樹vsガジャマトフも事実上の次期フライ級王座挑戦者決定戦でしたけど、ガジャマトフはだいぶ前からキャッチを希望してたんですよね。
柏木 3ヵ月前から言い出すのは、ちょっと待ってくれと(笑)。だったらバンタムに上げるかですよね。
――でもガジャマトフは試合はしたかったし、稼ぎたいけど、フライの身体を作るのはしんどいと。
柏木 そこはケガ明けという事情もあって。ガジャマトフとケラモフの境遇は似てるんですよね。手術したあとに動けない時期があって、体重が増えてしまったという。
――ケラモフに関しては、柏木さんが減量のサウナに付き合うという友情物語が世の中に美しく喧伝されますけど、笹原さんは「友情でもなんでもなかった」と言ってました(笑)。
柏木 全然、友情じゃないですよ!
――「ケラモフ、キミのために俺もサウナに付き合う!」という話ではないと(笑)。
◎キャッチウェイトを巡るケラモフ戦
◎判定を巡る格オタ戦
◎契約更新を巡るコレスニック戦
◎契約更新を巡るサバテロ戦には敗北?
◎シェイドゥラエフを巡るRIZINvsPFLvsアリ・アブデルアジズの3WAY
◎複数回契約を巡るカファロ戦
◎複数回契約のパッチー・ミックス戦には勝利?
◎いま一番の難敵・北米若手ファイター戦
◎新局面のMVPナキサ戦
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