59歳になって最初の留守電メッセージは、何やら素敵な女性から「菊地くん、誕生日おめでとう。うふふふ。もう59かあ。でも菊地くんは変わってない筈だよね。近々久しぶりで会えない?」とかいった艶っぽいものでもなんでもなく(念の為、これパブリックイメージを素材とした妄想である。こんなキチガイみたいな知り合いはいない)、新宿ピットインの店長(男性、因みに同い年)である鈴木かんちゃんからのものだった。

 

 僕は前夜の3時間DJ、前々日のチルドレンワークショップと、2日続けて刺激的で有意義ではるが、ぶっちゃけ物凄い疲れる(体力的に。どっちもサバール叩きまくったし。靭帯損傷は再悪化しているのに笑)仕事明けで(さらにDJ後は、そのままスタジオに行ってラジオデイズの収録までしたのである)、本当にふらふらになっていた。

 

 僕の「祝われ嫌い」は、草の根運動の甲斐あって、やっと浸透し、昔のように山のようなプレゼントやお祝いメール、というものは(ファンの方からの、数通のそれは除いて)全くなく、「さあ、今日も仕事だ」と、バッキバキになった体を引きずり起こすようにしたら、ガラケーがピカピカ光っている。

 

 「ああ、誰かがまだおめでとうとか言ってくるのかうぜえなあ(ファンの方に言っているのではない、ガラケーだから知り合い限定になる)」と思いながらパカッと開けると、留守電が入っており「かんちゃん」と表示されていたのである。誕生日おめでとうなどという男ではない。何かのトラブルだ。

 

 朝起きて一発目からトラブルかよ、と思いながら聞いてみると。「ああ、なるちゃん?ピットインの鈴木です。あのさあ、今度ウチからね、オマさん追悼のCD出すんだよね。それでさあ、そこに、ゆかりの人たちのコメントを寄せがきみたいに載せることにしたんだよ」

 

 伝説のベーシスト、オマさんに関しては説明しない。僕は男性に熱烈に抱きつかれてキスされたことが1回しかない。それがすでに80代だったオマさんである(誤解なきよう。ステージを降りてすぐの話だ)。あんなことするから死んだんだよオマさん笑、オレにチューなんかしなけりゃ120ぐらいまで行けた筈だ。人殺しにしないでくれよ笑。