LEDウォールやLCDモニター、プロジェクションなどのディスプレイ技術を用いて、ウェブページや動画、道案内、レストランのメニュー、マーケティングメッセージ、デジタル画像などを鮮やかに表示するデジタルサイネージ。顧客体験の向上、ディスプレイコストの削減、ショッピングモールやスーパーマーケットの増加もあり、デジタルサイネージを利用したキャンペーンや商品、割引などの表示といった需要は高まり続けています。

世界のデジタルサイネージ市場は、2021年から2027年の予測期間において、11.2%以上の健全な成長率が見込まれています(※1)。実際に私たちが街に出れば、屋外のみならず屋内のあらゆる場所にデジタルサイネージを見つけられるはず。ただ、映像を流すだけでは珍しくなくなってしまった今、施策にはデジタルサイネージに何を掛け合わせて独自性や話題性を持たせられるかが鍵だといえるでしょう。今回は、そんなデジタルサイネージに掛け合わせることで輝いたPR施策をまとめてお届けします。

・※1出典元:世界のデジタルサイネージ市場は、2027年まで年平均成長率11.2%で成長する見込み

1.銀座から日本中へうさぎが跳ねる。3D映像やARを駆使したセイコー「希望のうさみくじ」

テクノロジーを起点とした社会課題の解決や、あたらしい表現開発を実践するDentsu Lab Tokyoは、セイコーグループの新年の希望を届ける施策として、2023年の干支・うさぎをモチーフに3DCG技術やセンシング技術などを活用した年末年始の特別ディスプレイを、銀座四丁目 Seiko House Ginzaのショーウインドウにて2023年1月1日(日)から1月11日(水)まで展開しました。

2023年の干支・うさぎをモチーフにした彫刻家 小黒アリサさんの球獣シリーズを3Dスキャンでデジタルデータ化。複数のレイヤーで立体的に構成されたディスプレイの中をカラフルな最大50匹のうさぎが自由に跳ねる様子が楽しめる施策となりました。

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2.新型コロナ感染を気付かせる「香りのするデジタルサイネージ」

新型コロナウィルス感染症の症状のひとつとしてあげられている「嗅覚の消失」。そこで、嗅覚に異常がないか=感染していないかを気軽にチェックするため、アルゼンチンの家電メーカー「ATMA」が「香りのするデジタルサイネージ」を開発しました。

このデジタルサイネージは通常の広告のように「ATMA」の製品と、それを使って作られたクッキーやコーヒーが映し出されていますが、内部にアロマディフューザーを組み込むことによって画面に合わせた香りを出す仕組みになっており、その香りを感じることができなければ新型コロナウイルス感染症の疑いがあると伝えるものとなっています。

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3.空いたデジタルサイネージと位置情報を組み合わせることで売上を400%アップさせたThe Big IssueのOOH

 

路上生活者を中心とした生活困窮者を販売員として起用し、売上の一部を彼らに還元するストリートペーパー「The Big Issue」は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行以降、販売員の存在感が薄まってしまった事態を解決すべくイギリス国内のデジタルサイネージと位置情報を活用した大規模な施策を公開しました。

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4.デジタルサイネージ一体型自動ドアの実証実験開始 はたして大学生の反響は?

デジタルサイネージ一体型自動ドアの実証実験を早稲田大学生協ライフセンター入口(17号館1階)において開始するという発表がありました。大学施設における実証実験は今回が初となり、食堂・購買施設の商品情報や就職活動に関連した企業広告などを掲出することで、大学生をターゲットとした広告媒体としての有効性を検証する予定です。

今回の実証実験を発表したナブテスコは、独創的なモーションコントロール技術で生産現場の自動化や陸海空の安全・安心・快適な移動を支える機械コンポーネントメーカー。

今回の実証実験の結果をふまえ、広告の企画・販売機能を整備するとともに、独自の自動ドアセンサーを活用した通行人のデータ解析機能等の拡充により、施設オーナーや広告オーナーにとって自動ドアによる付加価値の高い広告事業の実現を目指していくとしています。

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5.LEDビジョンからキャラメルポップコーンの香り? 新たなデジタルサイネージの可能性

透過性LEDビジョンだからこそ実現できる”WOW”なプロモーションを提案するデジタルサイネージメーカーK&G Visual Japanが、国内最大級のライブ・エンターテイメント展示会「LIVeNT 第10回ライブ・エンターテイメントEXPO」に出展し、『ポップコーンの香り』がする映像展示がなされました。

できたてのポップコーンがその場に現れた驚きの体験のできる『香りのするLEDビジョン』では、高精細な映像からキャラメルポップコーンの匂いが漂うという演出とともにパンフレットもポップコーン風にして展示されるというおもしろい掛け合わせがありました。

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6.トイレに笑いを⁉ 究極の個室が、最高のリフレッシュ空間になるデジタルサイネージ


バカンが提供するトイレ広告メディア「アンベール」と、国内最大級のお笑いwebサービス「写真で一言ボケて(bokete)」が、新たな連携を開始。トイレ個室内のデジタルサイネージで、boketeのコンテンツを配信するとの発表がありました。

boketeは、2008年8月にスタートしてから、これまで累計1億件のボケ投稿、アプリは750万ダウンロードを突破。過去に投稿された名作も配信予定ですが、サイトとアプリ内にバカンの公式お題ページを開設し、新たなボケが投稿できるようになります。これにより、トイレ利用時に“クスッと笑える”機会を創出し、利用者にとってトイレを「笑いでリフレッシュできる空間」にアップデートすることを目指しています。

トイレ空間は、情報量が少ない1on1のプライベート空間であるため、利用者に対して明確に届けたいメッセージを伝えることが可能です。動画コンテンツはトイレ利用時のみサイネージ上で再生され、再生回数や配信結果を数値化できます。また、滞在時間に応じて画面の表示を滞在抑制につながる表示に変更したり、混雑具合に応じて広告の長さを自動で調整したり、といった特許技術(出願中含む)を用いることで、トイレの混雑抑制も同時に実現できます。

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7.誰でも1人で夜道を歩けるように! オペレーターと通話可能なサイネージ

世界各地によって公共交通機関のトレンドは異なります。日本国内、特に首都圏においては電車が主流ですが、ブラジルの一部地域ではバスが主な交通手段になっています。通勤や通学、買い物などさまざまな場面で活躍するバスですが、人通りが少ない夜の時間帯になると一部の人にとっては不安要素も発生してきます。

例えば、ある調査によるとブラジル人女性の68%は深夜に1人でバスを待つことが怖いと回答しており、市民の強い味方であるはずのバスが思わぬ事件へと繋がってしまうこともあるようです。この事態を少しでも改善すべく、同国最大規模のOOH媒体を取り扱うEletromidiaはバスの停留所にある仕掛けを施す企画を公開しました。

ある仕掛けとは、停留所にある広告看板にマイクとカメラ、そしてネットの接続環境を付与するというもの。辺りが暗くなり、停留所でバスを待つ女性を検知するとEletromidia社のオペレーターとビデオ通話が繋がり、バス待ちの女性は待機時間中にオペレーターと世間話ができる内容になっています。

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8.5階建てビルが丸ごと3D広告に! サイネージによるフルラッピング広告ビジョン登場

大阪ミナミの中でも最大の繁華街、宗右衛門町に最新技術を駆使した3Dビジョンをビルの全面に設置したデジタルサイネージ「MONSTER 3D VISION OSAKA」が登場しました。

L字型に設置されたビジョンのLEDパネルの面積は203平方メートル(高さ14メートル×幅14.5メートル)、LEDパネルは地上部分から設置されているため目の前で迫力の3D映像を体験することができます。地上1階部分から表示できることで、人の目の高さで映像を体験できる点でも稀有な媒体といえるでしょう。

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9.作った映像を送るとリアルタイムで掲出!?「安部礼司 みんなで作る応援メッセージボード」

LIVE BOARDは、TOKYO FMとJFN(ジャパンエフエムネットワーク)各局で放送中のラジオドラマ「NISSAN あ、安部礼司 ~ BEYOND THE AVERAGE ~」(提供:日産自動車)とコラボレーション。

全国に設置されたLIVE BOARDの屋外ビジョン11カ所(北海道、東京、愛知、大阪、福岡エリア)を活用し、最先端のプログラマティックOOH技術を生かしたインタラクティブ配信キャンペーンを2023年12月11日(月)~17日(日)の期間限定で実施しました。

プログラマティックOOH 技術とは、Programmatic (Digital) Out Of Homeの略。時間帯や、天気・気温等、エリアごと、オーディエンスデータごとにデジタルサイネージを介して広告配信の自動化が行えるDOOH(交通広告、屋外広告、商業施設などに設置されたデジタルサイネージを活用した広告媒体)です。さらに、インタラクティブは、「双方向」や「対話型」を意味し、インタラクティブ配信とは相手のリクエストなどに応え発信する配信を指しています。

今回は、スマートフォンから、屋外ビジョンで掲出されているQRコードを読み取ると、「NISSAN あ、安部礼司 ~ BEYOND THE AVERAGE ~」おなじみのキャラクターたちのセリフを交えた応援メッセージ(選択制)に、自身のイニシャルを加えたものを制作することができます。そして、送信されたこの応援メッセージは連動した全国にあるLIVE BOARD屋外ビジョンにリアルタイムで掲出することが可能という仕組みとなっています。

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10.昭和の人力広告×令和の最新デジタル技術「ちんどんビジョン」とは

デジタルサイネージの製造・輸入・販売を行うNEOTOKYO株式会社が運営するWebサイト「デジタル看板ドットコム」は、2023年12月21日(木)に「ちんどんビジョン(商標登録出願中)」の販売とレンタルを開始しました。この、ちんどんビジョンは、「NEO future style (NEOフューチャースタイル))」第3弾として登場し、日本初の歩きながら超高輝度LEDにて動画広告を運用するものです(2023年11月菅原特許商標事務所調査)。

また、今回の発売記念イベントとて、12月22日(金)から25日(月)にかけて、渋谷・立川・八王子にて街頭ゲリラデモを行いました。今後もさまざまな街で神出鬼没のデモを実施する予定となっています。

昭和の「ちんどん屋」「サンドウィッチマン」の人力広告を彷彿とさせる、ちんどんビジョン。令和らしく、最新デジタルLEDビジョンとの最強コラボレーションによって、いわゆる「バズる広告」を求める企業や店舗、個人からの依頼に対応しています。主な形態は、販売、リース、代理店、レンタルの4タイプ。イベントで使用しない時には、専用スタンドを使用することで店舗などに常設活用することも可能となっています。

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デジタルサイネージに掛け合わせたPR施策10選

ただ画像や映像を表示するだけではない、デジタルサイネージの存在意義を感じられるパワフルな事例が揃っていたのではないでしょうか。

一方通行の表示だけではなく、双方向性やターゲット層への適正化、インタラクティブなど組み合わせによって、まだまだおもしろい施策が登場しそうな表現媒体として今後も注目していきたいものです。

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