弱いなら弱いままで。
ベストセラー作家森博嗣の作家論。これは凄い。素晴らしい。過去、森がブログなどで書いてきた内容のまとめといった印象の本なので、森作品の読者にしてみればそれほどセンス・オブ・ワンダーにあふれた内容ではないかもしれない。
しかし、あらためてまとめて読まされると、やはり蒙を啓かされるというか、圧巻だ。「小説を書くというビジネス」について、これほど冷静に、客観的に描いた本は、海外ならともかく、国内には他にないのではないか。
森は小説を書くという作業を徹底的にビジネスと割り切り、そのために必要なことは何かと考え、それを実行していく。それがあまりにクールでドライなため、冷徹とも、皮肉とも見えるかもしれないことは、森の小説作品とも共通している。
が、じっさいには森はあたりまえのことをあたりまえに書いているだけである。それが嫌味に見えるとすれば、読者のほうがセンチメンタルなのだと思う。おそらくはそこまで含めて森の計算のうちなのだろうけれども。
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