新世紀エヴァンゲリオン (13) 【プレミアム限定版】 (カドカワコミックス・エース)

 以前、Twitterで流れてきた『エヴァQ』にふれた感想で、「マリアスはBL、カヲシンは百合」というものがあって、ちょっと笑ってしまった。簡単に解説すると、マリ×アスカのカップリングはボーイズラブを思わせ、カヲル×シンジのほうは百合を思わせるという意味だと思う。

 これはボーイズラブと百合という言葉を性差ではなくその内実によって捉えたいい方だ。つまり、何だかんだと口喧嘩しつつも強い絆で結ばれているように見えるマリとアスカはボーイズラブ的な関係性であり、たがいに甘やかしあい依存しあっているように見えるカヲルとシンジは百合的な関係性であるということ。

 こういうずれた言葉の使い方はちょっとおもしろい。たとえば「男前」を女性に使ったり、「女子力」を男性に使ったりするのに近いやり方で、言葉の意味をずらすことによってジェンダーの呪縛を解き放っていくという方法論なのだろう。

 もともとボーイズラブは男性同士の恋愛を、百合は女性同士の恋愛を示す言葉であったわけだが、ここではそういった元々の意味を無視して、ハードな関係性をBL、ソフトな関係性を百合と呼んでいるわけである。

 ボーイズラブとか百合といういい方とすると、とても強く性差にこだわっているように見えるわけだが、実は必ずしもそうではないのではないか、と思うことがある。ある意味では関係性の内実こそが重要なのであって、性差は二次的な意味しかもたないとすらいえるのではないか。少なくともそういうふうに考えるひとはいなくはないようだ。