では、情報が氾濫し、生き方が可視化されたこの時代に、クリエイティヴな人はどうすれば評価されるのか。評価される人生を送るしかない、と先ほどお話しましたが、それはつまり「人生の作品化」です。ネット上で生き様が見られている、情報化されている以上、生き方を作品化しないと人々は評価してくれないのです。「人生の作品化」などと言うと美しく響くかもしれませんが、大変な時代が到来したとも言えます。匿名的な裏方でいながらも影響力のある第一線のクリエイターでいるというあり方は、もはやなかなか成立しづらいのです。しかし、本書でいろいろと見てきたように、人が生きるということ自体が編集行為そのものだとも言えるわけです。何を食べて、何を着て、何の仕事をして、誰と付き合い、どこで生きるか、には無限の選択肢があります。その無限の選択肢のなかから、自分で可能な範囲で選んでカスタマイズして人は生きているわけです。言い換えれば、人は常に「人生を編集している」のです。
弱いなら弱いままで。
いま、ビジネス書などの棚を眺めていると、「パーソナルブランディング」だとか「セルフブランディング」、「SNSブランディング」などという言葉を見つけることができます。横文字だからすぐには意味がわからないけれど、つまりは「ネットを通して自分の価値を確立すること」というほどの意味だと思います。
岡田斗司夫さんが『「いいひと」計画』という本を出していますが、このもある種のパーソナルブランディング本ですね。常に「いいひと」として振る舞うことによって利益を得る戦略と受け取っていいでしょう。ぼくたちはいま、単に人生を生きるだけではなく、それを演出し、包装し、ブランド化して売らなければならない時代に差しかかっているのかもしれません。
ところで、最近読み終えた菅付雅信『はじめての編集』はとてもおもしろい本でした。そのなかでこう書かれています。
ぼくたちはもはやただ生きるのではなく、人生を編集し作品にして発表しながら生きざるをえないということ。そのことをわかりやすく示した一文です。
この記事の続きを読む
ポイントで購入して読む
※ご購入後のキャンセルはできません。 支払い時期と提供時期はこちら
- ログインしてください
購入に関するご注意
- ニコニコの動作環境を満たした端末でご視聴ください。
- ニコニコチャンネル利用規約に同意の上ご購入ください。
2012/12/20(木) 04:33 すべては承認のために。AV女優や神うp主をも動かす「認められること」の喜びとは。(2321文字)
2012/12/20(木) 13:33 どうすれば人生は充実してくるのか。『ベイビーステップ』でリア充になる秘訣を探る。(2222文字)
コメント
コメントを書く自分を売る(至言)
今の時代、内面を重視するようになってきたのか、
今まで以上に外面を重視するようになってきたのか分かりませんね。