もういろんなことを知ってるつもりでいるのに、このまんがを読む度いっしょうけんめい生きることへの憧れで胸が熱くなる。
弱いなら弱いままで。
もうご存知かもしれないが、羽海野チカ『3月のライオン』最新刊の刊行に合わせ、豪華作家陣による「言葉」を付したCMが公開されている。そのなかでもよしもとばななの言葉がひときわ熱く、鋭く、心に刺さったので、ここに記しておく。
「いっしょうけんめい生きることへの憧れ」。『3月のライオン』に限らず、何かしらの勝負や競技を描いた漫画の魅力はそこにあるのではないか。
この記事を読んでいるあなたはどうなのかわからないが、ぼくはあまり「いっしょうけんめい」生きていない。実にいいかげんに毎日を過ごしている。しかし、そういうぼくでも「いっしょうけんめい生きること」への憧れは抱えている。
ほんとうに一生懸命に生きてみたい。自分の限界までたどり着いてみたい。ただ一滴ものこすことなく自分の血を燃やしつくしてみたい。そんな想い。たぶんそういうふうにほんとうに一生懸命生きているひとのことこそ、正しい意味での「リア充」と呼ばれるべきだろう。
『3月のライオン』の作中、桐山零は「何も持っていない」とひとにいわれもするし、自分でもそう考えているように見える。しかし、その実、かれはいちばん大切なものを持っている。自分自身を強く、激しく駆動する、火のような「情熱」。それがあるからこそ、過酷きわまりない勝負の世界で、頂点を目ざすことができるのだ。その意味では桐山もまた「リア充」である。
さて、このような意味での「リア充」として、ぼくがいちばんに思い出すのは、『ベイビーステップ』の主人公、エーちゃんこと丸尾栄一郎だ。最近は可愛い恋人までできて順調に人生の勝ち組に近づいているかれだが、そうでなくても恐ろしく充実した人生を歩んでいるように見える。
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