花よりも花の如く 11 (花とゆめCOMICS)

 漫画界は広く、いわゆる伝統芸能を主題に据えた漫画も少なくない。たとえば歌舞伎を扱った作品ならいくつか思いつく。しかし、これが能となると、さすがにそう多くはない。

 ぼくが知るかぎり、成田美名子『花よりも花の如く』のほかは、飯田晴子の『風姿花デンツァ』があるくらいだ。それだけ能の世界を漫画で表現することはむずかしいのだろう。

 その『花よりも花の如く』は能楽師の青年を主人公にした物語で、前作『NATURAL』と一部の登場人物が共通している。成田美名子ならではの能表現が美しい可憐な物語だ。

 かつて『エイリアン通り』や『CIPHER』を物して話題をさらった成田にしても、さすがにもう少女漫画の第一線の作家とはいいがたいから、少女漫画らしい花やかさは乏しく、決して派手な作品ではない。しかし、しみじみと染み入るような情趣がある。一読に値するといっていい。

 それにしても、この世代の少女漫画