弱いなら弱いままで。
【『十二国記』と『タイタニア』】
小野不由美の完全版『十二国記』が『図南の翼』までたどり着きました。『十二国記』全編のなかでも傑作と目される長編です。
この先、物語は『黄昏の岸 暁の天』、『華胥の幽夢』と続いて未完に終わっているのですが、今後、それにつづく新作長編が発表されるという話。
いったいこの先、どのような展開が待っているのか、期待は高まるばかり。
12年ぶりの短篇集として刊行された『丕緒の鳥』も、たしかにすばらしいクオリティの作品ぞろいでしたが、何といっても陽子たちおなじみのキャラクターがひとりも出て来ない。そういう意味では物足りない内容でした。
しかし、今後の新刊はおそらくそうはならないでしょう。ほんとうの意味で『十二国記』が再会する時は、間近に迫っているように思います。
今年は『星界の戦旗』、『十二国記』、『タイタニア』、『ファイブスター物語』と、いままでなかなか続きが出なかった物語がいっきに再開した記念すべき年であるわけですが、いずれの作品も期待を裏切らない出来で嬉しいです。
特に、あとでくわしく書きますが、田中芳樹の『タイタニア』は凄かった。「田中芳樹の全盛期はまだ終わっていなかったのか!」と刮目させられるハイレベル。
正直、「いまの田中芳樹に『タイタニア』の続刊が書けるのだろうか?」と疑わしく思っていたのですが、いや、書けたんですね。恐れいりました。
ほんとうに正しい意味での「小説」を読む歓びを、一ページ一ページ本をめくっていく楽しさを、ひさしぶりに思い知らせてくれる作品でした。
この作品を読んでぼくは、自分がどんなに小説を読むことが好きだったのか思い知りました。
【酷烈なる物語】
近頃の萌え燃えなライトノベルも、もちろん悪くない。しかし、あらためていま『タイタニア』を読んでみると、
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