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『タイタニア』のアリアバートとジュスランは田中芳樹によるキャラクター造形の最高傑作である。
コメ0 弱いなら弱いままで。 50ヶ月前
文芸業界でよく使用され、最近はだいぶシニカルに語られるようになったクリシェ(決まり文句)に「人間が描けている」というものがある。 反対に「人間が描けていない」という形で使われることも多くあり、これはミステリ界隈などで批判的に使用されてはさまざまな議論を巻き起こして来た。 おそらくまあ、「人物が...
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批評の言葉が足りない!
コメ0 弱いなら弱いままで。 62ヶ月前
てれびんが観に行くということで、いっしょに付いていって『銀河英雄伝説』の劇場版「星乱」の第一章を観て来ました。内容は、まあ、ようするにただの『銀英伝』です(笑)。良くも悪くも。 テレビシリーズ全12話の続編なんですよね。ぼくはテレビシリーズは途中までしか観ていなかったのでいまさらながらあらためて...
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田中芳樹とクイアなセクシュアリティ。
コメ0 弱いなら弱いままで。 71ヶ月前
きのうの続き。 さて、そういうわけで、『アイの物語』のなかで山本さんは人間のあまりにも明確な限界を抱えた「愛」を否定的に捉え、マシンの完全な「i」を賛美している(ように見える)わけですが、ぼくにはこの「i」という概念が単なる錬金術の夢、ある種、形而上学的な架空の概念に過ぎないように思えます。 よ...
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『銀英伝』は短編でできている。
コメ0 弱いなら弱いままで。 79ヶ月前
小説を書きたい。物語を綴りたい。そう思うのですが、まともに成功した試しがありません。 まあ、才能がないのはしかたないにしろ、なぜここまでうまくいかないのだろう?とずっと考えていたのですが、ある本を読んだところ、「物語を「あらすじ」ではなく、キャラクターやイメージから作ろうとしているからだ」と書...
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新しいアニメ版『銀河英雄伝説』は構成に工夫を凝らしてきている。
コメ18 弱いなら弱いままで。 80ヶ月前
新しくなったアニメ版の『銀河英雄伝説』を見ています。これが面白い。原作とも以前のアニメとも構成を変更してきていて、原作ファンの目から見ても相当に工夫が凝らされていることがわかります。 原作はぼくの読書人生でも屈指の大傑作だけに、最後までこの調子で行ってほしいものですね。 『銀英伝』の傑作たる所...
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短編小説のラビリンスに迷い込んでみませんか。
コメ0 弱いなら弱いままで。 85ヶ月前
きょうは山本周五郎の記事が更新されているはずなので(予約更新なのです)、それに合わせて短編の話でもしたいと思います。 その記事で書いた通り、山本周五郎は短編の達人でした。で、日本でも海外でも、文学者として名を成した人はそのほとんどが名作短編を書いています。 SFやミステリといったエンターテインメ...
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並行世界ものと一回性の物語はどちらがどう優れているのか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 85ヶ月前
オタク界隈で「並行世界」とか「世界線」という言葉をひんぱんに目にするようになってしばらく経ちます。もともとはSFの概念なのだけれど、ライトノベルやアニメでこれらの言葉が使用されるようになったのは、あきらかにエロゲの影響ですね。 (シナリオ重視系の)エロゲでは各ヒロインごとにルートがあり、異なる世...
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世の中ってむつかしいね。
コメ0 弱いなら弱いままで。 103ヶ月前
どもです。ここ2日間、エネルギーが尽き果てて休んでいました。 原因はたぶんその前の3日間で20冊くらい続けざまに本を読んだこと。 せっかく早起きできたんだから本を読むぜっ!とばかりに読みまくっていたらあっというまに気力が尽きてしまいました。 つくづく思うのですが、この世には面白いものがたくさんある...
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小説、漫画、アニメ。30年の時を超え多面展開する『アルスラーン戦記』が凄い!
コメ0 弱いなら弱いままで。 103ヶ月前
この記事で今月30本目ですねー。我ながらよく書くわ、と思ってしまう。 これだけ書いているとさすがに読者満足度は高いらしく、過去10日で退会者はひとりだけです。 もちろん量だけ多くてもしかたないので、質と量を兼ねそなえた運営を心がけたいところですね。 さて、きょう取り上げる作品は田中芳樹&荒川弘『ア...
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口うるさい原作ファン、藤崎竜版『銀英伝』を語る。
コメ0 弱いなら弱いままで。 111ヶ月前
おそらく生まれて初めて『ヤングジャンプ』を買って、藤崎竜版の『銀河英雄伝説』を読みました。 物語ははるかな未来、銀河帝国首都星オーディンに住むジークフリード・キルヒアイス少年がとなりに越して来たラインハルト少年に出逢うところから始まります。 ほぼ原作通りの描写が続いているのですが、なるほどなあ...
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『封神演義』の藤崎竜、『銀英伝』を再度漫画化!
コメ0 弱いなら弱いままで。 111ヶ月前
田中芳樹『銀河英雄伝説』が藤崎竜の手で漫画化されるそうですね。 日本を代表するスペースオペラの名作を『封神演義』の作家が手がける。 期待は高まるばかりですが、さて、どんな出来になることやら。 ぼくは25年来の田中芳樹読者にして、『PSYCHO+』からのフジリューファンなので、どういった仕上がりでも受け止...
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『アルスラーン戦記』に見る完結という至難。
コメ0 弱いなら弱いままで。 113ヶ月前
昨日、なにげなく書店の棚を見てまわったところ、『岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私 サークルクラッシャーの恋愛論』という本が出ていました。 タイトルを見ただけでこれは買わねば、と思ったものの、電子書籍版が出ていないのでとりあえず見送ることに。 すっかり紙の本より電書のほうが購入意欲が...
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善か、悪か? 百万人を殺した男の割り切れない素顔。
コメ0 弱いなら弱いままで。 115ヶ月前
『アルスラーン戦記』がゲームになるそうですね。 アニメ化は数しれない田中芳樹作品でもゲームになったものはそう多くありません。 現代のハードであの世界がどう再現されるのか気になるところです。 その昔、メガドライブでシミュレーションゲームになっていたような気がしますが、きっと気のせいでしょう。ええ...
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ハッピーエンド小説×100作リスト制作中。
コメ2 弱いなら弱いままで。 116ヶ月前
ハッピーエンド評論家として活動を開始するべくとりあえず「ハッピーエンド小説×100作リスト」を作ってみました。 名前の頭に×が付けているのは未読ないし結末の記憶があいまいでほんとうにハッピーエンドなのかどうかわからない作品です。つまり、このリストは未完成ということ。 これがほんとうにハッピーエンドか...
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『アルスラーン戦記』と「同性愛的な二次創作」の微妙で複雑な関係。
コメ0 弱いなら弱いままで。 116ヶ月前
作家の田中芳樹さんが所属している有限会社らいとすたっふの「らいとすたっふ所属作家の著作物の二次利用に関する規定」が改定されたことが話題を呼んでいる。http://www.wrightstaff.co.jp/ 「露骨な性描写や同性愛表現が含まれる」二次創作を禁止した項目を廃し、新たに「過激な性描写(異性間、同性間を問わず)を...
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スタジオジブリの宮崎アニメはなぜ面白くも辛いのか。
コメ1 弱いなら弱いままで。 116ヶ月前
川上量生『コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと』読了。 これが、もう、超面白かった。実に素晴らしい内容なので、皆さん、読んでください。いや、いいもの読んだ。得した得した。 もっとも、「ぼくは」とても面白いと思ったけれど、ひとによってはあまりにあたりまえの内容だと思うかもしれず、また、まっ...
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『アルスラーン戦記』開幕! 原作既読者の視点からその魅力を考える。
コメ0 弱いなら弱いままで。 117ヶ月前
季節は早春、新しいアニメが始まる頃合い――というわけで、新番組『アルスラーン戦記』第1話を観ました。 大陸を東西に貫く〈大陸公路〉の覇者・パルス国の王子アルスラーンの長い長い物語がここに始まるわけですが、実はこの第1話はまだ「序章」。 本格的に物語が動いてくるのは次の第2話からになると思われます。 ...
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天才よりも貴重な凡才とは何ものか?
コメ0 弱いなら弱いままで。 117ヶ月前
『ファイブスター物語』の作家として有名な自称天才デザイナー永野護に、こんな発言があります。 永野護というキャラクターデザイナーを起用するときに求められるのはただひとつ。簡単なひと言で済む。「いままでに誰も見たことのないような、すっごい奴をつくってくれ」 これは僕がかつてとあるアニメ製作会社にい...
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アニメ開幕直前! 10分でわかる『アルスラーン戦記』。
コメ0 弱いなら弱いままで。 117ヶ月前
いよいよ来週から『アルスラーン戦記』アニメ版がスタートします。 原作は田中芳樹のベストセラー戦記小説。 架空の王国パルスとその周辺の諸国家を舞台に、ひよわな王子アルスラーンの冒険と成長を描いた気宇壮大な大河ロマンです。 86年に始まった原作はこれまで既刊14巻が発売されていて、完結を目前に控えたと...
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いちばん恥ずかしいところを晒せ! 真夜中のポエムをひとに読ませるべきたったひとつの理由。
コメ1 弱いなら弱いままで。 118ヶ月前
きょうは「羞恥心」について話をしたい。一般にひとが備えている恥ずかしいと感じる気持ちのことだ。一説によるとアダムとイヴが知恵の果実を齧った時に生まれたというが、国家も宗教も超えて存在する人間の最も人間らしい想いのひとつである。 たとえば洋服の下の裸を見られたとき、ひとは恥ずかしいと感じる。ある...
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『タイタニア』に、矛盾の作家・田中芳樹の真骨頂を見る。
コメ1 弱いなら弱いままで。 119ヶ月前
田中芳樹『タイタニア』最終巻を読了した。小学生の頃から読んでいる作品を、四半世紀もの時を越え読み上げたことになるわけで、さすがに感慨深い。 思えば25年前、当時流行していた『ファイナルファンタジー3』の主人公たちの名前を、タイタニアの四公爵から拝借した記憶がある。 アリアバート、ジュスラン、ザーリ...
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死して斃れるとしても、なお。
コメ0 弱いなら弱いままで。 120ヶ月前
ペトロニウスさんと話していると、時々、「海燕さんはひとの話を聞いてばかりいるのに、ひとに影響されないよね」といわれることがあります。 まあ、たしかにLDさんとかペトロニウスさんが火砕流のごとく喋るのを始終聞いているわけですが、ぼくはぼくのままで、特に変わらないですね。 いや、思想的に影響を受けた...
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いまさらながら『アルスラーン戦記』を語ってみる。
コメ0 弱いなら弱いままで。 122ヶ月前
田中芳樹の『アルスラーン戦記』がアニメ化するそうですね。より正確には田中芳樹の原作を荒川弘が漫画化した作品がアニメ化という流れなのだろうけれど、いやー、速かった。 どうせいつかはアニメ化するはずだと思っていたけれど、それにしても時期尚早じゃないか?と思わずにはいられない。何しろ漫画版はまだ単行...
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『アルスラーン戦記』第2巻刊行! 不動の天才軍師を動かす「そのひと言」とは何か。
コメ0 弱いなら弱いままで。 128ヶ月前
あした9日、漫画版『アルスラーン戦記』の第2巻が出ますね。この巻では、軍師ナルサス、旅の楽師ギーヴが登場し、あとひとり、女神官ファランギースが出てくれば、物語の最重要人物は勢揃いするはずです。 もっとも、まだまだアルフリードやメルレインやジャスワントなど、面白い人物はたくさん出て来るのですが……。...
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はるかな大陸公路がここにある。荒川弘版『アルスラーン戦記』が出色の出来。
コメ0 弱いなら弱いままで。 129ヶ月前
それははるかな異世界の物語。大陸の覇権を奪いあい、戦い、騙し、裏切り、陰謀を巡らし、ときには命を賭けて忠義を尽くす英雄たちの年代記。 それらの群雄あまたあるなかで、すべての中心となって運命を動かすものは、最も無力な若き王子、その名をアルスラーン。 大陸公路の覇権を担うパルス王国のたったひとりの...
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四半世紀(弱)にして振り返る『銀河英雄伝説』。
コメ2 弱いなら弱いままで。 129ヶ月前
さて、この前に再録した記事は実は前振りです。その記事で書いたように、ぼくは一度好きになると、めったなことではその「好き」という感情が摩耗しないタイプの人間です。 子供時代に好きになったゲームなんか、いまでも延々と好きですから(『ファイアーエンブレム』とか超好き。ちなみに少女漫画化された作品も好...
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『十二国記』、『タイタニア』、『ファイブスター物語』、次々と再開する名作たち。(2143文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 135ヶ月前
【『十二国記』と『タイタニア』】 小野不由美の完全版『十二国記』が『図南の翼』までたどり着きました。『十二国記』全編のなかでも傑作と目される長編です。 この先、物語は『黄昏の岸 暁の天』、『華胥の幽夢』と続いて未完に終わっているのですが、今後、それにつづく新作長編が発表されるという話。 いったい...
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奇跡も、魔法も、あるんだよ。田中芳樹『タイタニア』22年ぶりの新刊発売!(1957文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 135ヶ月前
【『タイタニア』復活!】 田中芳樹の『タイタニア』最新刊を買って来ました。買って来ました買って来ました買って来ました……と、思わず語尾がこだましてしまうくらい感慨深い。 なんと22年ぶり!の最新刊です。そのあいだ出版社も変わり、挿絵も変わってしまったわけですが、とにかく続刊したことは快挙です。素晴ら...
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田中芳樹『タイタニア』は『銀英伝』とどう違うのか解説するよ。(2017文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 135ヶ月前
前の記事でも書いたように、きのうは田中芳樹『タイタニア(4)』の発売日でした。 このシリーズ、『銀河英雄伝説』と同じスペースオペラなのですが(厳密に云うとスペースオペラじゃないかもしれないが、まあ宇宙を舞台にしたお話には違いない)、『銀英伝』とは一風変わっていておもしろい。 第1巻の時点では『銀...
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一期は夢よただ狂へ。情報の洪水のなかで主体性を取り戻すということ。(2099文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 135ヶ月前
ここ数日、近所の体育館のトレーニングルームに通っています。ジムに行くつもりもあったのですが、そちらは高いので、設備的にはほとんど変わらない体育館へ向かうことにしたわけです。 ランニングマシンに乗ってひたすら走っています。といっても、そこは運動不足の身、ゆっくりとほんの数キロ走るだけなのですが、...
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荒川弘は『アルスラーン戦記』をどのようにして生まれ変わらせたか。(2103文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 137ヶ月前
荒川弘版の『アルスラーン戦記』が第二話を迎えました。第一話がオリジナルエピソードの序章だったので、実質的に物語が始まるのはこの第二話から。 第一話の時点ではかなり奔放に原作をいじりまわしていたので、さてどう出るかと思っていたのですが、この第二話を見ると予想以上に原作に忠実に描いていますね。 パ...
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ついに新連載! 田中芳樹&荒川弘の『アルスラーン戦記』とはどんな物語なのか。(2013文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 138ヶ月前
先日、荒川弘の『アルスラーン戦記』が始まった。いうまでもなく原作は田中芳樹の人気小説だ。 荒川弘と田中芳樹。まったく個性は異なるが、それぞれ現代を代表するベストセラー作家といっていいふたりである。この新連載に期待は高まる。いや、こんどこそ完結するといいですね。 『アルスラーン戦記』の始まりはな...
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22年ぶりの続刊発売決定! 田中芳樹『タイタニア』とはどんな小説なのか。(3209文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 138ヶ月前
田中芳樹『タイタニア』の続刊が出るらしいという噂が亜光速でネットを駆け巡ったのは、つい先日の話。否。噂ならいままで何度となく流れた。今度は田中芳樹さんの秘書から流れた確定情報だというから恐ろしい。 何度となく噂に惑わされて人間不信がつのっている田中芳樹読者の面々も、今度ばかりは歓喜の雄叫びをあ...
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荒川弘による漫画化決定! 田中芳樹の名作『アルスラーン戦記』を5分で紹介するよ。(2037文字)
コメ0 弱いなら弱いままで。 140ヶ月前
田中芳樹の大河架空歴史小説『アルスラーン戦記』が『鋼の錬金術師』、『銀の匙』で有名な荒川弘の手で漫画化されることが決定したようです。http://natalie.mu/comic/news/90231 『アルスラーン戦記』といえば、田中芳樹の代表作のひとつ。実に四半世紀以上前の1986年に出版が開始されて現時点でまだ未完という大長...