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 うっす。海燕です。小旅行から帰宅してからずっと『ファイブスター物語デザインズ4』を読んでいます。

 これは永野護の漫画『ファイブスター物語』の設定画集第13弾にあたるもので、価格は5000円以上します。まあでも、同じ設定画集の『ナイトフラグス』は7500円したから、それを考えれば決して高くはない。

 そもそも高かろうが安かろうが買うのだから、値段は大した問題ではないのです。いやまあ、ほんとうは大問題だけれども、とにかく永野護の画集が出たら買うのだ。

 特に今回の画集は過去三作の『デザインズ』にも増して価値がある。なんといっても、『ファイブスター物語』の世界観全体が、モーターヘッドと名づけられたロボットが闊歩する世界から、「ゴティックメード 覇者の贈り物」と呼ばれるロボットが動きまわる世界へ、完全に変更されたそのあとの画集だからです。

 当然、いままでまったく未公開だったゴティックメードたちの画像がたくさん公開されるであろうという期待があったのだ。しかし、蓋を開けてみれば、いささか肩すかしな内容だったというのが正直なところ。

 既に『ニュータイプ』で公開されていた画像が大半で、新作ゴティックメードの画像はほとんどないんだものなあ。それはまあ、ファティマ(オートマチック・フラワーズ)やら「詩女」の画像はたくさん載っていますが、ぼくとしてはもっと新作ゴティックメードのイラストが見たかった!

 それでも特に5040円が高いと思わないあたり、ぼくは根っからのファンなのだと思う。それはもう、20年以上続けて読んでいますから、思い入れもひとしおなのです。そのうち10年くらいは連載が休止していたような気もするが、気にしない、気にしない。

 そういうわけで、新しい発見はそれほど多くない画集でした。まったくの新デザインのゴティックメードは、次の『デザインズ5』に回されるらしい。買うよー。

 ただまあ、あらためて公開された「ダッカス・ザ・ブラックナイト」やら「ホルダ19 メロウラ」やらのデザインの美しいこと、美しいこと。やはり驚かされるものがある。

 ある意味では異形とも云える恐ろしく偏ったデザインなのだけれど、それはそれでバランスがとれているのである。もちろん、あまりに異様な姿だと感じるひともいるに違いない。

 しかし、あえてぼくは云う。これこそめちゃくちゃかっこいいデザインなのだと。永野護が30年近く前に生み出したナイト・オブ・ゴールドやLEDミラージュなどの「モーターヘッド」のデザインは、時代とともに古くなり、あたりまえのものになっていた。

 その当時としてはあまりに斬新であったであろうバッシュにしても、破裂の人形にしても、いまでは清新なインパクトを与えるものではなくなっていたのだ。

 それはすべてのクリエイターがいつか辿り着く道。大半の作家は「それでもいい」として、時代が変わってしまったことを受け入れるに違いない。

 じっさい、時の変遷を経てなお、モーターヘッドは美しい。ある種の様式美とも云うべき、クラシカルな美しさ。初めて発表されたときのセンス・オブ・ワンダーはすでにないかもしれないが、それでも時代に合わせてリファインされ、十分に美しいと云えるものに仕上がっていたのだ。

 その不変の美に満足していない者は、それこそ永野護本人くらいであったかもしれない。しかし、それでもなお、永野にとっては「古くなった」ことは致命的と受け取られていたに違いない。

 そして、全設定、全デザインの一斉リファインという、暴挙とすら思われかねない革命的な出来事が起こることになった。

 それはゼロ年代、テン年代を通して百花繚乱の様相を見せた「平行世界もの」に対する永野からのアンサーであったように思う。

 「一切何の説明も準備もなく、ある物語世界を並行世界に移行させる」という、異常に切れ味するどい展開! これは、たとえば