以前にも書いたことでもあるし、自慢話と受け取られると恐縮なのですが、ぼくはひとに嫉妬するということがありません。

 どういえばいいのか、「他人の才能や成功を妬む心」というものが、ぼくにはまったく欠けているらしいのですね。

 それはまあ人間だから、イケメンとかお金持ちとかを見ると「うらやましいにゃー」とは思うのですが、だからどうしようということはない。

 「世の中にはすごいひとがいるにゃ」以上の感慨は湧いて来ません。

 いや、劣等感は人並み以上にあるのですが、その劣等感をひとのせいにしたということは、まず一度もないと思う。

 ぼくにはその種の感情をひとに向ける回路がないらしい。

 だから、たとえば自分がほとんどお金がなくても、お金を持っているひととの付き合いが気おくれするということはありません。

 じっさい、ぼくの友人は学者だの作家だの経営者だの医者だの、いわゆる社会的ステータスが高いといわれる職業の人が多いのですが、ぼくは「きっと何者にもなれない海燕さん」のままそういう人たちと付き合っているわけです。

 だからといってまったく何とも思いません。

 すごい話を聞くと「へえ、凄いですねー」と素直に思うだけ。

 ぼくはそういうところは非常に素直です。

 ひとの自慢話をきけば凄いと思うし、愚痴をきけば大変だな、と思うのですね。

 だから、ぼくはだれかの自慢話とか愚痴を聞くのが嫌いではない。

 初対面のひとの自慢話を延々と聞いていて、まわりのほうがいやな気分になっていた、ということもありました。

 いまでも母の仕事の愚痴とか、何時間でもきいています。

 ぼく、ひとのいうことをまず否定しないひとなので、わりと話しやすいんじゃないかと思うんですけれど。

 まあ、「ききながされている」という印象になる場合もあるだろうけれど……。

 こういうことを書くと「自分でそう思い込んでいるだけだろ」と思われるかもしれませんが、これに関してはほんとにそうだと思うんだよな。