いろんなキャリアを積んで来たうえで、今のシャンソンがある!このCDでRick自体が「原点回想」する!
■まさかのRickyさんがシャンソンフルアルバム「R☆MY CHANSON」(アール☆マイ・シャンソン)を3月27日にリリースします。シャンソンを知らない皆様に、まずはシャンソンとは?
Ricky:シャンソンってなんなんでしょうね(笑)。そもそもシャンソンってフランス語で「歌」という意味らしくて、ジャンルというよりもフランスの歌全般をシャンソンというみたいなことを聞いたことがあります。フランスの有名なシャンソン歌手といえば「エディット・ピアフ」で、彼女の人生を題材にした映画も話題を呼びましたよね。ジブリの「紅の豚」の劇中に加藤登紀子さん扮するジーナが歌った「さくらんぼ実る頃」なんかもシャンソンだったり。実は日本のあらゆるところでシャンソンが使われてたりするんですが、まあそれをシャンソンと思って聞く人は少ないんだと思います。
■Rickyさんの原点はシャンソンとお聞きしましたが、シャンソンの出会いとは?
Ricky:僕自身は歌のレッスンの先生がたまたまシャンソン歌手で、課題曲がシャンソンだったんですよね。自分から好奇心でシャンソンの世界に足を踏み入れたわけではなく、母の勧めもあって最初は流れに任せてって感じではありました。シャンソンのレッスンやライブではピアノ1本で歌うというスタイルが主だったので、その中で、歌を揺らすだったり崩すだったり抜くだったり、声の低音を響かせるだったり、そういったレッスンをひたすらしていただいたことで、実は僕の歌唱の基礎が知らず知らずのうちに形成されていたんだと改めて思うようになったんですね。その経験があったからこそメジャーデビューに繋がり、周囲から歌を高く評価してもらえるようになったという意味で、今回のリリースにあたり、「僕の歌の原点はシャンソンにあった」という打ち出し方になりました。
■DASEINでメジャーデビュー後、仮面ライダー主題歌などを唄うRIDER CHIPSや数々のユニットにヴォーカリストして参加しておりますが、ロックバンドとシャンソンとの違いとは?
Ricky:ロックもポップスも基本的には一定のビートやリズムの上で歌うんですが、シャンソンの場合は割とそのへんがアバウトというか、時にはテンポが決まってなかったり、メロディーも正しい符割りを無視して歌ったり小節に縛られてない感じがありますね。そうやってテンポやメロディーを崩して歌うことを「ルバート」と呼ぶらしいんですが、それがシャンソンでは多用されているというのが特徴の一つなのかなと思います。
■プロデューサーはシャンソン歌手「ソワレ」さん、サウンドプロデューサーは「おおくぼけい」さんと聞いております。出会いは何だったのでしょうか?
Ricky:出会いのきっかけは、V系で知り合ったKaya様とソワレさんが主催している「新春シャンソンショウ」に出演したことですね。Kaya様とはお互いソロシンガーでありながらバンドでも活動しているという共通点から親しくなり、加えて最近Kaya様がシャンソンを歌い始めたという話から、実は僕も昔シャンソン歌手でしたということで、それならと新春シャンソンショウへのオファーをいただいたという流れなんです。おおくぼけいさんは、その新春シャンソンショウのバックバンドのバンマスを務めていたところで知り合い、とても個性的で演奏も素晴らしかったのでソロライブのサポートを依頼しました。ソワレさんには「私が好きな三大ボーカリストの声」と誉めていただき、いつかシャンソンの音源を出しましょうよ!と数年前から言われていて、ようやく実現したのが今回の作品リリースということですね。
■豪華なCDで、ゲストミュージシャンも沢山参加していますが、ゲストボーカルにまさかの「リキママ(実母)」が参加されているとお聞きしました!
Ricky:僕がシャンソンを始めたきっかけが母なので、母と一緒にシャンソンを習って、発表会をやったりシャンソンのライブハウスに一緒に出たりとかもしていたんで、僕がCDを出す暁には出来れば母にも1曲参加してもらいたいっていう思いはありました。
■「リキママ(実母)」が参加している曲は何曲目なんですか。
Ricky:7曲目の「ラスト・ダンスは私に」ですね。なにやら久しく歌を歌ってなかったみたいでちょっと強引にお願いしちゃったところもあったのですが、僕としては「自分の歌の遺伝子は母にある」と思うぐらい声質や歌い方やビブラートなんかも似てる気がしてて、この機会にぜひ共演したいなと。あとはこれは僕の勝手な解釈ですが、この共演は僕なりの親孝行でもあり、母には子孝行と思ってもらえれば幸いかなと。
■アーバンギャルドの「浜崎容子」さんからもコメントをいただいていましたね!
Ricky:浜崎さんとは、これまた新春シャンソンショウでお会いした気がしますが、僕と同じく過去にシャンソンを歌われていたそうで、ソワレさんから「新春には生粋のシャンソン歌手が私しか出てなかったので、シャンソンがベースにあるお二人に会えて嬉しい」と言われまして、せっかくだから3人で何かやりましょうみたいな話も出てたりしてたんですよね。でも3人とも個人の活動で忙しくてなかなか実現しない中で、僕がフライングでソロアルバムをリリースすることになったので、浜崎さんにも何かしらで絡んでもらいたかったというのもあり、今作の帯コメントをお願いした次第であります。
■改めて今回の「R☆MY CHANSON」について聞いても良いですか?
Ricky:まずは曲をセレクトするところから始めたのですが、これまで歌ったレパートリーだけでも30曲近くあったのでとても悩みましたね。「ジプシーの恋唄」は、僕が初めて歌ったシャンソンなので絶対入れようと思ってました。あとは、新春シャンソンショウで歌った曲や、他の方が歌ってて素敵だなと思った曲なんかもチョイスして、さらには「サンジャンの恋人」のような3拍子の曲を入れたり、全体を通して曲調的にも飽きないようバリエーションを考えつつ並べていきました。1曲目は、おおくぼけいさん作曲のピアノインストになりますが、それは2曲目の「あなたに首ったけ」に繋がるようなイメージでお願いしました。ちなみにこの1曲目のピアノインストは楽器レコーディングの日にほぼ即興の一発勝負みたいなテイクになってまして、1曲目と2曲目の壮大かつ繊細な流れとオープニング感がとても気に入ってます。
■めちゃくちゃ素朴な質問なんですが、今回アルバムに収録されている曲で、原曲が無いオリジナルの曲はあるんですか?
Ricky:1曲目の「原点回想」以外は全てカバー曲になります。そういう意味ではほぼカバーアルバムですよね。ただ、シャンソンの場合、一曲に対してのアレンジも歌詞もさまざまで、アレンジは普通のポップスカバーアルバムでも色々変えたりはあると思いますが、歌詞は一つですよね?でもシャンソンは一曲に対して数パターンの歌詞が存在していて、どの歌詞に権利があってどれで歌えばいいのかもソワレさんに色々と調べていただきつつ、最終的には僕が歌ってきた馴染みのある歌詞でほぼいけました。
■確かにそれって歌謡曲やロックでは無いですね。
Ricky:そこもまたシャンソンの面白さでもある気がしますね。カバーな
んだけど歌詞はオリジナルみたいな事が間々あるので、僕もいつかオリジナルの歌詞で歌ってみたいとも思っています。というのも、シャンソンの日本語訳詞だと、女性言葉が多かったり、戦争で夫の帰りを待つ妻の視点だったり、作詞者なりの人生論みたいな歌詞もあるのですが、全てが自分の立場や考えに当てはまるというわけではないので、メロはいいんだけど歌詞がなぁ…としっくり来ないまま歌うっていう事もよくありますしね。実際に、新春シャンソンショウでは感情移入しやすいように要所要所歌詞を書き換えて歌ったりもしてます。
■今回の収録曲の中でRickyさんが1番歌ってきた曲はどれなんでしょうか?
Ricky:6曲目の「ジプシーの恋唄」ですね。先にも言いましたが、初めてシャンソンの先生に習った時の課題曲なんですよね。1番と2番と3番で歌の表情やビート感がガラリと変わるので、そういう意味ではこの1曲でいろんなことが学べるからこその課題曲だったのかもしれないですね。かなり歌い込まないと歌えない難しい曲だと思います。
■頭のアカペラもかなり強烈ですよね!
Ricky:頭のアカペラはCD用ですね。ソワレさんとディスカッションしていく中でアカペラになりました。ライブでは一度もやったこと無いですが、作品の流れを考える中で、急にアカペラが来たらちょっとゾクッとするんじゃないかなと。歌詞も結構重い内容ではあるので、その重々しさを表現するという意図もあったと思います。
■この曲、1、2、3番で歌い方が違うって言っていましたが、具体的にどういう風な歌い方をしているんですか?
Ricky:1番はアカペラというのもありルバートっぽく歌ってはいるのですが割とサラッとした感じで、2番からスパニッシュ的な速いビートになるので、そこは感情に任せて暴走しちゃう感じを出すために歯切れ良くスタッカート気味に歌って、3番はまたテンポダウンしてタンゴ調の情熱的なリズムになるので、そこは感情は抑えてるんだけど内面は愛で燃えたぎってるようなイメージで歌いました。
■5曲目の「そして今は 」は、フランス語でも歌っていますね。
Ricky:この曲も昔からずっと歌っていた曲で、これまでは全編日本語で歌ってきたのですが、ソワレさんから「この機会にフランス語にも挑戦しましょうよ!」と半ば強制的に歌わされた感じです(笑)。で、今回バイオリンで参加してくださったカジカさんが、以前フランスに数年住んでいたらしくフランス語が話せるということで、歌録りの際にボーカルブースに入ってもらって隣で1フレーズずつ発音を確認してもらいながら録音していった感じです。これもまた作品の一つのフックになればいいなという思いで頑張りました。
■3曲目の「サンジャンの恋人 」とかは、頭からアコーディオンの音色が来ますが、アコーディオンの音色ってシャンソンって感じが個人的にしちゃいます。
Ricky:たしかに、この曲が雰囲気的には1番シャンソンぽいかもしれないですね。この曲でアコーディオンを弾いてくれているのが小春さんという方で、普段はボーカルとアコーディオンの女性2人組ユニット「チャラン・ポ・ランタン」で活動していて、こちらもまた新春シャンソンショウでご一緒したのがきっかけで、ソワレさんを介してオファーさせていただきました。
■特別先行発売記念コンサート「原点回想」が3月10日(日)浅草花劇場にて開催されます。1曲目のタイトルと同じタイトルのコンサートになりますよね?
Ricky:「原点回想」は見てわかる通り、原点回帰をモチーフにした造語なんですけど、原点回帰が原点に戻って1から歌い直すっていう意味だとしたら、原点回想はただ原点に帰るわけではなく、これまで歌い続けてきたキャリアを肯定しながら今この場所から原点を眺めるといいますか、想いを巡らすというようなニュアンスですかね。昔の僕の歌に戻りたいという気持ちは一ミリもないですし、きっと今の方が表現も豊かになり引き出しも増えたと思ってるので、今のRickyだから歌えるシャンソンなんだけど、あの頃シャンソンを習っていたから今のRickyの歌=シャンソンがあるという感じでしょうか。
■1曲目の「原点回想」、先ほどピアノを即興で弾いてもらったと言っていましたが、このタイトルがあって、ピアノを弾いてもらったイメージだったんですか?
Ricky:いや、これは完全に後付けのタイトルですね。個人的にアルバムの1曲目に序曲的なインストがあるのが好きなんです。というのも、僕はBOOWY時代から氷室京介さんが好きで初期のソロアルバムもよく聴いていたのですが、中でも「NEO FASCIO」というアルバムの1曲目に収録されてる「OVERTURE」という壮大なインスト曲が大好きで、それがきっかけでアルバムには序曲ありみたいな考え方になった気がしますね。実は通常のソロアルバムでも、1曲目にはインストではないけど曲っぽくもない感じのライブSE的な曲を持ってくるようにしてるんです。
■9曲目の「ケ・サラ」は、これもフランス語なんですかね?
Ricky:どうですかね~調べてみますか(笑)。イタリア語で「che sara' sara’(ケセラセラ)」の略らしいですね。意味は「なるようになるさ」だそうです。この「ケ・サラ」という曲や言葉は日本人にも多少馴染みがある気がしますが、曲としてはカンツォーネになるみたいで、このカンツォーネというのはイタリア発祥の楽曲らしく、意味はシャンソンと同じく「歌」なんだそうです。なのでシャンソンとカンツォーネは、歌詞がフランス語かイタリア語か以外はとても似ているといいますか、日本語訳詞されてるともはやどっちがどっちなのかは曲ごとに調べないとわからないですね。
■この曲は特に歌謡曲に近いイメージを感じました!
Ricky:確かに「ケ・サラ」は日本の色んな歌手が昭和から歌ってきたと思うのでその印象が強いのかもしれませんね。あのソワレさんが大好きな越路吹雪さんも歌っていましたし。ただこの「ケ・サラ」をシャンソンやらカンツォーネと認識している人は令和では少ないんじゃないでしょうか。僕もシャンソンを歌ってなかったら確実に知らなかったと思います。あとは今作の4曲目に収録されてる「魅せられた夜」という曲も、あの昭和のアイドルスター沢田研二さんがカバーしてリリースしてたり、リキママ(実母)と歌った「ラスト・ダンスは私に」あたりも、もはや日本の歌謡曲として認知されてるような気もします。そういう意味でいうと、歌謡曲は昭和の日本の「歌」そのものであり、昭和歌謡曲=ジャパニーズシャンソンという捉え方もあながち間違いじゃないのかも。
■このアルバムで一番歌うのが難しかったのはどの曲なんですか?
Ricky:もちろん「そして今は」のフランス語は難しかったですが、楽曲全体として1番難しかったという意味では「あなたに首ったけ」ですかね。この曲を初めて聴いたのは、これまた新春シャンソンショウの常連でもありますROLLYさんのステージでして、それがまたカッコよくてカッコよくて。メロディーも素敵だったのでぜひ僕も歌いたいということで一度ステージで歌ったことがあったのですが、その時はどうしてもROLLYさんのモノマネみたいな感じで消化できておらず、今回改めて1曲目に収録するということで、色々試しながらRicky独自の「あなたに首ったけ」にアップデートしたという経緯がありました。
■ありがとうございます!個人的にシャンソンの勉強にもなりました!
Ricky:それはなによりっきーです!僕自身もそこまでシャンソンに詳しいわけではないのでちょいちょい間違ってる解釈もあるかもしれませんが(汗)。余談にはなりますが、僕がDASEINでデビューした2001年頃のハイトーンボーカリストといえば、B’zの稲葉さんや小野正利さんのようなメタル色の強い人が多かった印象で、これは以前NoGoDの団長と対談した際に言われたのですが、「当時、Rickyさんのハイトーンは高くても太くて柔らかい感じが独特で、それを真似しようと練習したけどできませんでした」と。たとえばDASEINの「流離人」という曲では冒頭からハイトーンで入るのですが、聴感上はそこまで高く聞こえず、歌ってみると高いっていうパターンだそうで。そう言われてその要因を辿ったときに、もしかしたらシャンソンで無意識に培った発声法のおかげなのかなとも思ったんですよね。そんなこともあって、今回の【Rickyの原点にはシャンソンがあった】という表現になったのかもしれません。
■それでは最後に、Rickyさんにとって「R☆MY CHANSON」はどんな1枚になりましたか?
Ricky:僕は2009年にソロデビューして、2013年に事務所から独立したのですが、独立して1人になった時に、これからどうやって音楽業界で生き残っていくかを考えたんです。僕より歌が上手い人や売れてる人はいくらでもいると、でもRickyほど色んなジャンルで幅広く歌っているソロシンガーはそうそういないんじゃないかと。だったらその歌の表現の幅をオリジナリティーとして打ち出していこうと思い、その後もソロ、DASEIN、RIDER CHIPS、THE MICRO HEAD 4N’S、そしてシャンソンとあらゆるプロジェクトで歌ってきました。その五足の草鞋スタイルを「HYPER NEO SOLOIST(ハイパーネオソロイスト)=自立した新しいスタイルのソロアーティスト」という名の肩書きにして今も活動していますので、今回の作品はRickyの歌の引き出しがまたひとつ形になったという感覚ですね。僕自身、食事のスタイルも沢山の料理を自由に味わえるビュッフェが好きなので、人生もビュッフェスタイルということで、今作もその中の料理のひとつですが、どれもメインディッシュなので決して取り過ぎず食べ残しのないよう腹八分でお召し上がりください♡
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3月21日(木)18:00 Yuhma(XANVALA) / L(MEME)&愛郎(UNDER FALL JUSTICE)
3月22日(金)18:00 vistlip
3月25日(月)18:00 Psycho le Cému
3月26日(火)18:00 Ricky / DASEIN
Artist INFORMATION
R☆MY CHANSON 」
-アール☆マイ・シャンソン-
発売日:2024年3月27日(水)
UMS-1001
価格:3000円(税込)
発売元:マドレーヌ・エージェンシー
販売元:PCI MUSIC
[収録曲]
M1_原点回想(instrumental)
M2_あなたに首ったけ
M3_サンジャンの恋人
M4_魅せられた夜
M5_そして今は
M6_ジプシーの恋唄
M7_ラスト・ダンスは私に
M8_私の人生
M9_ケ・サラ
[参加アーティスト]
Piano/Keyboard:おおくぼけい(アーバンギャルド)
Bass:うのしょうじ
Drums:なかじまはじめ
Guitar:情次2号(ハイダンシーグドロシー)
Guitar:眞鍋香我
Accordion:小春(チャラン・ポ・ランタン)
Violin:カジカ
Chorus:ソワレ
Guest Vocal:リキママ(実母)
Sound produce:おおくぼけい
Total produce:ソワレ
<Ricky>
ソロデビュー15周年記念ワンマンLIVE 2024
「 THE☆ANNIVERSARI☆CKY」
ー春めぐり ソロもそぞろに 十五年ー
2024年3月31日 (日)
東京・渋谷REX
開場 16:00
開演 16:30
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