いつかもう一度行ってみたい場所

天の川

アマノガワ

1976年の9月、乾期ペルーアマゾン河本流の中州で、
釣った魚や、銃で撃ったワニ(禁止されていたが既に時効成立)を火で焼いて食べたことがある。 

夜空には満天に天の川、
同行者一行9人の車座になった脇、滔滔と流れる夜のアマゾン河、
目の前には燃え盛る焚き火、炎の向こうは漆黒のジャングル、手には串刺しのピラニア。 

よく考えたら、僕の心に天の川が住み着いたのはここからだった。 
天空を端から端まで埋め尽くしている大量の星、空が見えないくらい。
その輝く無数の星の真ん中、河が流れるように、白く渦巻くように、雲が覆いかぶさっているように、
輝いて天の川があった。 
ミルキーウェイでもコンデンスミルクのように濃いミルクだった。 
天の川の真ん中に、真っ黒な、川を二つに隔てる闇があったなんて知らなかった。 

ペルーのリマまでロス経由で多分22時間、
そこからペルーアマゾンの港町イキトゥスまでプロペラ機で2時間、
イキトゥスから地上を通って他の街に行きつくことは無い、道路が無いから。 
川面に手がふれる位、喫水線が低いボートに乗ってアマゾン本流をさかのぼること3時間で、
アマゾンジャングルインと言う、文字通りジャングルの中の掘っ立て小屋ホテルに着く。 

夜の星々の光をジャマする人間の営みはまったく無い。
太古の原始の時代の夜がそこにはある。
空を見ている分にはこれが意外に明るい、でも地上のものを見ようとすると真っ暗で何も見えない。 
地上は闇、天を仰げば真っ白な夢のような天の川。 

いつかもう一度行ってみたい場所。