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アフガン、レバノン、アフリカ戦線 戦車の本当に“怖さ”が描かれたオススメ戦車映画3選
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アフガン、レバノン、アフリカ戦線 戦車の本当に“怖さ”が描かれたオススメ戦車映画3選

2015-11-10 12:00
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    2014年に映画「フューリー」が公開され、オンラインゲーム「World of Tanks」が絶大な人気を確立し、11月21日に劇場版が公開を迎えるアニメ「ガールズ&パンツァー」など、近年で最も戦車を扱った作品が人気を集めている現代。みなさま良い戦車映画ライフを送られていますでしょうか。

    これらの作品で戦車を知ったという人だけでなく、戦車が大好きでたまらないという人にもオススメしたい「戦車が本当に怖い」と感じる作品を3本、ピックアップしてご紹介していきますよ!

      【そのほかの画像や動画、リンクなどは「カルラボ」でチェック!】

    ■「レッド・アフガン(原題:The Beast)」(1988年・米)

     アフガニスタンへ侵攻したソ連軍戦車部隊が現地住民の集落を襲撃し、住民の多くを虐殺。その無慈悲な行いに対し、アフガンの民兵や住民たちが復讐を決意する「レッド・アフガン(原題:The Beast)」。 ソ連によるアフガン侵攻という史実を描いた戦車映画で、戦車アクション映画の名作といえばこれと真っ先に挙げたくなる一本です。 本作で使われた戦車は「中東戦争でイスラエル軍が鹵獲したT-54/55を改造した戦車」であるチラン戦車(Ti-67)を「さらにT-55風に改造した」という逸品であり、あらゆるシーンで「戦車を怖く・カッコ良く撮る」ことへの情熱が感じられます。  

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    何よりも冒頭の集落襲撃シーンの迫力や怖さは今見ても充分すぎるほどのインパクトがあり、見ていて血がたぎる……というよりも「うわぁこんな殺され方いやだなぁ」と思うこと間違いありません。 集落へ向けてT-55が主砲を発射するシーンでは、砂漠の表面に砲弾の航跡がスーッと刻まれていくのも美しく、あのシーンはいまだに「もしかして実弾を本当にぶっ放したのでは」という疑念が浮かんできますね。
     

      また、トレイラーでも見られる「夜間に砲塔上部から火炎放射器をぶち撒けつつ車載機銃を撃ちまくるT-55」の絵面は本当におぞましく、こんなの相手に接近戦挑むなんて……と思わされますよ。 随伴歩兵がいない状況で友軍との合流を図る孤立戦車と、開けた土地で戦車を狩ろうとする民兵たちのドラマづくりが見事な一作。アメリカ映画なので「ソ連軍兵士もアフガンの住民もみんな英語」という欠点はありますが、未見の方はぜひとも見ていただきたい「怖い戦車」映画です。  


    ■「レバノン」(2009年・イスラエル/ドイツ/フランス合作)

     1982年6月6日、レバノン戦争の初日に参加した一両の戦車に乗り込んだ4人のイスラエル軍兵士たち。 重装甲に守られ安全なはずの戦車だったが、対戦車弾の直撃を受けて損傷。さらに夜間行軍の途中で友軍から落伍してしまい、敵中で孤立。周囲の状況もわからず、司令部からの指示も混乱するなかで、彼らは無事に生還できるのかという、実際にレバノン戦争に従軍したイスラエル人の監督サミュエル・マオズさんの実体験を元に作られています。 「カメラが一歩も戦車の中から出ない」「物語はすべて戦車の内側と、内側から覗く外の世界のみ」で構成されるという斬新なスタイルが評判になった作品ですね。
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    ほぼ全編が戦車の中のみを舞台に描かれるため、周囲の状況や「この戦場は一体どういう場所なのか」が全く説明されないという不親切極まる作りになっていますが、おかげで「なんのこっちゃ分からないまま戦場に放り込まれどんどん状況が悪化していく中でさらに孤立した戦車兵たち」の気分がちょっと追体験できますね。 また、この映画での戦車が「強い近代兵器」どころか「ちょっと頑丈なだけの生活の場」「最終的には棺桶」になるという、普通の戦車映画とはちょっと違う方向で描写されています。 休憩で飲んだスプライトの空き缶が転がるなか、小便も戦車の中で行い、戦車の中で眠り、戦車の中で乗員たちが口論し、エロ話に花を咲かせ、無線機の指示に耳を凝らし、装甲を叩く敵弾の音に怯え、主砲と機銃を撃って敵を殺す。  

      そんな全くもってパッとしない戦車の描かれ方なのですが、とにかくそれが「怖い」んですよね。 状況がわからない、友軍がいない。誰か助けてくれ、この戦車の中から外に出してくれ、と見ていて何度も思わされます。 映画としての作りの親切さやカタルシスでは「フューリー/FURY」に軍配が上がりますが、これもまた強烈に「怖い」戦車映画だといえるでしょう。  


    ■「戦闘機対戦車(原題:Death Race)」(1973年・米)

     1942年11月、北アフリカでの戦況が変わり、撤退を始めたドイツ軍が残した地雷の撤去をメイジられたアメリカ軍パイロットのデル中尉と、イギリス軍のマクミラン少佐が主人公。 目標の地雷原へと向かう途上でドイツ軍の機甲部隊を発見したマクミラン少佐は戦闘機から攻撃を開始するも、反撃を受けてしまう。マクミランを救助しようとするデル中尉、とどめを刺そうと迫るドイツ軍の戦車。

    「飛行不可能のため、友軍地域へと逃げるには砂漠の上をひたすら走行するしかない戦闘機」と「敗残続きの中で勝利の栄光に囚われたクレイジー指揮官に率いられてしまった機甲部隊」による“地獄の追いかけっこ”という、なんともしょっぱいストーリー。 しかし!これが面白いんですよ!
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    登場する飛行機はP-40ウォーホーク戦闘機、そしてM4シャーマン・イージーエイトにドイツ軍のマーキングを施して沙漠迷彩にして「パンター戦車です!」と言い張る戦車、あと装甲車両がちょろちょろと。 低予算を感じさせますが、それもそのはず。もともとテレビ映画として制作された作品。そもそも70年代の戦争映画ならM4シャーマンがドイツ軍戦車として登場した作品は枚挙に暇がありません。ということで考証ガチ勢のみなさんは温かい目で見てあげていただきたいところです。

        生きること、逃げ延びることに全力を注ぐデルとマクミラン、そして敗残兵となりつつある中で、目先の勝利に囚われ彼らを仕留めることに執念を燃やすドイツ軍のバイムラー少将と、徐々にバイムラーへの不信感を募らせる戦車兵たちという構造は、コンパクトながらも戦争に浸かって足抜けできなくなった兵士たちの悲哀を感じさせてくれます。 狂気に囚われたバイムラーが率いるパンター戦車(を名乗るM4シャーマン)も、どんどんカッコよく、そして「恐ろしい存在」だなと実感できる作りは、40年以上前のテレビ映画といえども全くもって侮れません。

        73分というコンパクトな時間であるがゆえに中だるみもなく、変化球ながらも秀逸な作品となっています。 搭載している機銃では戦車を撃破できず、戦車の主砲どころか機銃を喰らえばその時点でゲームセットになりかねないP-40がどのように逃げ延びるのか……?そして兵たちの信頼を失いつつもP-40を追跡するバイムラーの運命は……?

    この結末はぜひともその目で確認していただきたいところですね。
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