「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。2月20日(月)配信の「生産性、働き方についてマジで考えてみる」を3回に分けてお届けします。動画も合わせてぜひご覧ください。
次回のニコ生配信は、4月17日(月)20:00。「日本一有名なニート」、phaさんをゲストにお迎えして、「一億総ニート計画」について語る予定です。
次回もお楽しみに!
■2017/02/20配信のハイライト(その1)
- みんなが一斉に休むっていうのがアホ!
- どうして日本の労働生産性はこんなに低い?
- 労働者は頑張る方向を間違っている!
- 本当に日本の生産性は低いのか?
- お金で愛は買えないかもしれないが、でも愛にもお金はかかる
- 給料が増えても、奴隷は奴隷
- 「ブラック労働者」から抜け出すために必要なこと
みんなが一斉に休むっていうのがアホ!
山路:今日の特集は「生産性」というか「働き方」です。今週末はそういえば「プレミアムフライデー」って言われていました。
小飼:なんすか、それ?
山路:月末の金曜日は午後3時に退社するようにしようというキャンペーンですね。
小飼:大昔、まだ日曜日しか週に休日がなかった頃の「土曜日は半分休日にしよう」とか、そういうものの流れですかねえ。まあ、とにもかくにも休みが増えるのはいいことだと思いますよ。
山路:ただ、働いている人なんかの意見を聞くと、「プレミアムフライデー、本当にこんなことで休めるのかよ」とか、「こんなのやられても困るよ」みたいな意見が多いですね。
小飼:あと、みんなが一斉に休むっていうのがアホなんだよね。休みのときには、ディズニーランドとかみんな人気の場所に行きたいわけです。バーっと人が押し寄せては、普段はバーっと引くでしょ。で、物理的なvenue、場所っていうのはどうしても最大キャパシティに合わせて設計しなければいけないから、無理・無駄・ムラが出ちゃうんですよ。
一番イカンのは、アレですよ。アブラハム教ということになりますね。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教。
山路:安息日のある宗教ですか。もともと日曜日は何もしちゃいけない安息日だったはずなんですよね。
小飼:はい。実は7日で1サイクルっていうサイクルは、5000年以上途切れてないんですって。7日サイクルというのは、結構人類的にはよく使われるサイクルだとは思いますというのも、月の4分の1なので。そう考えるとよく分かるでしょ。
山路:太陰暦でも太陽暦でもだいたい月の四分の一みたいな。
小飼:そうそう。1か月が30日弱。だから29日前後で、それの一番近いのが28日というので。更にその四分の一で、それがたまたま素数の7だったという。本当は素数ではないほうがね、合成数のほうがね、6とかだと色んな割り方ができて良かったんですけどねー。
山路:ローテーションも今より組みやすかったかもしれない。
小飼:人類もねえ、「けだものフレンズ」である以上は、生物であることからは逃れられなくて。やっぱり夜には大抵の人が寝たいし、昼間に起きていたい。だからその部分のサイクルは止むを得ないと思うんですよ、ある程度は。だけども、みんな一斉に「9時-17時」とかにしなくてもいいじゃん。
いっそタイムゾーンもやめる。もう、全世界的に統一しちゃって、「この経度帯はこの時間に始まります」みたいなね。
山路:昔にもそういう議論が出たっていう話を聞いたことがあります。タイムゾーンが作られようとしているとき……。
小飼:「バッカじゃねーの」ですね、アレは。ましてや「夏時間とかやろう」って言っているのはさ、もう死ぬべきバカだね。それは。
山路:時差とかなかったら、ずいぶん物事の計算って楽だったんじゃないかなって気がしますけどね。飛行機なんかの移動にしても。
小飼:経度の存在を知らなかったころの常識に基づいているから。
山路:ああ、なるほど。
で、働き方、プレミアムフライデーにも関わってくるんですけど。前回、ニコ論壇時評でアンケートを取ったときに、Yahoo! JAPANが週休3日制を導入して。「その代わり、ちょっと給料は20%減るよ」みたいな話があって。そのアンケートで、「週休3日で給料2割減」がいいのか、「週休2日で給料そのまんまがどっちがいいの」みたいな話を聞いて。
小飼:拘束時間が短いのはいいとしても。微妙にショボいよなあ……。
山路:前回は週休3日派が79.4%で、週休2日派が20.6%でしたね。「週休3日制なんてゼイタク言わないから、完全週休2日制にしてくれ」というコメントも。
小飼:ああ、そうか。その前の段階の人もいらっしゃるんですよね。
山路:「生きがいを失って更に犯罪や自殺者が増えそうだ」。えっ? 一体これはどういうことなんだろうか。
どうして日本の労働生産性はこんなに低い?
小飼:仕事場にいたくてしょうがないんでしょうかねえ。
でも、決して珍しくはないと思いますよ。家に居場所がなくて「上司だけが俺を理解してくれる!」みたいな人だっていないわけではないでしょう。
山路:そもそもなんでこんなにみんな会社に長くいて、給料が安いという文句が出るんでしょうか。
例えば統計の方で言うと日本の労働生産性がものすごく低いと。
2015年の日本の時間あたりの労働生産性は42.1ドル。アメリカに比べると6割強程度しかないという。先進国の35カ国中20位。1人あたりで言うと35カ国中22位といった話が出ていますが。
小飼:生産性というのはあくまでも分数で、「生産したもの」を「時間」で割ったものです。だから、生産性を増すには、分子の方を大きくするのか分母の方を小さくするかしかない。分母の方を小さくするほうが実はなんぼか簡単なんじゃないかなという風に僕は思っているんですけどね。
山路:分母を小さくするというのは、要は労働時間を減らすっていうことですよね。
小飼:その通りです。
山路:みんな忙しくて、忙しくて、残業が嫌だって言っているのに、生産性が低いというのは……。
小飼:忙しい自分が好きなんじゃないですかね。
労働者の生産性なんて高めなくてもいい、そういう考えは無きにしもあらずです。例えば、雇用している方から見れば、無休で24時間働いてくれる社員に取って代わる機械があれば、ずっといい。その場合、雇用されている方の人にしてみれば、生産性が上がるというのはまずいわけですよ。
山路:給料が減っちゃうから。
小飼:インドのカースト制というのは、その観点から正当化されているところがあります。
山路:カースト制がですか?
小飼:つまり、カーストがあることによって、その場において確実にその仕事が割り当てられる。
山路:職業などを固定化しておくことによってですか?
小飼:そうそう。だから、ある人がやっているその仕事自体は無駄もなのかもしれないけども、確実に職場は得ることができる、そういう意見を読んだことがある。
山路:日本の働き方もちょっとそれに似ているところがあるような気がします。
「サビ残は労働に入りますか?」(コメント)
小飼:だからなんで「サービス」っていう言葉を使うの、そこで。
なぜか日本では「サービス」が「無料でお出ししますよ」の意味に使われていますけれども、本来は金を取る、時にはものすごい金を取るものですよ。
「上司が長時間の方がいいと思うんじゃないか(長時間働く人の方が評価される?)」(コメント)
小飼:実はですね、日本の組織というのは会社にしろ、国にしろ、上に行くほどダメになっていく。東芝にしろ日本国政府にしろ一番上が一番ダメ。
山路:労働生産性が低いままなのは、上に行く人にとってはそちらかの方が都合がいいということなんですかね。
小飼:でも下の人の方も真剣に努力してないよね。こりゃまずいんじゃないかと。
山路:この場合の「努力」っていうのはどういう?
労働者は頑張る方向を間違っている!
小飼:職場で頑張ることに限りません。この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。