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小飼弾の論弾 #57「対談・脳科学者 茂木健一郎さん @kenichiromogi (その2)VALUの仕組みにツッコミ入れます!」
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小飼弾の論弾 #57「対談・脳科学者 茂木健一郎さん @kenichiromogi (その2)VALUの仕組みにツッコミ入れます!」

2017-10-12 07:00

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    今回は、9月25日(月)に配信した、脳科学者 茂木健一郎さんとの対談テキスト(全4回)をお届けします。

    次回のニコ生配信は、10月16日(月)19:00、話題の質屋アプリ「CASH」を運営する、株式会社バンクのCEO、光本勇介さんとの対談です!
    いつもより、配信開始が1時間早くなっていますので、ご注意ください。

    お楽しみに!

    2017/09/25配信のハイライト(その2)

    • 人工知能に魂は宿るのか?
    • 検定なんてやったところで意味がない
    • 就職も選別よりも先着順
    • 就活と婚活
    • しょぼい人材でまともなアウトプットを出せるのが一流企業……のはずなのに
    • VALU今どうなってます?
    • VALUでは、義務は発生しない
    • 個人の時間を売り買いするタイムバンク
    • イカれている感じが画期的で楽しそうなVALU
    • 金、価値、時間の持ち合い社会

    人工知能に魂は宿るのか?

    山路:じゃあ人工知能についてもう少し聞いていいですか。よく人工知能を研究されてる、例えば東大の新井先生。

    茂木:新井紀子さん。

    山路:「東大ロボ」とかを研究されてますね。

    茂木:まあやめましたけどね。

    山路:新井さん達が諦めた理由の1つというのが、読解力がとても人間並みにはどうしてもなりそうにないみたいな話だったと思うんですけれども、その読解力っていうのもそんなに難しいものなんでしょうか。それっていうのはかなり意識に関わってくるものなんでしょうか。

    茂木:新井紀子さんは今年TEDで喋ったんですけど、東ロボくんの話ってほとんど聴衆には言ってなくて、むしろ最近話題になった読解力がないっていう研究結果出してたじゃないですか。そっちの方にしか聴衆は興味がなかった。つまり東大に入るってことは本当にドメスティックなターゲットで、それは人工知能のグランドチャレンジになんないのよ。どうでもいいから。むしろ驚くべきことに、ポピュレーションの大きな部分が基本的な読解力を持っていないということが明らかになった。

    山路:15%ぐらいでしたっけ。

    茂木:ということを新井さんはTEDで喋っていて、そこはオーディエンスがいいねって言ってましたね。

    山路:ちなみに、あれっていうのは、常に一定数それだけ読解力がない人がいるものなんですか?

    茂木:あれも定義によると思うんだけど。だって、量子力学の意味ってみんなわかってないじゃん。量子力学の意味はペンローズでもアインシュタインでもファインマンでも理解不能って、皮肉でツイートしたんだけど。文章の意味がわかるってどういうことなんですか?

    小飼:そもそも理解ができるということが理解できない。

    茂木:そうだよね

    小飼:っていうようなことを、たしかアインシュタインが言ってましたね

    茂木:だからあのリサーチ自体がどういう前提に基づいているのかがわからない……新井紀子さん自身は素晴らしい方なんですが……ちょっとそこがよくわからない。

    検定なんてやったところで意味がない

    山路:でも、茂木さんも学生にテストを出したら、なにか採点はするじゃないですか。

    茂木:まあ俺、採点についてはあまり言いたくないんだよなあ。色々とコンプライアンスとの問題があるから……。ある方法でやってます。
     紙飛行機にして投げてるんじゃないよ! ただ、ぼくの個人的な思想としてはレーティングというか、グレードというか、成績というのは全廃しちゃった方がいいと思ってます。個人的な思想としては。
     定量化ができないじゃん。てか、弾さんってスーパープログラマーでアルファブロガーって言われてますが、じゃあ弾さんの能力ってどう定量化するんですかっていったって、定量化したってしょうがないじゃん。検定とかやったってしょうがないじゃん。

    小飼:あなたは、8割弾ですとか(笑)。なんか蕎麦みたいだな。

    茂木:だから俺はTOEIC撲滅主義者なんですけど、そもそも英語力を点数化するって思想が嫌いなんですよ。てか、英語力なんて……さっきなんか"con man"(詐欺師)の話してたじゃないですか、おーって思って……だいたいちょっと喋ればわかるんですよ、その人の英語力ってのは。
     だから日本の企業がTOEICの点数でなんか色々人事やってるってのは、つまり、彼ら自身が英語の判断ができないだけの話で、そっちの方が本質的な問題であり、TOEICは撲滅すべきだと俺は思ってます。
     なんでそんなに、定量化したい、点数にしたいのかがぜんぜんわからなっくって……。

    山路:単純に事務作業を省きたいってのがあるんでしょうね。

    茂木:だからそれが馬鹿なんだよねえ。

    山路:その企業が誰をとっていいかわからないから、人を見る基準みたいなのがないから……。

    茂木:もうコストかけてないってことでしょ?

    就職も選別よりも先着順

    小飼:いや、ぼくの意見は、長い時間かけてベストを選ぶよりは、本当に先着順で業務をやってもらって……死んだり病気になったりしませんかってのを見るべきなんですよ。実はぼくは、(オン・ザ・エッヂの)CTO時代はそういう風にみていました。

    茂木:え、そうなんですか?どうやってとってるんですか?

    小飼:基本的に先着順で、やっぱり最低限はこれとこれはできなきゃいけないってのをみてました。けっこう重要なのはお客さんに怒られても壊れないってことで……

    山路:めげない体質?

    小飼:はい、だからけっこうそれで、純粋にプログラミングの能力が高い子というのも、うちはたぶんあわないでしょう。心の病気になっちゃうでしょう。

    茂木:現場主義やなあ。

    小飼:うちに来てもやっていけるかどうかだけ、見るべきだと思うんですよね。だから例えば、全国に東大をって言うのであれば……。普通に電子工学とかをやるのであれば、最低限の電磁力学の知識はいるわけじゃないですか。で、そこで使うための、数学的ツール、微積分ですとか、線形代数だとかの知識がいるわけじゃないですか。要は、この階段を登れるのであればもう先着順ですとか……。

    茂木:階段登るの?(笑)

    小飼:時期が一致しちゃうのであれば、お前ら全員入るだけの能力はあるけど、これだけしかキャパシティがないからあとは抽選ですで良いと思うんですよね、僕は。

    山路:今、就職のテストにしてもあんまり意味がない気がしますもんね。

    小飼:なんで良い人をとろうとするんでしょうかね? はじめから。

    山路:伸ばそうって発想がないと。

    就活と婚活

    小飼:入社したときの、彼女や彼で業務の経験を積んだあとの彼女や彼って別人じゃないですか。これ、婚活とかにも言えると思うんですけど……。

    茂木:婚活!?(笑)

    小飼:なので、現状でいっぱい持ってる人……。

    茂木:あー最近なんか炎上してたなあ。

    小飼:結婚相手に年収1000万円を要求する人とか。

    茂木:自分が育てるという風に思えばいんだよね。

    小飼:ぼくもそうです、妻と同棲した頃、ぼく無職でしたから(笑)。

    山路:奥さん見る目ありましたね。

    小飼:そろそろ仕事したいんだけれども、PowerBookを買うお金貸してと言って、妻から借りてましたからね。

    一同:(笑)

    しょぼい人材でまともなアウトプットを出せるのが一流企業……のはずなのに

    小飼:でも、教育ってのはそういうもんで、その意味では、難関校ってのは教育機関としてはしょぼいわけですよ。すでにできてる子をとるわけだから。できない子をできるようにしてなんぼでしょ?

    山路:よく、一流企業なんかもあんなにトレーニングの仕組みも整ってるなら……

    小飼:だから、しょぼい人材をとってもまともな仕事を、まともなアウトプットだせるようにするというのが一流企業って仕組みじゃないですか?

    山路:うんうん

    小飼:だから、ウォルマートは一流企業です。セブンイレブンも一流企業です。なぜかといったらそのへんの人を捕まえてちゃんと業務ができるようにするわけですよ……。

    山路:前、弾さんが言っていたのは、ハイアールでしたっけ?

    小飼:あれは本当に聞いてびっくりした。最初の社員教育というのは野糞をするなですから。

    一同:(笑)

    小飼:本当ですこれ。

    茂木:ちゃんと便所でしろという。

    小飼:そうそう、そういうところで冷蔵庫をつくれるようにしたわけなので、それは全世界で戦えますよね。

    茂木:面白いは、今日は。

    山路:東芝も一流企業かってコメントがきてますが、この文脈ならあきらかに違いますよね。

    小飼:こういうのもなんだけど、測定可能な技能が高い人ばっかりとってたのかな?東芝といい。

    山路・茂木:ああ。

    茂木:まあでも、日本の大企業はそういう傾向あるんじゃないですかね。どこもね。

    山路:結局、なにでとったかみたいな、あとで責められたくないってのはあるのかもしれませんね。こういう理由でとったからって説明できたら、まあ良いみたいな。

    小飼:ジャニオタじゃないですけど、抽選でいいんじゃないですかね? 先着順でもう多すぎれば抽選でいいんじゃないですかね。
     で、そのときに、どうしてもうちの業務では……例えば1日8時間は立ち仕事ですよ、それ耐えられますかですとか、そういうテストは良いと思うんですよ。

    茂木:8時間立ってるテストですとかね。

    小飼:だからコンビニのバイトとかまさにそうじゃないですか?

    茂木:まんまそうですね。

    山路:意外につらいですよね、ただ立ってるのって。

    小飼:はい。だから、そうすれば、そういう人でも働けるような環境をつくるのであれば、本当に先着順で良いと思うんですよ。だから、一流企業であればあるほど、誰が入ってきても良いようにするべきなんですよ。

    茂木:どっか先着順でとるってとこあったよたしか。

    小飼:まあ、人気がですぎると抽選に頼らざるをえないんですけども。はじめっからできる人を一本釣りするようなものというのはスターターでしょう。今、ぼくが関わってるVALUはまさにそうなので、どうしてもハンター試験みたいな感じになっちゃうんですよ。

    山路:ハンター試験かあ(笑)。

    小飼:でもそれは、我々がまだ小さな零細企業で、スタートだからそうなんですよね

    VALU今どうなってます?

    茂木:「VALU」(コメント)? 出た、VALU。

    山路:じゃあVALUの話いきますか?

    茂木:あの、あれってどうなって……まず、順調?

    小飼:ぼちぼちやってますよ。

    茂木:あれって、ねえ、ヒカルさんのあれであれでしたけど。

    山路:個人を「上場」するという。

    小飼:個人が「増長」しちゃったわけなんですが……。

    茂木:あれって、時価総額決定アルゴリズムって公開されてるんでしたっけ?
     
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