「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
2018年2月5日(月)配信の「小飼弾の論弾」のハイライトをお届けします。

次回のニコ生配信は、2018年5月7日(月)20:00からのニコ論壇時評です。21:00からは通常の小飼弾の論弾になります。
お楽しみに!

2018/2/5配信のハイライト

  • Pepperの親は誰か?
  • 義理チョコは辞めるべき?
  • 新元号の扱い
  • 違法サイトの原因は、合法の読み放題サービスがないこと
  • 仮想通貨が盗まれるとはどういうことか
  • 取引所はどう仮想通貨を管理すべき?
  • 取引をマーキングすることの是非
  • 財務諸表の重要性
  • 仮想通貨はギャンブル?
  • 仮想通貨FXでは、本当に「借りている」のか?
  • 仮想通貨「Tether」の疑惑
  • 仮想通貨のインサイダー問題
  • 仮想通貨の課税問題
  • PEZY Computing取材の話
  • 共同通信のiPS細胞記事の差し替え問題
  • F1グリッドガールの廃止について

Pepperの親は誰か?

山路:Pepperの生みの親は誰かが問題になっているようですね。

小飼:体毛的には、明らかに孫さんが父親ですね。

山路:(笑)
 企業に限らず、何らかのプロジェクトで生み出された成果とは誰のものなんでしょうか?

小飼:発明発見が誰のものかを証明するのは意外に難しい。例えば、ノーベル賞にもなったフラーレン。C60。炭素原子がサッカーボール状になったものですが、論文は日本が先。ノーベル賞の受賞者も言っていることですが、もしこの論文が英語で出ていたら、ノーベル賞は彼ら(最初に論文を書いた日本人研究者)のものだったと。ただ、これはそういう経緯が明らかになっているむしろ珍しいケースです。
 オープンソースの場合も、ソースコード管理システムで管理していることがほとんどだから、わかりやすくなっています。でも、1人の成果ということはないですよね。

山路:Linuxだと、リーナス・トーバルスが有名です。

小飼:でも彼もまとめている人ですよね。わざわざまとめるために、一番使われているソースコード管理システムのGitを開発している。僕への直接的な影響は、LinuxよりGitの恩恵の方が大きい。僕はLinuxなくても生きていけるけど、Gitがないと困る。

義理チョコは辞めるべき?

小飼:そもそもなんでチョコレートになったんでしょうねえ。アメリカだとセントバレンタインデーは誰が誰に告ってもいい日で、カードを送ることが多いですね。僕はアメリカの大学にいた頃、すごく熱いメッセージが書かれたカードを女の子からもらいましたが、あまりに悪筆で読めなかったので、本人に読み上げてもらうという、羞恥プレイをしてしまったことがあります。

山路:(笑)

小飼:ほかの業界ももっと頑張ればいいのに。エッチな下着を売るのに最適な日じゃないですか。これは真面目な話で、ヴィクトリアズ・シークレットという有名な下着ブランドがあります。ネットがなかった頃からカタログ販売をやっていて、特徴的なのは男にもカタログを送っているんですよ。

新元号の扱い

山路:新元号についての話題ですが、盛り上がらなくなるから早めに発表しないそうです。

小飼:「二〇一八」にすればいいのに。

山路:漢数字で(笑)。

小飼:どうせ「1」スタートなので。「二〇一八元年」は「西暦2019年」になる。

(財布を取り出す)

小飼:僕の運転免許証には平成30年9月と書いてある。この日は絶対来ないですよね。じゃあ、僕の免許証は永久に失効しないの?

山路:早く元号を発表してくれないとシステムの更新が大変だと、SEは悲鳴を上げているとか。

小飼:運用でカバーさせようとするのが間違い。「元号を公式の場で使ってもいいですよ」くらいにするべきなんです。基本は西暦にして。イスラム圏ですら、公式の記録には西暦を使っている。
 日本は数値に関してはけっこう厳格な国で、メートル法に切り替えた時は尺貫法の定規を作ることもダメだったのに。
 それに今年は、いよいよキログラム原器がなくなって、原理で重さを定義できるようになる。そういう意味で今年は非常にめでたい年のはずなんですが。

違法サイトの原因は、合法の読み放題サービスがないこと

小飼:音楽は聴き放題があるし、動画も見放題があるけど、それに比肩する読み放題がないというのは奇妙な状態。

山路:Kindle Unlimitedはそれを目指したんでしょうけど。

小飼:KindleはUIがクソだよなあ。検索機能もバカみたいだし。
 覚えておいていただきたいんですが、UIがいいというのは、それ自体に価値があるんですよ。

山路:ある意味、iPhoneはUIで天下を獲ったわけですしね。

仮想通貨が盗まれるとはどういうことか

山路:売上が伸びたコインチェックは、ビットフライヤーに迫る急成長をしたと言われています。

小飼:実はそういったところも、財務諸表を公開してくれているわけではないので、傍から予測するしかないんです。でも、とても景気が良かったというのは、確かでしょうね。

山路:そういうところから、大量にこのNEM(ネム)が盗まれたという。

小飼:厳密にはNEMの通貨単位はXEM(ゼム)ですけどね。NEMというのはブロックチェーンの名前で、その上に載せている仮想通貨の一種がXEMと書いてゼムと呼ぶやつですよね。だから他の仮想通貨も載せられるような仕組みになってるんです。
 後発の仮想通貨だけあって、ビットコインとかよりも、いろいろなところが良くできているというのは確かだったでしょうね。

山路:この番組でも、何回か仮想通貨については取り上げているんですが、改めて、仮想通貨が盗まれるというのは一体どういうことなのかを簡単に説明してもらえますか。

小飼:仮想通貨は暗号通貨ともいいますけれども、その正体というのはブロックチェーン上に書かれた全取引記録です。ブロックチェーンを全部見ていくと、その仮想通貨が生まれた時から、最後のブロックに至るまでの全取引記録というのが辿れるわけです。
 通貨を盗むというのは、その記録に書き足すことなんですよ。だから送金したという記録が一旦ブロックチェーンに残っちゃうとそれが本物になる。