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小飼弾の論弾 #96 「2018年ITの振り返り(その1):仮想通貨バブルとスマホ決済、GAFA」
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小飼弾の論弾 #96 「2018年ITの振り返り(その1):仮想通貨バブルとスマホ決済、GAFA」

2019-01-28 11:06

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2018年12月4日(火)配信の「小飼弾の論弾」の前半をお届けします。

     次回は、2019年2月5日(火)20:00の配信です。

    お楽しみに!

    2018/12/04配信のハイライト(その1)

    • 2018年のITを振り返る
    • 大阪万博とフランスのデモ
    • ゲノム編集するほうが倫理的になる可能性
    • ボッチが楽しめるまっとうな位置ゲー『テクテクテクテク』
    • 故ジョージ・ブッシュについての評価
    • 2018年振り返り/仮想通貨バブル
    • 2018年振り返り/スマホ決済
    • 2018年振り返り/GAFA

    2018年のITを振り返る

    山路:今日は特集として、「2018年のITを振り返る」。

    小飼:なんかまだちょっと早いような気がするんですよね。いちおう暦の上では12月なんだけども、そんな寒くないし。

    山路:暦の上ではDecemberという歌がありましたね。なんかでもかなり年末感はもう出てて、いろいろ仕事に追われてますけど。

    小飼:ああまぁ確かに、締め切りの年末申告とかね、そういうところに年末感を感じるけど。

    山路:今日ちょっと後ほど、IT、2018年の振り返りということで、GAFAをやり、ブロックチェーンだったり仮想通貨だったり、まぁまぁ色々ITで賑わった2018年ですけども、果たして本当に期待通りだったのかみたいなことっていうのを。

    小飼:そもそも期待してたの?

    山路:え? ITに対する期待は凄かったんじゃないですか?

    小飼:え? たとえば?

    山路:たとえば、AIでこれからもうすごい盛り上がっていくんじゃないのかとか、GAFAで時価総額がバンバン上がっていくみたいな。

    小飼:バンバン、うん、GAFAの場合はちょっとあとでおいておいて。でも、たとえばもう携帯とかでもやることがなくなってきたというのは、ここ数年のトレンドだよね。たとえば、画面がこれくらいの、これは縁無しにはしたけどれども、まぁRetinaのディスプレイというのはもう何年前だ? iPhone4だから。

    山路:4、そうですね、つまりは6、7年前か。

    小飼:そうそう、だからもうハードウェアの性能をただ単に上げただけではもうUXが上がらないというところまで。

    山路:ユーザーエクスペリエンス(UX)ですよね。

    小飼:きちゃってるんですよね。僕のいちおうこれ、新しくしたんですよ。iPhone。こっちは新しいほうのMacbook Airなんですけれども。性能はこれよりも4年前? 5年前のとさほど変わらないんですよね。

    山路:CPUのパフォーマンス自体は似たようなものなんですかね、メモリはちょっと早くなったかも。

    小飼:確かに電池食わなくなったし、USB-Cになったというね。なんですけども、画面の大きさですとか、解像度ですとか、SSDの大きさですとか、メモリですとかっていうのは、ぜんぜん変わってないんですよね。これはPCの場合ですけれども、はい。

    山路:弾さん的には、ちょっと停滞していた数年かもしれないとも言えると。

    小飼:よくはなるけれども、「おお! なんかこれは違う」っていうのがすぐにくるとは思わなかった。AIうんぬんというのはもう過去ずーっとやってきたものが、やっと実がついたと。もう3年前に植えた木がみたいな。まぁそういう感じだし。

    山路:それっていうのが、先端のところでやっている人と、そんなにITに興味がなかった人がそれに気づくというのとやっぱりタイムラグがありますからね。

    小飼:まぁでも今どき皆ね、持ってるでしょう。

    山路:スマホは使ってるだろうし。

    大阪万博とフランスのデモ

    山路:わかりました。とりあえずその2018年のITに関しては、じっくりとのちほど語ろうと思いますが。まずは時事ニュース的な軽い話題というところで。

    小飼:山路さんが軽いというと、あれだよね、たいてい剣呑なニュースになってるんだよね。

    山路:アハハ、これもどうですか? 55年ぶりの大阪万博、剣呑ですかね?

    小飼:クソー、はいクソーみたいな(笑)。

    山路:いきなりクソ認定出たな。2兆円の経済効果あるんじゃないかとか、大阪のほうでは盛り上がってるという話も聴きますが、どうなんでしょう?

    小飼:ええ? 大阪のおじさんたちでしょう、盛り上がってるのは。

    山路:うん、まぁカジノ誘致なんかで、バンバンお金入ってくるんじゃないかみたいな。

    小飼:でも大阪って観光はよくやってるけどもさ、それ以外ってどうなの?

    山路:ビジネスっていう意味ですか?

    小飼:僕はまぁ普通に働きだしてから、どれくらい経つのかなあ、学生でもなくなった時から数えると、もう30年近くなるんだけれども、はっきり言いましょう。大阪の地位というのは、それからグングン低下している。

    山路:えー? 大坂の人が聞いたら怒りそうな(笑)。

    小飼:いや、でも本当にそうだもん。むしろ名古屋の地位とかが上がってるという感じですね。ただ観光客がガンガン来て、そこの持ち直しはあるんだけども。

    山路:観光ってある意味、最後に残る産業みたいなところみたいなのはありますもんね。

    小飼:まぁそうだね。

    山路:リニアもとりあえず名古屋までで、大阪以降ははっきりしていなかったりということもあるんですかね。

    小飼:それは大阪以降っていうのは、工事の難易度と資金調達ですよね。

    山路:じゃあ、弾さんは、万博を大阪に持って来ても、そんなに大した盛り上がりはなさそうと思ってたりする?

    小飼:いや、というのか、愛知万博みたいなのがあったみたいですけど、それをやったお蔭で名古屋がよくなったっていうのはあるんですかね? まぁ空港が出来て、そのついでみたいなところはあったみたいですけどもね。

    山路:東京オリンピックやって、その後大阪万博やって、なんとかこう盛り上げよう盛り上げようというしてる動き自体は伝わってきますけどね。

    小飼:あのね、それは都会人の考えじゃないの。盛り上げようとして盛り上がるもんじゃないんだよね、都会っていうのは。だから勝手に人が集まって勝手に色々やってるうちに、面白そうな奴らがいるぞと、お金も集まっているらしいと、そうやって人が集まってくるんですよね。だからトップダウンで、これやってますからっていうので、上手く行った例というのはほとんどないんですよね。
     だからオリンピックなんかなくても、東京というのは世界最大の都市です。

    山路:1300万人くらいが東京都民でいるわけですもんね。

    小飼:はい、だから世界で1番人がいて、世界で1番金がある都市です。だからオリンピックなんぞいらんのですよ。
     東京は世界で一番金があるというデータは、いくらでも出てきますよ。Gross Urban Productとでも言うんでしょうかね。圧倒的世界一ですよ。

    山路:そうか。じゃあ大阪万博っていうのはどっちかっていうと政策的には悪手? こういう悪い手ですかね? そういう箱物じゃないですか、イベントみたいなものを作ってやるっていのは、金の無駄というか、思ったほどの経済効果がやっぱり出ない?

    小飼:いやだから、それで経済効果云々というのは、その時点でなぁ。

    山路:弾さん、オリンピックの時もVRでやれって言ってましたもんね。

    小飼:うんうん、VRのほうがいいでしょう。

    山路:素朴な疑問としては、こういう今、リアルな万博みたいなところで、何を見せるのかっていうのはありますけどね。55年前の大阪万博だったらその……。

    「同じ金を教育に入れてあげて」(コメント)

    小飼:いやまぁそこなんだよね。

    山路:そっちのほうがぜんぜん投資効果いいんじゃねえのっていう。

    小飼:ただまぁ盛り上がらないわねえ。

    山路:ああ。まぁ効果が出るのが、しかもけっこう後ですもんね、教育投資みたいなものって。
     じゃあちょっと時事ニュースの続きで、別の。フランスのデモの話というのもでかい話で。

    小飼:まぁいつものことだけどね、でも何と言えばいいのかな、羨ましいといえば羨ましいよね。ああいうデモが出来るというのは(笑)。

    山路:社会を変革しようというエネルギーがあるという意味でっていうことですよね。

    小飼:うん。いやべつにデモしている人たちは変革しようというんではなくって、このままでやっていると俺たちヤバいっていうのを、要するに文句をつけているわけですよね。だからべつに対案を出せとか、対案を出しているわけではないんですけれども。でも今のままじゃ俺たち暴れるぜという意思を示しておくというのは、これとてもいいことですよ。

    山路:しかしそれにしてもまぁ、大騒ぎにはなってるみたいですけどね(笑)。こんな感じで、凄い(笑)。聖マリアンヌ像とかも壊されたっていう。

     これってよく言われてるのが、マクロン大統領というのが、金持ち優遇の政策をとってて、今回は燃料税を上げて、それが低所得者の負担が増えてかなわんぞと、そういうことで。

    小飼:いくらをいくらにするんだろうな。僕は燃料税的なものは賛成なんですよ。日本は、日本のガソリンってじつは6割が税金なんですけども、じつはアメリカはともかく、ヨーロッパと比べた場合っていうのは、決して高くないんですよね。

    山路:ああ、そうなんですか。

    小飼:物凄いザックとしたレートで、日本で100円の時が、まぁ100円ということは今ないですけれども、ドイツで1ユーロくらい(笑)。それぐらい違いがありましたね。ドイツはぜんぜん安くなくて、ええ? アウトバーンの国なのにっていって。

    山路:ほう。ただこのちょっとニュース聞いてて思ったのが、マクロン大統領、地球温暖化対策のために燃料税増税は絶対に必要なんだとかって言って、まぁそれ自体は高尚な理想だとは思うんだけれども、それが果たして普通の生活に困っている人に通じるんだろうか? と。

    小飼:まぁ払わざるを得ないお金ですからね。そういったものというのは、だから燃料税の形ではなくて、まぁ僕だったらまぁベーシックインカムとまでは言わないけれども、給付金の形で出しちゃうのがいいんじゃないかと。

    山路:まぁそういう結局、再分配みたいなものがちゃんとしてないから、恨みを買っているっていうところはあるんでしょうかね? こういう今回のフランスのデモみたいなものというのは。

    小飼:というのか、生活費がいくら上がるとかっていうのは、どれくらい試算しているんだろうな。でもどっちかっていうと、燃料税というよりも、マクロン口先ばっかじゃねえ? というのを感じてた人が一緒にデモしていると、いい機会だと。だから燃料税というのは……

    山路:口実に過ぎないと。

    小飼:うん、突き出しだと。

    山路:アハハ。突き出しか。まぁしかしマクロン大統領は、あのトランプ大統領がパリ協定を離脱したのとかも批判した手前、ここで辞められないというのはあるかもしれない。

    小飼:まぁ格好いいことを言ってきてるんだけどもね。

    山路:いざそれが自分に降り掛かってくると、大変な問題だなっていうことですね。

    小飼:まぁそういうことですね。

    ゲノム編集するほうが倫理的になる可能性

    山路:じゃあ次の話として、これもけっこう衝撃的だった、ゲノム編集赤ちゃんという。

    小飼:え? どこが衝撃的なの?

    山路:そうきたか(笑)。

    小飼:いや、時間の問題だと思ってて。でもあんまそんなニュースないよなと思ってたら、ついに来たという感じではありますかね。

    山路:ただ、ニュースがけっこう錯綜しているので、本当のところまだどうなのかよくわかりませんが。

    小飼:というよりも、どこをどうイジったのかってというのがわからんことにはね。

    山路:うん、とりあえず最初に、出てた発表でというのは、エイズに対する耐性がつくような、遺伝子改変を行ったみたいなことは言ってましたけどね。つまり遺伝子のどこの部分をいじくったかっていうのは、この時点の報道でははっきりしていません。

    小飼:キチッといじくったかどうかというのを、どういうふうに確認しているのか、問題はそっちだよね。

    山路:それって、実際にその人が耐性があるかどうかを生物実験しないとわかんない?

    小飼:うん、わかんないよね。だから、それが簡単に出来ないっていうのも、おいそれと手を付け難いっていうのも理由の1つだけども。でもボトムラインとして、人間は遺伝子、DNAという言葉、存在を知らないうちから動植物の遺伝子操作をやってたんですよね。

    山路:まぁそうですよね。品種改良っていうのは基本的に。

    小飼:自分達にとって都合のいい動植物を、作りたいっていう欲求は昔からあるわけですよ。もちろんその対象として、人は例外ではないんですよね。

    山路:これ、それこそ前々回とか、星界シリーズとか紹介したじゃないですか。あのアーヴが出てくる『星界』シリーズ。

    小飼:いや下手すると、将来遺伝病の理由があるような遺伝子を残しておくことがもう駄目ということになるかもしれない。ようは普通の有性生殖っていうのは、これは人の命を弄ぶ行為だとして、価値観が逆転する可能性すらあるわけですよね。なんでお前、子供の命でガチャしてるんだと。

    山路:ちゃんと治せる欠点なのに、治さないみたいな。ただ以前、行動遺伝学の安藤先生と対談した時にもちょっと出た話ですけど。その時に(人間や社会にとって)重要な性質が何かと言うことは、事前にはわからないだろうという。

    小飼:そう簡単にはわからないんですよね。たとえば有名な遺伝子疾患として、鎌状赤血球というのがあります。

    山路:アフリカのほうの病気ですね。

    小飼:はい。これは赤血球の形が鎌みたいになっちゃうので、そうなるんですけど、赤血球が鎌状になると、赤血球の性能は落ちます。だからその分、呼吸能力というのが落ちるんですけど、じつはだからそれはマラリアに対しては耐性があったと。

    山路:しかしそこのとこで、今だったらマラリアなんかっていうのが薬で治せちゃうじゃないですか。

    小飼:いやでも薬で全部は治ってないよ。今感染症の中では、1番ヤバいのがマラリアですよ。いまだに。

    山路:ただ、発展途上国の貧困地域への施策をきちんとしたら、鎌状赤血球を持たなくてもマラリアの被害にはならない。呼吸能力が落ちるというデメリットなしに、マラリアにかからないということも可能でしょう。

    小飼:まぁそういうことですよね。

    山路:つまり金の力で解決出来ることではあったりするわけですよね。

    小飼:金の力で解決出来ることではあります。あるいは別の解決方法が出てきちゃったと。

    山路:まぁいずれにしても、そのどういう遺伝的な性質が人にとっていいものか、その場その場で判断できるのだろうかという疑問はありますけどね。

    小飼:でも今のね、普通に両親がセックスして、普通に受精して、普通に着床してというのは、だからそっちのほうが倫理的か? っていうふうに言われると、僕はわかんないな。

     
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