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小飼弾の論弾 #213「いよいよ総選挙、日本は変われるか?大河SF小説の映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』」
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小飼弾の論弾 #213「いよいよ総選挙、日本は変われるか?大河SF小説の映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』」

2021-10-26 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2021年10月19日(火)配信のテキストをお届けします。

     次回は、2021年11月02日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    新刊『小飼弾の超訳「お金」理論』

    「ブラック労働者」をやめましょう。「お金を増やさねばならない」思い込みを捨てましょう。働いたら負け。もう労働には価値はない。理想は、誰でも自由に生きて食べていける世の中。なのに、いつまでも「お金」に振り回されるのはなぜか―――。
    『小飼弾の超訳「お金」理論』では、世界を動かしているお金の仕組みと、お金との付き合い方をやさしく解き明かします。

    2021/10/19配信のハイライト

    • Apple新製品とドコモ障害、ソートアルゴリズムについて解説
    • 『イカゲーム』の「わかりやすさ」と映画『DUNE』の「わかりにくさ」
    • 映画『DUNE』の世界について解説
    • 総選挙と「何らかの返事が返ってくる公算が強い」党
    • 「マラリア予防ワクチン認可」と「体内で光合成」「癌の光免疫療法」について
    • 人類の進歩と衰退する国と「中途半端な結婚はしてほしくない」政府与党

    Apple新製品とドコモ障害、ソートアルゴリズムについて解説

    山路:じゃあ最初、Appleのイベントの話から行きますかね。

    小飼:普段であれば、今晩やってるところというのを、パンデミックで客を、客を取らなくなるというとなんかぜんぜん別の話みたいに見えるけれども、要は一般視聴者を入れないような形になってからは、現地時間だともう月曜日にやるようになりましたね。

    山路:時々こういうことあって、嬉しいですよね、そこで取り上げられるから。今回はもうメインはMacBook Proで、あとはAirPodsの第3世代とかも出ましたけど、MacBook Proの新しいCPU搭載したやつ、あれってどうなんですか、私そんなハイパフォーマンスなMacBook Proが要らない人間なんで、いまいちよくわかんない、すごさが。

    小飼:今一番、僕が欲しいのは、一番最初のiMac Retina 5Kを持ってるんですけど、僕、次のOSサポート外についになったわけですね。それの交代が欲しいんですけれども、ちょっとそれは出なかったと言うね。

    山路:性能的にどうなんすか、あれ、すごいんですか?

    小飼:性能的には、これの倍の性能なんだけど、これでもRetina 5Kより余裕で速いんだよね、こっちのほうが。よりもさらに速いというね。

    山路:あれって、それこそ4K動画とか8K動画をガリガリ編集する人とか、CGやる人とか、その辺ぐらいの人でないと、

    小飼:でもね、持ち歩きだったら、これにかなわない(MacBook Air M1を掲げながら)、何がかなわないかつったら、やっぱファンついてるじゃん。持ち歩こうとすれば持ち歩けるのがMacBook Proで、持ち歩くためのMacというのはMacBook Airという。で、だから寿司バーがなくなったというのも、やっとなくなったのねって感じですね。

    山路:寿司バーってTouch Barのことね(笑)。

    小飼:初めからもう寿司バーついてないので。

    山路:あれ、寿司を表示するためのものではなかったはずなのにな。

    小飼:もう寿司バーになっちゃったよ。

    山路:ほんとにつくづく、プログラマーにAPIを公開してそれを使わせようって難しいもんですね。

    小飼:難しいものですし、結局MacBook Proにだけしかついてないって言うのでは、やっぱ普及しようがない。

    山路:なんであれiMac用の外付けキーボードに載せなかったんだって思いますけどね。

    小飼:そう、普及させたかったら、そういうのにも載せなきゃダメなんですよ。こういうのにも載せなきゃダメなんですよ。で、今一番売れてるMacというのはもう圧倒的にMacBook Airなので、MacBook Airに載ってないものというのは普及品にならない。載ってるものは普及品になる。実際にTouch IDも載ったでしょ。ノッチがついてるのにさ、Face IDがないとは何事だよ!

    山路:あれ、Face IDはないんだ。新しいMacBook Proは。

    小飼:Face IDはない。ただのカメラなんです。

    山路:そうなんだ(笑)。

    小飼:ベゼルが減ったので、もうノッチをつけましたって言う。Face IDないんだよー。

    山路:しかし、ノッチ、なんなん? て思いますけど(笑)、あれ、意味わかんなくないですか。謎のこだわりだよなぁ。

    小飼:やっぱノッチつけるんだったら、Face IDつけてほしいよな。ノッチがなくてもFace IDできるって言うのはさ、iPad Airで証明されちゃったわけじゃん。証明されたというのもキツい言い方かもしれないけど。

    山路:とりあえず弾さんはMacBook、今回のMacBook Proは見送りというか、スルーなわけですね。

    小飼:えーとね、でもあれだ、いちおう今日、散歩の時に、Apple銀座にちょろっと寄っちゃったんだよね。幸いにして現物はなかった。

    山路:幸いにして(笑)。

    小飼:幸いにして。

    山路:来週ですもんね。

    小飼:現物あると持ち帰れるしさ、買っちゃうじゃん。

    山路:まあそれは、一部の人だけだと思うけども。

    小飼:ただね、買っちゃうじゃんっていう値段は超えちゃうんだよね、僕がほしいやつというのは。M1 Maxで、64Giga byteのRAMが載ってて。SSDはやたらでかくしなくてもいい。もう1で足りるし、まあ便宜上2にしとこうかなという感じだから、8もいらない。

    山路:あれって、今回発表されたそのM1 ProとかM1 Max、あれをそのままiMacに乗せてくると思います?

    小飼:載せてくるんじゃないかな、性能的には十分だし。メモリをもっと欲しいっていう意見もあるんだけども、もう経験則上、M1のRAMってIntel用の半分で、同じようなパフォーマンス出るじゃんっていう。僕も最初に、ProかMaxとかついてないM1が出た時、「え、メモリ半分、メモリ半分しか載らねえの、こいつら」って思ったけども、

    山路:全然不都合ないですもんね。

    小飼:うん。足りてしまったという。

    山路:メモリとかの考え方も、今までとはちょっと違うふうな理解をしないといけないかもしれない。

    小飼:なんだけども、メモリをどっさり載せるしかないっていう用途は、確かにあるんだよね。

    山路:データベースみたいな感じの。

    小飼:データベースというよりも、一番よくあるケースというのは仮想マシンをいっぱい動かしたり。

    山路:ああ。じゃあその辺のところがMac Proとかで、もしかしたら、新しい、デカいやつを載せてくるかも?

    小飼:DIMMが差せるやつ。後からメモリーの拡張ができるやつというのか、Mac Pro出すのかね。MシリーズのCPUで。ある意味、思想的に相反するんですよね、M1の特徴っていうのは、徴候の「徴」ね、長い短いの「長」じゃなくて、というのは、もうまさにシステムオンチップであるということなので。

    山路:Mac Proは拡張できることが強みだったりするから。

    小飼:そうそうそう。だから、後から、交換できるのはもうほんとSSDぐらい、基本的に自分でやるなーなんだけどね。最近のApple製品ってさ、自分で部品交換してもさ、俺そんな部品知らねえからみたいなこと言うらしいよね。

    山路:開けることすら難しいし(笑)。

    小飼:だけどもね、さすがにこれは、まだネジがついてるからね。だから、けっこうM1以前は、サードパーティーのSSDに交換してっていう人も少なくなかったはずだけれども。M1はできるのかな、できるはずなんだけどね。少なくとも、iFixitの分解画面とか見てみると。

    山路:これ、今回の発表で結局、来月もう1回イベントあるかどうかって言わなかったですよね。なんか、あるともないともつかないような表現だったから、もう1回なんかサプライズあるのかも。

    小飼:でもさすがに、お腹いっぱいモードなんじゃないかなあ。まあでも次が大きい方のiMacのたぶん、M1 ProかMaxのままだと思うんだけども、CPU変わんないと思うんだけども。

    山路:それはちょっと私も楽しみですね。

    小飼:来年の春までには出るんじゃないかな、iMacは。まあでもいずれにしても、Mac Proが最後で、そもそもリプレースされるかどうかもわからないっていうのは確かだと思う。

    山路:了解です。これちょっとその、これは新製品の話じゃないですけど、Appleがらみで言うと、Appleがマルウェアに関するホワイトペーパー、みたいなものを出したという。

    小飼:かなり突っ込んだホワイトペーパーを。

    山路:で、それって弾さん的にどう見ました? と。これ、Appleが言ってることって、それなりに正当性がある?

    小飼:あのね、正当性があるんだけれども、やっぱり我田引水的なところというのはあるね。毎回言ってるけども、プライバシーっていうのをただ推し進めるだけで、Appleにむちゃくちゃ有利に、

    山路:このマルウェアの話をすると、サイドローディングっていう表現をしてましたっけ。

    小飼:要するに自分のところ以外のストアを認めると、そこが、

    山路:マルウェアの巣窟になると。

    小飼:マルウェアの迂回路になってしまうと。

    山路:確かにそれは一理あるんだけれども、これってサイドローディングというか、複数のApp Storeを実現しつつ、マルウェアを防ぐっていう方法っていうのはないんですかね?

    小飼:それは、そもそもマルウェアの定義というのが、ストア毎に変わってきちゃうんだよね。だからGoogleがこれはオッケーって言ってても、Apple的にはこれダメっていうのはいっぱいあるわけですよ。たとえばブラウザの機能を一つとっても、Chromeにはついてるけども、Appleがダメ出ししてるAPIっていっぱいあるんですよ。

    山路:そういえば、ウェブブラウザはそうやってAppleが用意した、

    小飼:そうそう、WebUSBとか「バカか?」みたいな返し方してるけども。基本的にGoogleの中の人ということは、技術的にできることはみんなぶっこんじゃいましょうっていう。

    山路:そこが脆弱性になってんじゃねえかっていう(笑)。

    小飼:まさにそうなの、まさにそうなの。

    山路:じゃあ、そこんところはいちおう、Apple、

    小飼:そうやって物事が先に進んできたことって言うのはあるわけやん。そもそもさ、盗撮用具としてのスマートフォンっていうのも、スマートフォンが出たから成り立つわけだよね。でも、スマートフォンが出る以前から、携帯電話機にカメラが付いてると盗撮しやすいよって言うのは、そうそう、iPhoneが出る前から問題にはなってたよね。

    山路:それがまあ単純に普及しちゃったっていうだけで。

    小飼:それをシャッター音で解決するっていうのは、本当に誰得な話ではあるよね。

    山路:解決になってんのかな。

    小飼:なってない、はっきり言ってなってない。

    山路:じゃあここの、なんか、ただこれ、今後そのマルウェアの話をすると、サイドローディングの話なんかってのは、今一番アメリカなんかでも、司法省でしたっけ、揉めてるとこですよね。要はそういう、政府としてはもっとApp Store解放しろよみたいなことに、それ、そのプライバシーとかセキュリティを守りつつできないのかと言われたら、できないんでしょうか?

    小飼:難しくはなってしまうね。少なくとも責任は負えなくなるよね。

    山路:結局そこんとこでがっちり保証する仕組みだったら、それってAppleのApp Storeと変わんなくなっちゃうわけですもんね。

    小飼:そういうことです。

    山路:どこまで責任を負わせるのかという話になってくる、

    小飼:じゃあAppleは問題が起きた時にちゃんと責任取ってるかって言ったらねえ。

    山路:banするだけじゃねえかみたいな(笑)。

    小飼:ねえ。

    山路:そんな窓口とかもちゃんとあるわけじゃないですしね。本当に。じゃあちょっとその、IT絡みでもう一つ。最近大きく話題になったNTTドコモの通信障害起こりましたけど、何か影響を受けました? 弾さん。

    小飼:気づきもしなかったね。っていうのも、ドコモプロパーの回線ばっかしで。僕も、両方持ってるんだけど、片方のほうというのはあれなんだよね、滅多に使わないと言うのか。

    山路:私IIJでいちおうそのドコモの回線使ってるはずなんですけど、私は影響を受けなかったんですけどね。人によっていろいろ違いあるみたいなんですけど。結局、これもなんか細かいところがよくわかんないですよね。なぜそういうことが起こったのかみたいな。これって、何か大規模で、総務省も激おこなわりには、なんかその後の進展がよくわからないニュースになってますけど。

    「ガラケー二台の我が家はピンチでした」(コメント)

    小飼:あー、そうか、そうか、そっちのほうはけっこう深刻な影響が出るんだ。けっこう深刻な人はほんと深刻だったみたいね。

    山路:ドコモのシェアバイクとかも借りられなくなったとか(笑)。

    小飼:まぁでもそれはよく起こるじゃん。

    山路:それでUber Eats の人とかも大変な目に、というような話も。「原因はなんだったの?」(コメント)って、輻輳って言われてるんですけど、じゃあ、

    小飼:基地を切り替えた時に、輻輳が発生したので、元に戻そうとしたんだけど、その元に戻すのに時間がかかって、みたいな。で、再び、本来の切り替えをやったみたいな話らしいけれども。
     ここでひとつ特徴的だったのは、その輻輳とかの原因になった理由の一つというのが、IoTの機器による通信で、人間が直接操作してない、たとえばWebカメラですとか、

    山路:もしかしたら自販機とか。

    小飼:自販機とか。

    山路:工場のなんかかもしれないし。これってこういう事故って、きちんと対策とか原因とかある程度わかってないと、これからもけっこう起こるかもしれない。

    小飼:というのか、そういうのに対する対策は、あらかじめ取ってないのにIoTとか売るって言ったら、そのほうが問題になるじゃん。ダメじゃん、それは。

    山路:まあでもそれは本当に、何かこう、失敗しながらやっていくしかないとこなのかなと、

    小飼:でもIoTの特徴的なものって言うのは、これが普通の携帯電話による輻輳とかだったら、人間のほうにしばらくお待ちくださいっていうふうに言えばさ、人間が輻輳を止めてくれるけど、IoTの機械っていうのはさ、ものに言ったらさ、もう最悪はめ殺しじゃん。いったん設置しちゃったら、操作すらできないものっていうのはけっこうあるわけやん。パケット垂れ流してるだけで。

    山路:昔って年末年始に電話かけるなみたいなお願いのやつありましたけど、IoTにはそれが通じないわけですもんね。

    小飼:そうそうそう。

    山路:「タスポとかCoke ONとか?」みたいなコメントが出てますが、そういうことなのかもしれないですよね、もしかしたらですけど。

    小飼:そういうのは通信遮断モードみたいなものというのを、回線提供側が持ってないとダメなんだけど、あるのだろうか。

    山路:これ、なんかじゃあそのIoTのサービスとか始める時なんかも、IoT機器側が守んなきゃいけない、これを整備してなきゃいけない仕組みみたいなものって要求されるようになる、

    小飼:あのね、意外と穴なんだよね。たとえば、前に問題になった、ルーターが自分の時刻合わせをするのに公の、福岡大学のNTPサーバにあまりに繋ぎに行くので、福岡大学のほうで遮断したところ、ルーターが、

    山路:時計が狂っちゃったって、

    小飼:そうそうそう。

    山路:じゃ、もう決め打ちになってたわけだ、その福岡大学の(笑)。へええ。

    小飼:だからこれはもう実装としてダメダメなわけじゃん。でもさ、事件が起こってから初めてそうなったっていうのが明らかになったっていうのはある。

    山路:絶対気づかないですもんね、出荷前とかには。

    小飼:だから両側に問題があるんだけども、基本的に自動機械、一度ネット、物理的に接続されたら、人間が触らないようなものというのがあると。そういったものというのは回線側のほうで遮断できるような仕組みというのがないとダメだと。

    山路:なるほどな。

    小飼:というのは、もうこれはわかったと思います。

    スタッフ:ドコモの障害の件でちょっと質問なんですけど。これって、でも将来的にはどこのキャリアでも起こりうる、

    小飼:起こりうる、起こりうる。

    スタッフ:我々一個人として、何か出来る事ってあるのでしょう?

    小飼:ない、ゼロ。

    スタッフ:諦める?

    小飼:だって、通信するのは機械だもん。だから、これはもうはっきり言って、キャリアの仕事なの。そういうのをどうするのかというのは。今まで何で問題にならなかったかって言ったら、そもそもお金取るわけじゃん。ネットに繋がせるって言う事は。だから、そんな、パケット垂れ流しみたいなものというのを改善に繋げるということは、料金面でありえなかったわけですよ。だけども、今は、少量だけども確実に通信するという機器がいっぱい繋がるようになってきたわけです。そういう機器を繋げるにはあたってどういう問題があるのかとかっていうのは、キャリアのほうでもあんましっかり考えてこなかった。

    山路:あえてできることがあるとしたら、もう一回線、別の会社の回線を持つぐらいすかね。あるいは、eSIM搭載のスマホだったら、すぐにこう、eSIMで別の会社の回線を使えるようにしておくとかね。それぐらい?

    小飼:それは端末側の対策だけども、

    山路:通信障害を起こった場合の話ですね、私が言ったのは。

    小飼:基本的に通信障害を起こしたのよ、数多くのIoTの危機なのだから、基本的にいざという時には遮断できちゃう、回線会社のほうで遮断できちゃうのが正しい。バルクで。個々にならできるわけよ。IMEI毎に指定して、こいつはオフ、こいつはオフはできるんだけども、バッチでまとめてっていうのは今のところないはず。

    山路:それっていうのは技術的には可能なんですか?

    小飼:不可能ではないはず。

    山路:でも、なんかドコモには悪いけど、いい教訓になった可能性がありますよね。

    スタッフ:とりあえず電子決済とかになって、私も今日はスマホのみで来てたりするんですけど、まぁお守りに、要はカバーの裏にでも千円札入れてたりとか、現金はちょっと持ってたりとか良かったりとかするし、後みずほのATMの件とかもあるし、あるから、まぁ全部銀行の口座に預けるのではなく、現金を持っておくとか、

    小飼:今回問題になったのは、それで巻き添えを食ったIoTではない、普通の人たちの端末なので、普通の人たちの対策っていうのは、もう今まで通り、複数の通信手段を持て、なんだけど、今回問題の発端になったのはIoTの機器なので。

    山路:その発生自体は止められんすわな。

    小飼:そうそうそう。

    山路:もう一つ、IT絡みで、TSMC。これけっこう、でかくないですかという。このTSMCが日本に工場を建設するかもよ、みたいな話が。

    小飼:まぁするんでしょうね。

    山路:日本にそんなTSMCが工場を建設するメリットないんじゃないのって思ったけども、何か、

    小飼:えーとね、需要者側にある。今回は、一つの特徴として、需要者、要はだからそこから出荷されたチップ誰か使うかつったら、まずソニーだと。で、工場を作る費用というのは日本政府がある程度出してくれるよと。

    山路:TSMCとっては相当おいしい条件でやっぱり、

    小飼:相当おいしいというよりも、意外とありそうでなかったというのは、半導体市場の構造にもあるんですよね。どういうことかって言うと、世の中で使われてるチップというのは100パーセント、最新のプロセスで作った工場ばかりではないと。ルーターだとか、たとえばここにテレビでやりますけど、テレビで使ってる石とかっていうのは、数世代ぐらい型落ちでもぜんぜん問題ない。今回、TSMCが熊本でしたっけ、に作ろうとしてるのは、28ナノメーターって言ってますから、

    山路:最新ではない。

    小飼:最新ではないけど、外れるぐらいです。だから、ここに、まだUSB3のつく前のMacBook Proがいますけど、これくらいですね。

    山路:え、割と新しい。そんなに、

    小飼:そうそう、決して低性能ではないです。だからiPhoneで言うと、7、どれくらいになるのかな。

    山路:なんか倍々っていうか、1.5倍ぐらいで毎年、毎年か2年おきぐらいに来てた感じがあるから。

    小飼:なんだけど、どういうことかっていうと、じゃあ、それ用の最新のプロセスでない工場をわざわざ作るかつったら、作らないんですよ。なぜかって言うと、儲けを出してる、儲けをガンガン出してるというのはもう最新のプロセスなわけです。だから積極的に投資したいのはやっぱり最新の工場ばっかしなんですよ。なんだけど、最新の工場、ファームというのもずっと使い続けられるわけじゃないでしょ。

    山路:また設備更新と言うか、新しいプロセスのために。

    小飼:だからって言って、一つ前のファブをぶっ壊すっていうふうに、ぶっ壊して作り直すって言ったら、またそれももったいない話。だから、すごい、何て言えばいいのかな、家庭的な例えをすると、昨日の夕飯の残りなんですよ。残りで翌日の弁当を作ったりするわけですよ。だから、わざわざそのため、朝食のために前日の夕飯を作り直したりしないのよ。でも、まさに前日の夕飯の作り直しなんですよ。今足りてないのは前日の残りなのに、それがもう払拭しちゃってるので。

    山路:なんか本当にすごい払拭度合いみたいですよね。

    小飼:だから、わざわざ工場を作る、しかも日本政府が金出してという。

    山路:なんかこれって、政治家の皆さんなんかは日本をまた半導体立国みたいなことを大きくぶちあげようとしたけど、なんかそういうふうにはならんような気がしますよね。

    小飼:違う違う違う。

    山路:じゃあ、そこのところで、ちょっと、もう一つそのIT絡みということで、これ、弾さんに解説してもらおうかなと思ったのが。最近Twitterで、ソートアルゴリズムが話題になっておりまして。

    小飼:あーーー。あれだ、100日で辞める、47歳の人のところで出たので話題になった、ソートアルゴリズム自体が、ソートアルゴリズムというのが話題になったのはそれなんですけれども、それと前後して最も簡単なソートアルゴリズム? って言う、はてながついた話題がアーカイブに出てまして。

    山路:そもそもまあ、そんな、ソートアルゴリズム、みんながそれに通じてるわけでもないと思うんですけど、今回この話題になったソートアルゴリズムっていうのは何がすごかったのか、あるいはすごくないのか。

    小飼:全然すごくはなかったんですけども、それでまぁ実際ソースを見たんですけど、まぁさすがにシンプルというだけあって、すぐにわかりました。あれはですね、選択ソート、セレクションソートと呼ばれるものの一種です。じゃあ選択ソートってどういうものかっていうのをちょっと実演してみましょう。

    山路:え、実演なんてできるんですか。

    小飼:実演できますよ。ここに本が、まあちょっと、ちょっとソートするにはサンプルが少ないんですけれども。せっかくなので。ここに、ああ、ちょうど写りますね。ここに、

    山路:すげえいろいろ残ってるな(笑)。食いかけのサンドイッチとか片付けておきます。

    小飼:ここに本がありますと。これを大きさ順に並べてみましょうと、一番小さいのをこっち、一番大きいのをこっちっていう並べ替えをしてみましょうと。で、選択ソートというのは、まずこの中で一番小さいのはどれかというの探します。で、これですね、これ文庫本なので一番小さい。一番小さいので、一番小さいところに置きます。そうすると、これが余っちゃうんですけれども、じゃあ余ったのはここに置きます。空いたところに。次にこの中で一番小さいのどれか、これとこれと同じ大きさなんですけれども、まあこれとしましょう。で、これがこれの次なので、今度ここに置きます。場所もこうやって置きます。最後に一番小さいのは、このうちでどれかって言ったら、こっちのほうが小さいですよね。入れ替えます。はい、これで。

    山路:めちゃめちゃ簡単なやり方。

    小飼:はい、で、一番小さいのはどれかっていうのを決める時に、普通の選択ソートというのは、じゃあもう1度シャッフルしまして。じゃあ一番小さいのはここにありますね。これでもない、これでもない、これでもない、これでもない、これが今のところ一番小さい、あ、こうしたほうがいいな、これとこれを比べたとき、こっちのほうが小さいので、これが今のところ一番小さい、これとこれと比べた時にこっちのほうが小さいので一番小さい、これとこれを比べた時にこっちのほうが小さいので、これはそのままと。いうのをいったんどれが最小かっていうを、或いは最大かっていうのを、全部スキャンするんですよ。スキャンする代わりに、今回のアルゴリズムというのは、こうなって、こっちとこっち、どっちが大きい、こっちのほうが大きいから、入れ替えます。って、ここまでやりました。こっちとこっち比べた場合、どっちが小さいって言ったら、こっちのほうが小さいので、また入れ替えます。で、これとこれやって、また入れ替えます。ここまで終わってるんですけれども、今度こっちとこっち比べた時に、要は一番小さいのっていうのはどれだというふうに覚える代わりに、空いたスロットに入れちゃうと。そう、だから普通の選択ソートよりも、入れ替える回数は増えます。その代わりに、今調べてるうちに、今まで調べた中でどれが一番小さいですかというのを覚えておく必要がない。

    山路:メモリが少なくてすむ。

    小飼:メモリスロットが、そうそうそう、レジスタが一個少なくてすむ。その代わりに交換の回数が大きくなる。

    山路:これってどれぐらい有利なんですか?

    小飼:どの、ソートにもまあいろいろあって、何でいろいろあるかっていうのは理由があって、それはどんな場合でも最強のソートアルゴリズムというのは、あんまないんですよ。状況によって変わってくるんですね、どんなソートアルゴリズムがいいかというのは。
     なんですけれども、基本的に並べ替えるべき要素が多ければ大きいほど時間がかかるというのは直感的にわかりますね。じゃあ要素が増えると、どういうふうに増えるのかっていうのの指標がありまして、これをオーダーっていう言い方するんですけれども、選択ソートというのは、Nの二乗、O(N^2)と言われるオーダーで。要は、並べ替えるべき要素が倍になると、手間は4倍になるって、3倍なら9倍になるということですね。これは決して一番いいものではないです。よく言われてる、クイックソートとかマージソートって言われるものっていうのがあって、比較的よく使われる、ライブラリで何も考えずにソートせよっていうふうに言われてるやつの実装で使われてる物っていうのは、O(NlogN)。倍になっても、倍ちょっとぐらいで済むんですよね。10倍になっても、えーと、13倍ぐらいで済むんですね。

    山路:しかし、その、

    小飼:100倍ではなく、はい。

    山路:そういうふうにいろいろ、つまり効率的なアルゴリズムが既にあるのに、これをあえて、

    小飼:なんといっても、コードが短いので、あまりにコードが短いので、今まで使った中では一番短いソートアルゴリズムなんじゃないって言う。だから、カジュアルな、査読されてない論文がアーカイブに上がったんですけど、今言ったように、だから中卒の僕にもこれは選択ソートの一種だというのがわかる程度の、

    山路:なるほどね(笑)。これはなんて言うのかな、実際に使ってどうっていうよりは、単純にネタ的に面白いと言うか、

    小飼:ネタ的に面白いというのか、特徴的なのは、Pythonとかで書くと3行なんですよね。20ループの中に、if文と、スワップしろっていうのが一個あるだけで。

    山路:じゃ、簡単にそれこそ、Scratchみたいなもんだったりとか、あるいはなんか任天堂ゲーム、『はじめてゲームプログラミング』みたいな、

    小飼:に向いてます。

    山路:そういうちょっと、ソートなんかを試してみるとかそういう学習なんかに、便利かもしれない。

    小飼:ソートというのは、今言ったように、さっきのアルゴリズムみたいに、素人にも簡単なやつというのはわかる。実生活でもけっこうやりますよね、並べ替えというのは。

    山路:私、今日ちょっとやりましたけどね、100ぐらいのソートを手作業で(笑)。

    小飼:はい。にもかかわらず、時と場合によって、ベストのやつというのがけっこう異なる。というので、割とアルゴリズムの説明をするにはハンディなんですね。敷居が低いのに、奥が深いという。

    山路:これ、エンジニアの採用の時にソートアルゴリズムの計算量を聞かれるっていうのは本当なんですか?

    小飼:あのね、あまりにありふれてるが故に、ちょっと疑っちゃいますね。大学入試で九九やってみろって言われたような違和感を感じます。とてもよく出てくるので。
     でも今言ったように、じゃあ九九のように簡単かっていったら、もう微積分並みに難しいようなケースというのも、時にはあるわけです。

    山路:そこんところって、プログラマーったっていろいろじゃないですか。

    小飼:いろいろです。

    山路:そんなにみんな、ソートアルゴリズムを完全に理解しとるものなんですか?

    小飼:理解する必要はないんですけども、アルゴリズムとは一体何かって言ったら、その手順通りにやれば、誰がやってもその通りになるというのがアルゴリズムなんですよ。その通りになるというのが、本当に特徴で、たとえば迷路を脱出したい時に、聞いたことはあるでしょうか、たとえば壁の左側なら左側、右側なら右側って決めちゃいます。じゃあ左ってことにしましょう。それをひたすらずっとなぞっていくと、出口がある迷路であれば必ず出れるという。

    山路:あれって迷路の構造によっても、出れないことありますよね。

    小飼:もちろんそれで出れないような意地悪な迷路と言うのは設計で行きますけれども。

    山路:じゃ、ちょっと今、アルゴリズムって言葉が出たところで、次のニュース行きたいんですけど。中国が、テック企業のアルゴリズムを規制、

    小飼:なんじゃこれ。なんじゃこれ。

    山路:(笑)ちょっと、なんじゃこれってニュースを、

    小飼:たしかにアルゴリズムって言葉は、ちょっと独り歩きしてるところがありますよね。たとえば、証券取引の世界でHFTっていう言葉があるじゃないですか。High Frequency Trading、要はものすごい、1秒間に何度も売り買いを繰り返す、だから1秒間に何度も売り買いを繰り返すぐらいなので、人間じゃできないわけです。コンピューターにやらせてて、そのプログラムのことをアルゴリズムって呼ぶことが多くて、はい。

    山路:そういうふうに使うこともあるんですね。

    小飼:ありますけれども、ここで言うテック企業のアルゴリズムというのは、たとえばリコメンデーションエンジンとかも当然アルゴリズムがあって、それに沿って動いているので。あまりに広い概念なんですよ。やり方に、そうなんです、やり方、手順なので。

    山路:はっきり言って、意味がない言葉ですよねっていう。

    小飼:そうそう、中国テック企業の手順規制って、なんぞこれ? でしょ。

    山路:これって、要は中国共産党が規制したいものを何でも規制できるフリーハンド与えてるようなもんじゃないですかっていう。

    小飼:いやあ、だから中国企業のアルゴリズムって何だって言ったら、中南海が何を言うかで、中南海のアルゴリズムっていうのは何かというのかって言うと、意外とアルゴリズミカルに、動いてるんですよね。

    山路:強引につなげてきたな(笑)、アルゴリズムに。

    小飼:だから、そうやって考えていくと、そのうちに、この番組でもそうですね、数回に1回は出てる概念ですけれども、機械制度、メカノクラシーていうのもそう、アルゴリズムで実行される政府、

    山路:テクノクラシーではなく、メカノクラシーってことね。

    小飼:アルゴリズムの特徴というのは「誰がやっても」というのを「何がやっても」まで拡張したところですね。もはや人間でなくてもいい。

    山路:しかしこの中南海がやろうとしているのは、そこんところで人間が入り込もうとしてるようにしか見えない(笑)。

    小飼:そうそうそう、だからアルゴリズムのアルゴリズムたるゆえんっていうのは、誰がやっても同じデータセットがあったら、同じ結果になるって事なんですよ。誰がやってもです。ただし、一回の手順にかかる時間とかっていうのは変わってきますよ。それは人間が一歩一歩やるのと、最新のプロセッサが、たとえば5Gigaヘルツだとすると、1秒間に50億回やるのとでは、速度は変わってきますけども、基本的に何ステップ必要かっていうのは人間がやろうが機械がやろうが、変わらない。

    山路:それこそ半導体がやろうが、なんか風車がやろうが水車がやろうがみたいな話だったりもするわけですもんね。

    小飼:そうなんです。習近平がやろうが、サモ・ハン・キンポーがやろうが変わらないっていうのが、それがアルゴリズムのアルゴリズムたるゆえんなんだよね。

    山路:しかしこのアルゴリズム規制っていうことが出てくるのは、

    小飼:そうです、あなたがやっても、あなたがやってもです。

    山路:ちょっとおかしくなってませんか、共産党(笑)。今さら言うのもなんですけれども。ちょっとその、これで続けて言うならば、中国民間企業の報道事業禁止案なんつーのも出してるそうですよ。

    小飼:まあでも、そういうのでさ、聞くとさ、中国変だって言う前にさ、いや、今現与党というのは本当に中国になりたがってるんだなっていう。

    山路:記者クラブなんかもうびっちりと一体化して。

    小飼:そうそうそう。

    『イカゲーム』の「わかりやすさ」と映画『DUNE』の「わかりにくさ」

    山路:それは確かにありますよね。これ、じゃあ総選挙のやつはちょっと長くなりそうだから、限定のほうでやりますかね。なんか、あんま私も政治、すごい苦手なんですけども、さすがに次の『論弾』やる前には、もう結果が出てくるわけだから、ちょっと今日やっとかんといかんかなみたいなところがあり。その代わりに軽い話題として行ってきますか、『イカゲーム』。

    小飼:軽いのか?

    山路:え、軽くないっすか(笑)? いやまぁ、たしかに、

    小飼:まぁ軽いなぁ、

    山路:デスゲームの話ではありますが。

    小飼:じゃあさっそく、この番組でもやりますか。まず第1回目は、だーるーまーさーんがころんだ! はい、今動いた人たち(笑)、

    山路:それをどうやって、自己申告制のだるまさんが転んだは新しいな。弾さん見たんですか、『イカゲーム』。

    小飼:早送りで見ましたね。

    山路:早送りってできましたっけ、Netflix。再生速度を上げられるんでしたっけ。

    小飼:上げられるし、けっこうサムネイルが出てくるんで、だからこのカットを飛ばせるなみたいなのはけっこうと飛ばして見たんですけれども。

    山路:なんというか、面白い、よくできてる。すごくよく出来たドラマですよね。

    小飼:(コメントを見ながら)いや、そうだよね、やっぱ『スプラトゥーン』思い出すね。うちも長女がイカ娘、『スプラトゥーン』をよくプレイするという意味で元イカ娘。

    山路:イカ娘ね(笑)。「早送りでOKなのか」ってコメント出てますけど、いや、本当ね、すごいシンプルな話なんですよね。

    小飼:だから、まず何でデスゲームをやるはめになったのかというところが『カイジ』と同じというのが、『カイジ』も原案の一つには入ってたみたいなので。ただ『カイジ』の中のゲームって、意外とルールがややこしいじゃないですか。

    山路:限定ジャンケンも、あれって非常に難しいじゃないですか、じつは。

    小飼:で、鷲巣麻雀ってさ、鷲巣である前にさ、麻雀というのがなかなか複雑なルールのゲームだよね。ところが『イカゲーム』の場合は、もうゲームというのは、みんな子供の頃にやったので固めちゃってるんですよね。まず番組のタイトルにもなったイカゲームというのは、日本にも相当するゲームがあるんだろうかね。

    山路:何でしょうね、けんけん鬼とか、なんかそんなあったかもな。

    小飼:僕、友達がいなかったので、学校には。

    「俺は今」(コメント)

    山路:そんな寂しい話に(笑)。

    小飼:だから、その部分がちょっと他人ごとになっちゃうんですけど、そんな僕でも知ってるようなのばっかしですからね、だるまさんがころんだとかね。

    山路:これ、なんでヒットしたかっていうのはまあ、どう思いました、見て。やっぱりわかりやすさなんですかね。

    小飼:わかりやすさは大きいですね。

    山路:ただわかりやすいっていうだけだったら、他にもいろいろわかりやすい話はいくらでもあるとは思うんだけど、全体としての、

    小飼:あともう一つの、けっこう大事な要件だと思ったのは、Netflixというサブスクリプションサービスで配信されたこと。これ、普通の地上波で流せる内容ではないよね。

    山路:あー、特に日本だと。

    小飼:いや、アメリカとかだともっとだよ。

    山路:アメリカもっと厳しい。

    小飼:でもNetflixみたいなものというのは、逆に正々堂々と流せるわけじゃない。

    山路:「残酷」ってコメントありますけど、そうです、けっこう残酷ですね。

    小飼:けっこうバンバン殺しますね。

    山路:グロありですね。

    小飼:あれです、ネタバレすぎかな、456人いてっていうのは(笑)。

    山路:ただ、本当『イカゲーム』の価値、

    小飼:で、配信サービスのいい所というのは、テレビ、地上波とかよりもはるかに少ない人数で元が取れるところですけど、だからニコ生も成り立っているんですけれども。ところがこの『イカゲーム』はもう、もう日本の総人口に当たるくらいの人が見たと。

    山路:いや、すごいっすよね。見たのは、最初の2分ぐらい見た人の2/3だったか、過半数は最後まで見てるっていう。

    小飼:『無限列車』どころじゃない訳ですね、

    山路:インドでも大人気らしいですね。

    スタッフ:ちょっとその、さっきの弾さんの規制の話でのあれなんですけど、今は要は地上波では、日本の地上波では流さないような内容ができる配信プラットフォームということでやったわけじゃないですか。

    小飼:そうそう。

    スタッフ:これネットだから、お目こぼしなんですか、それとも選択的に見てるから、不特定多数に配信してるわけじゃないからこそ、出来るって、

    小飼:いや、後者です。不特定多数ではないんですよ。

    山路:レーティングはきちんと出していますしね。

    スタッフ:要は提示してるところを乗り越えてくる人は、それはもう知らないっていう感じで、もうOKってことですよね。

    山路:ペアレンタルコントロールの機能も用意してるわけだから、それはそちらで設定して下さいねって言うことですからね。

    「スポンサーは気にしなくてもいい」(コメント)

    山路:いやほんと、それはでかいですよね。

    小飼:それはものすごいでかい。ものすごいでかい。
     何で日本ではできなかったって言うんですけれども、逆にアメリカ以外の国にも、そういうcontentを出す、だから余地というのが出てきたっていうところに注目するべきじゃないでしょうか。今回はたまたま韓国で、韓国が当たりを引く確率のほうが高いでしょうね、それだけ力を入れて作って、

    山路:コンテンツ産業自体にね。

    小飼:そうです。

    山路:映画とかもやっぱり、ほんと国を挙げていろいろ頑張ってる感じ、ありますもんね。

    小飼:でも何と言えばいいのかな、国を挙げて何かをやるっていうのは、コンテンツ産業の場合は必ずしもプラスではないわけです。

    山路:その、日本のクールジャパンがひどすぎるっていうのはあるとは思うんですけど(笑)。

    小飼:クールジャパンはひどいね。

    山路:韓国はけっこうコンテンツに、国が力を入れて、うまくいったほうじゃないですかという。

    小飼:うまくいったほうです。

    山路:コメントで「日本の作品もけっこう参考にしてるんでしょ」ってあって、その通り。

    小飼:ものすごい参考にしてます。韓国はいい意味で、少なくともコンテンツ産業に関しては謙虚なんです。

    山路:謙虚?

    小飼:要は他の国でうまくいった事例というのをきちっと学んでいるという。およそ韓国の映画監督にしろ俳優にしろ、アメリカのハリウッドの事情だけじゃなくて日本の事情とかっていうのも、とても良く知ってますよね。韓国の本屋とかに行くと、ちゃんと英語の本も日本語の本もあるんですよ。端的に言って、日本人が韓国人を知ってるよりも、韓国人のほうがよっぽど日本人のことを知ってるんです。

    山路:流行ってる文化とか。

    小飼:そう、だから勉強の量もぜんっぜん違うの。だからそれで勝とうとかってさ、そりゃ図々しくない?

    スタッフ:あとちょっと気になったことが一つあって、『愛の不時着』とか『梨泰院クラス』とか、

    小飼:あ、それもあったな、さすがに『愛の不時着』は僕ぜんぜん見てないけど。

    スタッフ:一応、とりあえずNetflixに上がってるんで、一通り見てはいるんですけど、あと、アカデミー賞だったかの『パラサイト』、韓国イコール貧困がテーマに絶対入って、世界でブレイクみたいな感じになってるんですけど、

    山路:『イカゲーム』にもその要素は入ってる、

    スタッフ:世界でトレンドなんですか?

    山路:貧乏というよりは格差かな。

    小飼:貧乏とか格差っていうのは、確かに世界のどこにもあるじゃないですか。で、そこから這い上がる物語というのは世界中にあるわけです。

    山路:『スラムドッグ・ミリオネア』みたいな。

    小飼:だから、身につまされるんですよね。で、『カイジ』と『イカゲーム』の違いって言うのはそこですね。『カイジ』も始まりは似てはいるんですけども、ゲームが進んでいくと、ゲームがややこしくなってきて、ゲームが主体になるんですけども、あくまでも『イカゲーム』というのはゲームというのはもう、話のきっかけにすぎなくって、だから、そこでどんな人生を送ってきた人たちがどう殺されてくのかというのを、楽しむという言い方は語弊があるかもしれないですけど、そこが見所なので。

    山路:『イカゲーム』は参加プレイヤーたちのクズ度が『カイジ』よりもずいぶん低いですよね。

    小飼:まぁ低いし、単純ですよねよ。当然、ゲームをさせてる人たちもいるんですけども、すごい、すごいわかりやすく、いかにも悪い金持ちっぽく、金持ちでしたね。

    山路:悪いやつ、しかも欧米人多かったし(笑)。

    小飼:そうそうそう。

    山路:いやいや、ただ、あのなんかウケる要素とかうける仕組みみたいなことをきっちり作り込んできたところには、ほんと、素直に、

    小飼:それぞれ、456人の参加者に456だけの、決して薄くない人生はあるわけですよ。だからある人は脱北者であり、ある人は出稼ぎ労働者であり、ある人は転落エリートでありっていう、けっこうこういう人生をちゃんと描いた後でぶっ殺すわけですね。

    山路:いやー、これたぶん、なんか続編作られそうな予感が。

    小飼:だから、あそこで、上手だなと思ったのは、あのシーズンで打ち切られても、ちゃんと成立してるっていう。それに比べると『DUNE』とかどうなんだよ! まぁいいや、ちょっと先走ってしまった。

    山路:私の感想としては、『イカゲーム』をよくあるデスゲームだと思って見るのは諦める前に、2話まで見てから、続き見るかどうか判断するのがいいドラマかなとは思ってます。

    小飼:だから、入金を見てから。だからけっこう、じつは参加者は自由意志でゲームを続けてるんですよね。ちゃんとストップボタンはあるんですよね。

    山路:そこもちょっとうまいなと思った。

    小飼:そこもうまい、けど、ゲームにのめり込んでいくわけですよ。そこも上手なところで。

    山路:で、その『イカゲーム』に続いては、『イカゲーム』とは比べ物にならんほどややこしい話のやつ、行きますか。こっちですよね。

    小飼:この対照性。

    山路:あっはっは。

    小飼:この対照性。これはもうネタバレでもなんでもなく、話の半分です、今回の映画というのは。

    山路:(コメントを見ながら)見てない、そっか、まだ見てない人けっこう多いかな。

    小飼:いや、今週末だよね、始まったの。

    山路:あ、15日か。15日からだから、まだぜんぜん始まったばかりか。

    小飼:なんですけれども、第一作目というのは誰か1965年だったっけな、やっぱり僕が生まれる前に、

    山路:ヒッピームーブメントの辺り、ちょっと前か、辺りでなんかこう出てきた話ですよね。

    小飼:で、『ファウンデーション』と違って、過去に何度か映像化されてます。あのデビット・リンチが第一作目を映画化したやつもありますし、これはちょっと後の話でも出てきます。テレビシリーズにもなってます。ホドロフスキー監督が途中まで作って(笑)、

     
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