「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2021年11月02日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2021年11月16日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
新刊『小飼弾の超訳「お金」理論』
「ブラック労働者」をやめましょう。「お金を増やさねばならない」思い込みを捨てましょう。働いたら負け。もう労働には価値はない。理想は、誰でも自由に生きて食べていける世の中。なのに、いつまでも「お金」に振り回されるのはなぜか―――。
『小飼弾の超訳「お金」理論』では、世界を動かしているお金の仕組みと、お金との付き合い方をやさしく解き明かします。
2021/11/02配信のハイライト
SFコンテンツと『ピクミンブルーム』、新MacBook Proについて
山路:今日の特集はいちおう総選挙とMeta、Facebook改めMeta、
小飼:(ジョジョっぽいジェスチャーをしつつ)メメターというコメントがありますねー。
山路:なんかしかし、基本の、そのジェスチャーで伝わんのかな(笑)。ジョジョっすよね。それなんですけれども、まあ最初ちょっと細(こま)いネタから行きますか。前回前々回とSF取り上げたじゃないです。
小飼:はいはいはい。
山路:『DUNE』わりと大きめに取り上げたんですけど、
小飼:そもそもね、前半で終わっちまってないかって言って、だからちゃんと後半も作ることになったと。
山路:パート2も。
小飼:再来年か、2023年って言って。
山路:だけどあれ、思いっきり映画のタイトルにPart1って出てましたけど、パート2は決定してたわけじゃないらしいですよね。なんかすごいなと思って。
小飼:それを言ったら、『スター・ウォーズ』なんていきなりエピソード4で、だから続編作るなんていう話はね、まったくなかった、
山路:そうか、ある意味、出資者に圧力をかける、決意を示すって意味でも、パート1ってつけてたのかな。
小飼:そんなこと言ったら『セクシーコマンドー』なんて外伝しかないよ。
山路:いや、『セクシーコマンドー』はメジャーじゃないですからね(笑)。
小飼:いや、でもメジャーじゃないですか、『ジャンプ』に、『週刊少年ジャンプ』に連載していたどメジャーな作品じゃないですか。
山路:それはたしかに、そう言われるとそうだよな。うすた先生も鎌倉のほうに豪邸を買ってそれを(笑)、
小飼:そこまで話が飛んでしまう(笑)、売れたのかな。
山路:まだ売れてないんじゃないかな。
「『DUNE』意外に面白かった」(コメント)
小飼:でも『DUNE』を、この番組を視聴されてる皆さんはたぶん粗筋は知ってると思うので楽しめると思うんだけど、いきなり、何も知らない人をあそこに連れてっても。
山路:でも知り合いで粗筋とか全く知らない人とかが「なんかすごい映画見たー」っていうことは、面白かったと言ってる人はちらほらいましたね。特に美術と言うか、建物だったりとか、それがその文明の歴史があって、その上になんかできてるって感じがすごいじゃないですか。
小飼:いや、でもシールドとか、そもそもあれがシールドである事ってわかるかな?
山路:意外に日本のアニメって、そういうフォースシールド的なものが小道具として出てきたから。
小飼:でもリンチ作品のシールド、すごい面白かったじゃん。人間がもう直方体というのか、カクカクの中に入って。初代バーチャファイター(笑)、それは戻り過ぎか。でもすごい面白い演出でしたね、あれはあれで。
山路:今回のも良かったですけどもね。あともう一つ、そのSF作品の『ファウンデーション』も、
小飼:『ファウンデーション』もちゃんとシーズン2やるっていうのが。
山路:あれも、人を選ぶ作品じゃないかって気もするんだけども。
小飼:気もするんだけれどもね。
山路:ずいぶんわかりやすくなってきたところもあり、けっこう後のほうの作品のやつを最初のほうに持ってきてますよね。
小飼:そうそうそう。三部作だけじゃなくて、本当に『Foundation and Earth』まで読まないと出てこないような伏線まで、ガンガンぶっ込んでるから、いいのかみたいな(笑)。
山路:ちゃんとシーズン、最後というか、せめて最低でもシーズン3まではやってくれないとちょっと困るかと思いますけども。でも楽しみではありますね。あと、これもコンテンツなんですけど、『ピクミンブルーム』、
小飼:ああ、まだ始めてない、昨日だっけ、始まった。
山路:ですね。これが、
小飼:でもさー、位置ゲーってやっぱりそれなりに時間食うから、そう、
山路:ちょっと入れてみたんですけど、ポケモンなんかよりも移動中にやる操作がほとんどないのが私はよさげかなと。
小飼:じゃああれだ、他と一緒にやるって言うのがやりやすいのかな。
山路:そうそうそう、なんか基本的にバックグラウンドで動かして、家帰った後でピクミンを愛でるみたいな感じ(笑)、のゲームっぽいですけどね。
小飼:ポケモンは卵割り始めると、しばらくもう何もできなくなったりするからね。
山路:あとポケモン、私続かなかったのは、移動中にスマホをひたすらいじり続けるというのが、なんかもうどうしても我慢できなくなっちゃって。
小飼:あとジムで足が止まるんだよね。
山路:いちいちこう、獲るために止まったりとかしなきゃいかんすよね。あれは面倒だった。けっこう、でもピクミンなんかは割と続くんじゃないかなと。
小飼:で、ちゃんと食べられるのだろうか。
山路:ピクミンを?
小飼:うん、いや、だからさ、ログボにピクミンが食べられるとかさ。そういうことないの?
山路:そうなんだろうか(笑)。元の『ピクミン』をあんまりよく理解してないから(笑)。
小飼:僕もあんまり知らない。食べられることぐらいしか知らないから。
山路:あ、そうなんだ、食べられたりもするんだ。そうなんだ。
小飼:でも毒があるやつとかもいるんだよね、確か。
山路:へえ(笑)。なんかまっさらな気持ちでじゃあちょっとピクミンやってみるかな。そうそう、後で小ネタでもう一つ、MacBook Pro、なんかAppleから出てましたけど、弾さん、結局どうしたんですか?
小飼:現物、触りましたけれども、まあ前にも言った通り、これがあるので、今は見送りというよりも、だからそれよりもiMacの大きいほうのやつをくだちぃ、みたいな。
山路:先週私、思いっきりiMacが壊れてしまって(笑)。
小飼:うわあ。なんと間に合わなかったか。
山路:だから今月出てくれたら、すごい嬉しいんだけども、
小飼:そっちのほうがシリアスやんけ。
山路:今日発表会の案内が出なかったら、もうたぶん今年出ないですよね。
小飼:でも確かに、あのCPUであれば、モバイルではなくてデスクトップのほうに乗せてほしいという気持ちは大きかったんだけど、でも確かに現物を見てみると、画面は綺麗でしたね。
山路:MacBook Pro。どう違うんですか、綺麗綺麗って、なんかみんな口を揃えて綺麗綺麗と言うんですけど。
小飼:あのね、コントラストレシオが大きいので、一緒に並べてみないとわかんないな、そうは言っても。だからこれが悪いということではないのよ。思っきしあっちのほうがいいので。
山路:4Kテレビなんかでいうと、HDR的な、変わった衝撃みたいな感じ?
小飼:いや、だからもう本当に黒がより深くて、白がより明るいので、同じ画面を、全く同じ画面を見てるとやっぱり、コントラストレシオが違うんだっていうのが、もうはっきりとわかる。で、それだけじゃなくて、やっぱりいろんなところがやっぱ高級感があって、確かに価格差を正当化ができるだけの。あと僕が一つ嬉しいなと思ったのは、前は小さいほうのMacBook Proと大きいほうのMacBook Proって、小さいほうと大きいほうって言うのも変な言い方だけど、要は13インチと16インチのCPUの違いっていうのが大きすぎたので。13インチの、小さいほうのやつがずーっとしょぼかったの。なんでしょぼかったかつったら、Intelが悪い、これは。
山路:あ、小さい向けの低消費電力を出してなかった?
小飼:まともに熱設計ができない。だから十分に冷えて、十分な電力が供給できるようにするためには16インチにするしかなかった。なんだけれども、新しいほうは、小さいほうでも最強のCPUを載せられるという。
山路:14インチのほうでも、Maxあったんでしたっけ。
小飼:そう、14インチのほうでもMax 64を載せられる。前は、Intelのやつの時には4coreで32Gigaまでしか載らなかったんです。しかも、もう最近知られているように、M1シリーズだとIntelの半分ぐらいのメモリーでだいたい同じことできるんですよ。だから、そういうの考えると、ちょっとこれは性能違いすぎるなあと。
山路:しかし今回、M1 ProとかM1 Maxとか、Apple発表しましたけど、CPUの売り方がどんどんCPU専業メーカーっぽくなってきてません?
小飼:なんだけれども、MacですらCPUの載せ方というのがiPhoneじみてきた。というのも、今ここに13 Proですけれども、これのよりも一回り大きいのあるじゃないですか、13 Pro Maxもあるじゃないですか。CPUは変わんないじゃん。だから、前はもう、言ったように、大きいほうのMacBook ProはもっとずっとパワフルなCPUを載せられてたんだけれども、小さいほうでも載るようになっちゃった。
山路:本当に何ていうか、サイズが好みで選べるようになったって感じなわけですよね。
小飼:そうそうそう。だからどっち買うって言ったら、僕はうちでデスクトップ、具体的にはiMacもあるって言うこともあって、小さいほうを率先して選んできたんですけど、今回は特に小さいやつの魅力がずっと増したので。
山路:なるほどね。そのうちMacBook Proもなんだかんだいって買ってんじゃないかという気もしなくもないけれども(笑)。
小飼:今買っちゃうと、それだけじゃなくて、ありとあらゆるものを取っ替えたくなるから、今買っても、iMacの代わりにはならないじゃん。前にも、しつこいようだけど、iMacをリプレイスしたいんです、もうOSも上がらなくなっちゃったし。そこ悲しいよな。
「Pixel 6の話して」(コメント)
山路:Pixel 6、私買ってないからなぁ。Pixel6には、あの辺、手出してます? 弾さん。
小飼:買うべきなんだろうけど。
山路:うーん、Pixelも、スマホとかけっこうそういうスマホとか詳しい人の間では話題にはなるけど、圧倒的に台数と言うか、なんか店の存在感というのがだいぶ違いますもんね。
小飼:特に日米だとそうなっちゃうよね。
山路:ちなみにGoogleって、本気でPixelをiPhone並みに育てていくみたいな気ってあるんですかね?
小飼:あんまないと思うよ。
山路:あんまないと(笑)、あくまでもリファレンス機的な感じ。
小飼:やっぱ自分たちのホームグラウンドが、クラウドのどっち側にあるかつったら、雲側にあるっていうのは自覚してると思う。
山路:えらくPixel6は評判いいですけどもね。ちょっと機会があったら触ってみたいとは思ってるんですが、すいません、いじってなくてあんまり語れることがありません。
総選挙と「一番痛くない」という投票行動
山路:ということで、総選挙の話、行きますか。なんかこう、「総選挙、勝ったのは誰」というキャッチにしてみたんだけれども。
小飼:まあいいや、じゃあ先にネタバレ的にちょっとだけ触れると、勝ったのは誰というよりも、勝ったのは何? という話をしたいですね。まあまず、政党別に言うと、まず何と言っても一番勝ったのは維新ですね。これはもう言うまでもない。
山路:すごい伸びてましたもんね。特に大阪で、もうバンと維新王国ができた感じが。
小飼:あの、大阪で自民党が持ってた小選挙区をほぼ全部取っちゃった。
山路:じゃあ、勝ったのは誰って言ったら、維新ってことにならないんですか?
小飼:ん?
山路:そういうふうな単純なものでもない?
小飼:単純なものでも、で、あれだ、じゃあ自民党はどうしたかつったら、議席は減りましたよね。でも、減ったとかいうふうに言っても、
山路:過半数は超えてる。
小飼:単独過半数はちゃんと超えましたし。だから負けなかったと。防戦には成功したと。
山路:だけどそのぶん、
小飼:政党別で見ると。政党別に見て一番負けたのは、立憲民主党です。
山路:共産党もだいぶ票を減らしてましたよね。なんかこう、
小飼:そう、共闘はうまくいったのかっていうので、共闘したおかげで票が減ったっていうのは確かにあると思います。特に、比例区は、比例区で共産党が2議席減らしたっていうのは、共産党的にはでかいですね、かなり痛い目にあいました。
山路:なんか立憲民主がある意味、共産党を応援したことで、両方とも票を減らしちゃったみたいな。
小飼:あるんだけど、じゃあ仮にそれをやってなかったらどうなったかって言ったら、東京に限って言えばけっこう大勝利なんですよね。
山路:あー、ほうほう。
小飼:(石原)伸晃落としたし。
山路:ああ、たしかに。そうですね、それがあった、それがあった。後は何だ、小選挙区で言ったら、神奈川のほうですけど、甘利、
小飼:そう、だからあんまり小選挙区では確かに共闘はうまくいったんだけれども、そのぶん、党全体としての評判が落ちたというのが比例区のほうに出てますよね。比例区というのはどっちかって言うと、野党向きの選挙区なので、そこで票を減らしてるって言うのは。
山路:党自体のイメージが下がっちゃっているっていうことになるわけか。
小飼:そうそうそう。
山路:確かに小選挙区だったら、本来は与党があれか、あ、そうじゃないのか、比例代表だったらこうイメージでなんとか盛り上げられた、
小飼:自分が「え、こいつ?」と思ってる人も持ち上げなきゃいけないんですよね(笑)。
山路:なるほどな。
小飼:そうするのが良かったのか悪かったのかはちょっと、わかんないな。やってなければもっと、もっとひどい負け方をしてたかもしれない。
山路:今回、あんまり野党共闘自体は問題、どっちでもない、うまくいったともうまくいってないとも言えない、どっちでもない、そんなに大したフォーカスするポイントでもないと。ほうほう。じゃあ一体、勝ったのは何という。
小飼:テレビ。
山路:テレビ?
小飼:はい。
山路:勝ったのは。
小飼:勝ったのはテレビ。驚いたというのか、ある意味、最初ちょっとあれおかしいなと思いつつも、でもよく考えればこれも納得かと思うのは、同様の意見がほとんどSNSでは見られなかった。
山路:同様の意見?
小飼:だから、何が勝ったかつったらテレビが勝った。
山路:それはテレビが推した候補が通ったってことですか、つまりは。
小飼:だから、テレビを支配したものが選挙も支配できたと。特に維新は顕著ですよね。なんで大阪であそこまで勝てたかって言ったら、テレビを支配してるからとしか言いようがないですよ。
山路:大阪、本当に、何て言うか大阪関西ローカルのところでも出ずっぱりだったって言いますもんね。
小飼:そうそう。ネットばっかり見てる人には絶対に見えないんです、僕も見えないということしかわからない。大阪でどれくらい維新が人気があるのかとかって言うのは見えない。ただ、外からも観測できる事実として、大阪ではパンデミックで死んだ人というのは、東京よりも多いよ。で、医療崩壊したのも大阪ですよね。東京はそこまで行かなかった。けっこう危険水域までは行ったけど、まだそこまではいかなかった。にも関わらず、にも関わらず何で維新が伸びたかって言ったら、やっぱりテレビの影響というのは無視できない。無視できないというよりは、テレビを抑えてたから、あんまり、だからそうやって全国で流れるような、特に数字が絡むグラフが出てくるニュースと言うのは。
山路:ことごとく外してますもんね。
小飼:だから、出てきたとしても、維新の皆さんがこんなに頑張っているのに、国が助けてくれないと。
山路:あー。そういうストーリーに転換されちゃうわけだ。
小飼:これを、大阪の人たちおかしいなと、大阪というのか、近畿以外の地方から見ると、そう見えますよね。たぶん、もう少しカメラを引いてみると、日本の外からは「なんで自民党勝ってるの」と、同じような現象として映るんじゃないかと。
山路:それはわかりやすいかも。
小飼:はい。現与党が政権を奪取してから、何一番頑張ったかって言ったら、マスメディア、特にテレビの支配ですね。新聞もまあもちろんそうですね。軽減税率で。
山路:テレビを支配できたのは何だと思います、ちなみに。
小飼:できたというよりも、だからどんな政権与党であれ、しようと思えばいつでもできた、でも、そこまで踏み切らなかったんだよ。
山路:はー。なるほど。
小飼:不文律として反則だということもありますし、いちおう放送法みたいな明文化された法律もあります。なんだけど、けっこう骨抜きにされたと。
山路:じゃあ、維新なんかっていうのは同じような事を大阪で、メディア支配と言うか、まぁ支配というほどでもないのかもしれないけど、
小飼:どっちかって言うと、維新というより吉本が強いのかもしれない(笑)。吉本の芸人さんの中には大阪はおかしいって言ってる人も、まぁでも芸人として芸としておかしいと本気でそう思ってるのか、ちょっとわからないところもあるんだけども。でも相変わらず、マスメディア強いなと。そういったことというのは、もう一足先にネットに入っちゃった人ほど見えないというのは。だから我々は見えないと、ぜんぜん見えてない。
山路:全然わかんない(笑)。ほんとに維新が本当に30議席ぐらい伸ばしたんでしたっけ、2、30議席ぐらい伸ばしたのも、もう本当に「へ?」みたいな感じでしたもんね。
小飼:でも、少なくとも、僕は見えないということはわかってた。だから、これが天文学の話だったら、ほんとダークマターなわけですよ。観測に引っかからないので。
山路:よくあの、今回の総選挙なんかで、意外に若者が自民党支持したみたいな話だったりとか、そんな話も出てたりとかしますけど、その文脈とはあんまり関係なかったりするんですかね。
小飼:じゃあここでクイズです。若者、まあ具体的にはU30とでもしときましょうか。
山路:アンダー30。
小飼:はい。にとって、最も人気の投票行動は何だってでしょう。
山路:さて、みなさんわかりますでしょうか。
小飼:U30とかよりU40かもしれないな。
山路:U40(笑)、マジで。本当ですか。最も人気の投票行動。棄権?
小飼:おっしゃる通りです。そうなんですよ、無投票というのが一番人気だったわけです。投票して中では、自民党が人気があったと。これって、割とわかりやすい言葉がありまして(笑)、学習的無力感。
山路:学習的無力感(笑)。もう何やってもうまくいかないと、何もしないほうがいいって感じちゃうようになるっていうこと?
小飼:そう、だから一番いいのは何もしないこと。じたばたしてもどうしようもない時は何もしないのが、最適行動です、一番疲れないですよね、それが。だから次は現状推し。ある意味、一番労多くして益少ないのは現状に逆らうということです。
山路:なんか野党にいっぱつ賭けてみるみたいな感じの(笑)。
小飼:そう。かつては、何て言えばいいのかな、それが若者であると。反抗するのは若者であるっていうイメージが全世界的なものでしたし、今でもそういう世界というのは少なくないんですけれども。
山路:それができるのはある意味成長してる世界だから、それが成り立つということも、
小飼:というのもありますし、経験不足を数で覆せたってところが大きいんですよ。
山路:少子高齢化になる以前の、若者の人口ピラミッドがこういうふうになってた世界ではってことか。
小飼:そう。マイノリティなんですよ。
山路:なるほどな。言っても変わらんし、それで自分たちが少数派なんだったら。じゃあ、一番コスパのいい行動を取ってるわけなんですね。
小飼:コスパというよりも、一番疲れないと言うよりも、あのね、コスパとかっていう、あのね、生易しいものではない感じがする。
山路:生易しい(笑)。
小飼:痛くない。一番痛くない。確かにそれはだから、少なくとも、自分たちのいるところに関しては最適行動になり得るわけです。たしかにだんだん落ち目になってるのは、確かだけれども、ここでイチかバチかに賭けると、バチる公算のほうがでかくね? っていう時には尻込み、やっぱり別に若者でなくても尻込みしませんか。
山路:行動経済学の本とかに書いてありそうですよね。100パーセントの確率でなんか毎年1パーセント下がってくのを選びますか、それとも、みたいな(笑)。
小飼:実際、その通りになった。期日前投票が増えた、全体として前回の選挙よりも投票率上がったって言っても、55パーセントですからね。政権がひっくり返った時って言うのは6割り超えてたはずです。投票率が上がると与党が不利になるって言ってても、今回は若者のほうが自民党推しじゃんって言ってるけれども、まあそれはないわけではないけども、基本的に投票しない権利もある国において、投票率が上がるというのは、当然ながら与党にとっては逆風です。それはなぜかって言うと、投票というのがある程度の労苦を伴う行為である限りは、わざわざ異議を申し立てるっていうのは。
山路:追認のために行く人よりも、やっぱり異議を申し立てに行くみたいな、その可能性が高くなるわけですもんね。
小飼:そうなんです。そう、文句もないのにわざわざ返品しねえよっていう。
山路:あとはなんか、今回野党の主張っていうのをほぼ与党の主張がカバーしちゃってるところもあったのかなと思って、バラマキ的なところで言うと。
小飼:あと、久しぶりに相手をディスらないタイプの総裁が、まあ自民党のトップが。確かに最初に言ってたことは、あれを引っ込めこれも引っ込め、挙げ句は幹事長甘利かよと、それはあんまりだって意見もあったけども、あまり選挙には、そう、だから何て言えばいいのかな、そこまでもし計算してたのだとしたらけっこう凄いですよ。なんといっても、政敵を選挙に落とさせるというのは。
山路:それは意図的にできたことだろうか(笑)。
小飼:いや、だけどよく考えてみると、自民党って一度、あえて総理を社会党に譲ったことがあるんですよね。
山路:自社さ、あれ、
小飼:そうそうそう。
山路:連立ですよね。
小飼:その前の連立っていうのは日本新党というのがあって、まぁ要するに自民党は野党だったわけですね。自民党が与党に返り咲いた時に、その時の総理というのは耳毛の、村山だったんですよね。そこまでやったわけ、だから、あれはすごい、重要で、あれで社会党は国民を裏切ったわけですよ。ただでさえ裏切ってたところに来て、阪神大震災でしょ。
山路:それで支持者が離れてったっていうことか。なるほどね。なんか結局、
小飼:でも民主党政権の時にも東日本大震災があったけれども。だから、もちろん不運というのか天変地異もあった、でも、すでに政権を取った時点で、社会党も言ってることがもう180度変わっちゃって、だから今までの支持者を裏切ること甚だしかったわけですよね。