• このエントリーをはてなブックマークに追加
【PRIDE20周年記念復刻企画】「高田延彦はロープ掴み禁止をなぜ知らなかったのか」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

【PRIDE20周年記念復刻企画】「高田延彦はロープ掴み禁止をなぜ知らなかったのか」

2017-10-01 00:00
    1997年10月11日に産声を上げたPRIDE――今月で20周年を迎えることを記念して、かつてDropkickメルマガに掲載されたPRIDE関連企画を復刻掲載します。
    第1弾は金原弘光選手の証言やコラムで、いまだ謎が残る振り返るPRIDE.1高田延彦vsヒクソン・グレイシー戦のロープ掴み禁止ルールについて考察してみました。




    ――今回は1997年10月11日にPRIDE.1の高田延彦vsヒクソン・グレイシーについてお聞きします。高田さんはヒクソン戦に備えてキングダム道場でどんな練習をしていたんですか?

    金原 いや、キングダム道場で練習はしていなかったんじゃないかなあ。少なくとも俺や安生さんとは練習してないよ。

    ――そういえば、高田さんはサーキットトレーニングが中心だったみたいな話は聞いてますね。

    金原 高田さんは身体能力が高かったからね。そこはUWFの中でもナンバーワンだったんじゃないかな。

    ――スパーリングはどこでやってたんですかね。

    金原 どこでやってたんだろ。

    ――高田さんの動向は気にならなかったですか?

    金原 気にはなっていたんだけど、「高田さん、どこで練習してるんですか?」なんて聞けるような関係ではなかったしねぇ。

    ――そこはプロレス団体ならではの上下関係があったんですね。

    金原 高田さんはそもそもキングダムの道場にもそんなに顔を出してなかったしね。

    ――キングダム勢の中でも話題にはならないんですか?

    金原 高田さんは別の場所で秘密の特訓をしてるという話は聞いた。

    ――秘密の特訓!それがサーキットトレーニングだったんですかね。

    金原 前にも話をしたけど、ヒクソンと引き分けた柔術家と練習はしていたんだと思う。それはキングダムのジムでやってたのかなあ。そこもあんまり記憶にないなあ。

    ――ほかの場所といっても、当時都内に格闘技ジムはほとんど存在しなかったですしね。

    金原 俺と安生さん、サクがその柔術家にいつも極められてると耳にした高田さんが「ヒクソンはヤバイんだ」って警戒してるって話は聞いたけど。俺らはエンセンと交流してたし、柔術家にも教わったから、柔術というものがだんだんとわかり始めてきたんだけど。高田さんはどうだったんだろうなあ……。

    ――いまの格闘技ファンにはピンとこないかもしれないですけど、高田さんクラスのプロレスラーが新しい分野にイチから取り組むってなかなか難しい時代だったと思うんですね。

    金原 当時の高田さんといったらプロレス界のスーパースターだったからね。

    ――PRIDE.1のあとに高田さんがアメリカのビバリーヒルズ柔術クラブに行ったとき、スパーリングでトレーナーに腕十字を極められた写真がFRIDAYに載ったんですけど、「情けない姿」として報道されていて。それは道場で教わることや習う文化という認識がマスコミにもなかったってことですよね。たとえ練習でも極められてはいけないという。

    金原 キャッチ・アズ・キャッチ・キャンのスパーリングだったら、高田さんが一番強いんだけどね。高田さんって身体能力が本当に凄くてさ、剛か柔でいえば、圧倒的に剛のレスリングなんだよね。パワーで相手をねじ伏せるんだよね。

    ――フィジカルで圧倒する感じですね。

    金原 いままでいろんな選手とスパーリングをやったけど、日本人の中ではあのパワーは群を抜いてる。安生さんはどちらかというとテクニックの人なんだけど、高田さんはパワーの人。手が凄くでかいし、クラッチしても簡単に切っちゃうんだよ。ほかの人だったら切られないのに高田さんだけは別。それくらいパワーがあったんですよ。


    ――高田さんは総合格闘技ルールにアジャストできなかったんですかね。

    金原 ヒクソン戦のときによくなかったのは、あまりにもヒクソンの情報を入れすぎて混乱を招いたと思うんだよね。「ヒクソンが凄い」「柔術がヤバイ」とか。

    ――幻想を抱きすぎてしまった、と。

    金原 たしかにヒクソンの柔術は凄いんだろうけど、身体能力はそこまで高くないでしょ。高田さんが自信を持って、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンのスタイルで臨めば、勝負はどうなるかわからなかったと思う。俺がエンセンと交流したときは、こっちは柔術を知らないし、向こうも俺らのスタイルを知らないから、もの凄く噛み合ったんだよね。でも、俺たちが柔術をわかるようになるにつれて「こうなったらマズい」「このままだと極められる」と考えちゃうようになって、それで逆にやられてしまうケースが増えていった。

    ――ああ、なるほど。それは柔術のセオリーどおりに動かなかったから、罠にハマらなかったんですね。

    金原 そうそう。知れば知るほど逆にやられちゃうというかさ。たとえばボブ・サップってデビュー当時はメチャクチャ強かったでしょ。でも、格闘技をおぼえていくと「あれをやっちゃダメ」「こう動いちゃダメ」って意識するようになってしまったがために弱くなってしまったよね。高田さんは「絶対に寝技になるな」とかネガティブな情報ばかり入れ込んでしまって、自分にブレーキをかけてしまったと思うんだよね。

    ――戦う前からヒクソンに飲まれてしまったんですねぇ。

    金原 逆にヒクソンは自分のスタイルに自信を持って戦ったでしょ。あのとき高田さんもそうやって臨めばよかったんだけど、そういう精神状況じゃなかったんだろうねぇ。

    ――当時の高田さんはUインターの借金も抱えてましたし、もし負けたらプロレスラーの地位を失うわけですから、相当追い込まれてましたよね。

    金原 あと最大の誤算は、ロープ掴みの禁止だよね。試合中に注意されたことで高田さんはかなり動揺しちゃったんだと思う。

    ――ロープ掴みの禁止を事前に知らなかったんですか?

    金原 知らなかった。

    ――……ホントですか? 
     
    この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。
    ニコニコポイントで購入

    続きを読みたい方は、ニコニコポイントで記事を購入できます。

    入会して購読

    この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。