和術慧舟會HEARTSの中田大貴が綴る世界のMMAシーン――今回のテーマは「証言:アデサニヤvsロメロの大凡戦事件」です!


「史上最低のUFCタイトルマッチ」「世紀の大凡戦」などと各方面から酷評を浴びているUFC248のメインイベント、イズラエル・アデサニvsヨエル・ロメロの試合で何が起きていたのか。選手の動き、解説席の発言、セコンドの指示から探ってみよう。解説席にはUFCアナウンサーのジョン・アニク、ジョー・ローガン、そして元UFCヘビー級&ライトヘビー級王者ダニエル・コーミエの3人が座っていた。


1ラウンド 「この試合はこれから熱くなるような予感がする」

ロメロはステップをあまり使わず、前手を伸ばしアデサニヤの軽快なステップやフェイントに対して警戒、距離を作る。フェイントをよく使う相手に対しては前手を伸ばしで自分の距離を作ることによりカウンターが打ちづらくなる。さらにロメロはガードの中で空手やカンフーの廻し受けのように前手や後ろ手を回したり、シャッフルする。お互いスローペースだが、フェイントを多くかけあう。アデサニヤのローキックが当たる。アデサニヤはガードを擦り抜けていくようなパンチを放ちたいが、ロメロの一風変わった構えを警戒して中々パンチが放てない。1Rはお互い見合って終了。

ジョー・ローガン「この試合はこれから熱くなるような予感がする。まさか試合がこのまま終わる形にはならないよね。……あ、やっぱりこういうことは言っちゃダメだったんだ」

ジョン・アニク「1Rを予想不可能な変なラウンドだった」


2ラウンド「すべて完璧だ。アデサニヤに時間を使わせろ」

開始後、アデサニヤが放った右ストレートに対し、ロメロの左のオーバーハンドフックが大きく当たる。これによりアデサニヤは左のオーバーハンドをより警戒するようになる。アデサニヤはボディキック、ローキックを的確に当ててゆく。

解説席「アデサニヤはロメロの間合いに踏み込みすぎるようなリスクは避けているね」

ロメロの足払い気味のローキックからのケージ際までアデサニヤを追い込んでのパンチ連打。アデサニヤ、少し驚くも態勢を立て直す。深追いはせずロメロはまたスローペースのリズムに戻る。ロメロは変わらず前手を伸ばしたり、両手を交差させてアデサニヤにパンチの距離を作らせないようにしている。

ダニエル・コーミエ「ロメロは何やっているんだろうね。ああいう風に手を出してたら彼の得意なレスリングをやるのが難しいのに。もしかしたらロメロは体力温存してるのかもね。でも、彼はこれからもう43歳になるし、これが最後のタイトルマッチになるかもしれないのに、自分から試合を作らないのは不思議だよ。すべてを出し切って勝ちにいくべきだと思う」

2ラウンド終了後、ロメロのセコンド陣は「すべて完璧だよ。彼(アデサニヤ)に時間を使わせろ」と指示した。

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