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北米MMAを知り尽くした男が語る水垣偉弥が語る「UFC249 」! ファーガソンvsゲイジー、セフードvsクルーズ、そしてマネル・ケイプのUFC契約も語ります!(この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです)
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――帰ってきたUFCを水垣さんに振り返っていただきます! UFC249は無観客イベントになりましたが、水垣さんは無観客イベントを経験したことはないですよね?
水垣 さすがにないですね(笑)。想像しかできないですけど、どんな感じなんですかね。どんな激しい試合をしても、まったく歓声がないわけじゃないですか。どういう気持ちで戦えばいいのかなと。
――やっぱりファンの声援が選手の背中を後押しするところはあるってことですね。
水垣 気持ちが乗ってくる面もあるじゃないですか。ただ、見てるほうからすると無打撃のえぐい音が歓声にかき消されず響いてきますよね。これは新鮮だったんじゃないのかなと思います。
――いまは新型コロナの影響で練習方法も限られてますから調整も大変になってきますね。
水垣 そうですよね。他の選手たちがどういう環境で練習してるのかはわからないですが……日本よりアメリカのほうが練習の制限は厳しい状況だとは思うんですよね。セラーニvsペティスの試合も調整不足を感じましたし、メインのファーガソンvsゲイジーも若干それを感じました。 練習をやりきれてないのか……観客がいなかったこともメインイベントに関しては影響があったんじゃないかと思います。ちょっと予想外の試合展開にはなったので。
――ファーガソンvsゲイジーには、どういう展開を予想してたんですか?
水垣 2人ともにテンションを振り切れるタイプじゃないですか。特にゲイジーは立ち上がりはもうちょっと攻めるのかな……と思ったんですけどね。
――ゲイジーはUFCで経験を積むことで“大人”になったというか、あまりムチャに攻めなくなったという見方もありますよね。
水垣 いや、それ以前に1~2ラウンドの動きを見るかぎり、ゲイジーの身体は重そうに見えたんですよね。パンチなんかもキレがイマイチだなって。
――ゲイジーもヌルマゴが出られなくなったことでの緊急出場ではありますね。
水垣 体重を整えるのも大変だったと思いますけどね。
――このUFC249は本来4月19日に開催される予定でしたが、直前に大会は飛びました。でも、なぜかファーガソンは幻に終わった4月19日前日まで減量をやりとげて(笑)。
水垣 そうなんですよね。普通に考えたら絶対にあんなことはやらないほうがいいですよ(笑)。ファーガソンはそうすることでメンタル的に落としどころを作ったんだと思うんですけど。無謀ですよ、あんなこと。年3回の試合の水抜きだけでもイヤなのに。
――短期間で2度の減量は確実にダメージになる。となるとファーガソンは、いつものファーガソンじゃなかったとも言えるんですね。
水垣 今回のファーガソンには、いつもの悪魔的な強さが見られなかったですよね。アッパーでゲイジーをダウンさせたシーンがあったじゃないですか。あそこで流れが変わると思ったんですけど。いつものファーガソンなら、ああいうきっかけから追い込むんですけどね。
――悪魔のエンジンがいつになってもかからなかった。
水垣 それはいろんな影響があったと思いますけどね。 2週間前に水抜きをしていたこと、無観客でやったこと、きっと練習も100パーセントはできてないじゃないですか。
――外的要素の影響が大きいっていうところもある。
水垣 そこはメッチャあると思います。でも、コロナはしばらく続くとは思うので、そこにいかに適応できるか。UFCのこのへんのクラスだと、ちょっとの差が試合に影響すると思うですよね。ただ、普段の状況でも100対100の万全の戦いはそうそうないですから。
――何かしらケガを抱えていたり。
水垣 100からの引き算をいかに小さく抑えるのか、という。いままで以上に調整力や適応力が問われるんじゃないかと思いますね。
――今回の勝利でライト級暫定王者に就いたゲイジーは、ディビジョン1のレスラーで打撃も強い。正規王者ヌルマゴは圧倒的なレスリング力で相手をねじ伏せてきましたが、ゲイジーなら……という声はあります。相性的はどう思われますか?
水垣 いやあ、それでもヌルマゴじゃないですかね。ボクはヌルマゴ最強説も支持者なんですけど(笑)。ゲイジーはたしかにレスリングは強いですけど、ヌルマゴがテイクダウン回数のUFC記録を作った試合の相手はオールアメリカンのレスラー(アベル・トルヒーヨ)なんですよ。 ヌルマゴ相手にレスリング力は関係ない。ケガやトラブルが抱えないかぎりはヌルマゴは最強だと思いますね。
――夢がないことを言いますね!(笑)。
水垣 じゃあ、ヌルマゴが誰に負けるのかな……って想像したですけど、一番最初に想像したのはブライアン・オルテガみたいなタイプなんです。オルテガのギロチンチョークのようなスーパー必殺技を持ってるような選手だと勝機があると思うんですよね。
――一発で仕留める武器があるかどうか。
水垣 タックルに来たところを極めちゃうとか、もしくは不用意にタックルにこさせないようにする。そういう尖ったものがないと難しい。オーソドックスな選手にヌルマゴは負けないと思うんですよね。
――ヌルマゴとは五度対戦が流れたファーガソンでも崩せないですか?
水垣 そうだと思うんですよねぇ。ただ、ファーガソンの場合は腕が長くて極める力を持っているので、ゲイジーによりはチャンスがあったと思うんですけどね。申し訳ないですけど、ゲイジーって派手な試合をするだけのファイターというイメージがあって。当然強いという前提ですけど、飛びぬけて強いイメージはなかったんですよ。今回も後半は完全に疲れた動きになってたんですけど、それでもファーガソンの逆襲を許さなかったのは凄いですよね。「評価が低くてごめんなさい、ゲイジー!!」という風に見てましたね(笑)。
――では、次はバンタム級タイトルマッチ、ヘンリー・セフードvsドミニク・クルーズの感想をお願いします。
水垣 普通に考えたら3年半ぶりの試合となったクルーズの勝利は厳しいはずですよね。クルーズの戦績をあらためて振り返ったら、ボクをぶっ飛ばしてから3回しか試合をしてないんですよ(苦笑)。
――水垣さんとクルーズの試合は6年前の2014年のことですよ(笑)。
水垣 あの試合の動画、ダイジェストじゃないですかね。あっという間に終わっちゃっただけです(苦笑)。
――ハハハハハ。あの試合を見直したんですが、クルーズのステップのキレが全然違いましたよね。
水垣 それがケガの影響なのか、コロナの影響なのかわからないですけど……クルーズはいわゆるステップの動きで相手を混乱させるのが本当に凄いんですよ。
――いまのMMAではスイッチするのはあたりまえですけど、クルーズの場合はスイッチを交互に繰り返してシャッフルするかのように相手を幻惑する。水垣選手は実際にクルーズと戦ってみてどう感じましたか?
水垣 ボクはクルーズにタックルされて背中がマットにドーンとつくまで、タックルされたことにすら気づいてませんでしたからね……
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