旧・川崎球場こと富士通スタジアムにプロレスが帰ってくる! 8月29日に富士通スタジアムで昼夜興行(http://hardhitpro.com/1528)を主催する佐藤光留インタビュー。20周年という大きな節目を飾るはずが、まさかの大ピンチを迎えることになってしまった……。
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――佐藤さん、今日はよろしくお願いします。お恥ずかしい話ですがDropkickでは佐藤さんや『ハードヒット』を取り上げたことがないので、初歩的な質問しちゃうかもしれませんが……。
――「誰も知らない」が売りですか! 佐藤さんの中にはそういう感覚があるということですか?
佐藤 同じことをやっても有名人のほうが取り上げられるのは、あたりまえの話じゃないですか。それが悔しかったりする感覚は昔はちゃんとあったんですけど……。
――いつのまにかなくなった。
佐藤 きっかけは新日本プロレスの柴田勝頼選手と石井智宏選手が東京ドームで試合をやったとき。お互いが座っている相手の背中をサッカーボールを蹴ったあとに、自分から背を向けてサッカーボールキックを待つというシーンがあって。あの動きを最初にやったのはボクと大和ヒロシなんですよ。
――そうだったんですね。
佐藤 プロレス技って伝播していくものなので、べつに使われてもいいんですけど。その試合映像を原宿の『パイルドライバー』で鈴木みのるさんと一緒に見ていたら「よかったな、オマエのやったことが新日本プロレスにパクられたぞ」と。そのときにマイナーならではの高揚感があって。柴田選手と石井選手の攻防に新日本ファンは盛り上がってるんですけど、じつは佐藤光留に全身舐められてるのと変わんねえんだぞ!と(笑)。
――ハハハハハハハ!
佐藤 あのときにちょっと変態的な快感に目覚めましたね。
――この境地にたどり着くまで時間はかかったんでしょうね。
佐藤 17年くらいかかりましたねぇ……。
――若いうちだと「俺のほうが先にやった技なのに!」と嫉妬するのが人間じゃないですか。
佐藤 昔は「俺のほうが!」という承認欲求の塊で。じつはボクは無線免許の最年少記録保持者なんですよ。9歳のときに取ったし、無線関連の日本記録を4つぐらい持っていて。
――凄いじゃないですか!
佐藤 親がそういう関係の仕事をやっていて、免許を取ったらラジコン買ってやると言われてその気になって。朝日小学生新聞の一面を飾ったんですよ。もちろん学校でも紹介されるんですけど……全然モテなかったんですよ。
――まあ、子供って足が速い奴のほうがモテますからね(笑)。
佐藤 そうなんですよ。50メートルを6秒で走れる奴は学校に4人いたんですよ。ボクは岡山市だったんですけど、小学校が100校あるから400人くらいいる。 全国都道府県には何千人いることか。俺は日本記録を持っていて、そいつらよりも上なのになぜモテないんだ……ってことでどんどん性格がねじ曲がっていきましたね(笑)。
――それがいまや快感になってるという。
佐藤 要するに「俺のほうが!」という思いが強すぎてノックアウトされて。倒れてるところから、いまの景色が見えてるんでしょうね。それは誰も見たことがない景色なんだろうなとは思ってます。その極みが8月29日の富士通スタジアム(旧・川崎球場)でやる自主興行で。
――佐藤さんの20周年記念興行と『ハードヒット』のダブルヘッダー。ところが新日本の神宮球場大会が発表されて、まさかの屋外興行戦争になるという。
佐藤 いやあ、引き寄せるなあ……って思いますよ(苦笑)。
――大事な節目に自分の人生の業を感じるというか。
佐藤 ボクが自分の財布からお金を出してやる興行なので、要するにお客が入らなかったら赤字なんです。ちなみにボクの興行はいままで1回も赤字がないんですけど、プロレスの興行の仕入れ値というのは変動しやすいんです。同じ商品を仕入れて売ってるわけじゃないので。で、今回は仕入れ値がかなり大きいんですよ。
――普段は新宿フェイスや新木場でやってますから、今回のスタジアムは大きな商売になりますね。
佐藤 偶然にも会場が取れたので。新型コロナの関係でアメフトとサッカーがやってなくて空いてたんですよね。 これはロッキー川村が話を持ってきてくれて。アイツは普段なんの役にも立たないんですけど(笑)、「さすがだぜロッキー川村!」って2人で大喜びをして。あとで地獄に突き落とされるんですけど……ハッハッハッハッ!
――この20周年興行はコロナがなくても大会場でやりたかったんですか?
佐藤 大きいところでやりたいという考えはあったんですよ。ただ、大きいところでやるということだけに価値はないと思ってまして。昔の小さいプロモーションはどこも後楽園ホールを目指してやってましたけど、いまはあたりまえのように後楽園でやっている。DDTが毎年両国や武道館とか大きいところでやって、 大日本プロレスも大きいところでやっている。佐野直選手なんて自主興行を両国国技館でやりましたからね(笑)。
――以前ほど大会場にプレミアム感はないですね。
佐藤 ベタベタ手垢がついてるような感じになってるから「大きいところでやる」という驚きがほしかったんです。DDTが初めて両国でやると発表したときにボクはそのメンツの1人だったんですけど。 発表した瞬間、お客さんは「DDT凄い!」じゃなくて「DDT潰れちゃう!」という雰囲気だったんですよ。高木さんが「それでもやるんだよ、俺たちは!」と叫んだときに泣いてるお客さんもいて。あのときのDDTのように、やっちゃいけないところに踏み込む高揚感が凄いと思って。
――新日本と被ったことで「やっちゃいけない」シチュエーションになってますが……バッティングは事前に知っていたんですか?
佐藤 まずボクのやつを発表したあとに噂が流れてきて。8月の終わりか9月の頭に新日本が屋外興行をやると。言うたら3週間くらい候補日があるじゃないですか。週末だけでも被る確率は6分の1、17パーセント。そんなリーチだとパチンコでは興奮しないですよね(笑)。
――まあ、激アツじゃないですね(笑)。
佐藤 29日・30日になったとしても50パーセントですから。『ギンパラ』で言うところの魚群のマリンリーチレベルですよ(笑)。 それでも2回に1回はハズれるなあ……ってときに全日本プロレスの控室でツイッターを見ていたら同日同時刻開催を知って。もうひっくり返りましたねぇ。そのあと『パイルドライバー』に行ったら鈴木さんがニヤニヤしながら近寄ってきて「俺、どうしたらいい?」って聞いてきて(笑)。
――ハハハハハハハハ!
佐藤 新日本に出るかもしれない鈴木さんにオファーはかけられないですよ。実際に出るかどうかは知らないですけど、こっちのクソみたいな興行に呼べないですよ(笑)。
――クソみたいな興行(笑)。
――新日本より出せるのか?と。
佐藤 ウチは師弟関係はヌルくはないので。ボクは鈴木さんにオファーするときは普段の鈴木さんのギャラの1・5倍払いますからね。初めてオファーしたときからそうしてます。
――そこは師弟関係に甘えてないんですね。
佐藤 それは鈴木さんに育ててもらったから……というわけじゃなくて。 鈴木さんは基本的に「勝手に育て」というタイプで。「オマエのことを弟子だとは思ってないし、プロレスラーになりたいんだったら師弟関係を利用するような奴にはなるな」と。だからボクみたいな極小プロモーションがオファーするときに通常と同じギャランティじゃダメだと思ってて、少し多めに払うのがボクの中のルールなんです。だから「金次第だよ」と言われたとき一瞬「ウッ」と迷ったんですけど、「……新日本に出た方がお店(パイルドライバー)の売り上げはいいんですよね?」って聞いたら鈴木さんは「オマエ大人になったな(笑)」と。
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