◎RIZINに関する雑談「二度と食べられないかもしれないから、美味しくいただきましょう」
那須川天心戦実現!都内で一軒家が買えるほどの違約金を払ってK-1からRIZINに参戦した皇治ロングインタビューです(聞き手/松下ミワ)
――いきなり那須川天心戦が発表されましたが、早くももの凄い枚数のチケットを売ってらっしゃるそうですね(※9月6日のチケット一般発売初日にほぼ完売)。
――いままで最高何枚売ったことあるんですか?
皇治 武尊と対戦したK-1大阪大会のときは3000枚ちょいですね。でもほら、いろんな選手いるじゃないですか。「そっちに回すチケットがなくなるから」という理由で、K-1のときはよくそれ以上売られては困ると止められました。
――そこにストップがかかることなんてあるんですね(笑)。今回は「(コロナ収容制限の)5000枚でも売れる!」と言われてるみたいですが。
――プレイガイドやほかの出場選手も販売しますからね(笑)。ただ、天心戦の下馬評はけっこう厳しいものが多いですよね。
皇治 あれはもう慣れているし、K-1にいたときからずっとそれで上がってきたんで。そりゃそうですよね。よそモンが入ってきて、いきなり自分とこの主人公とやるわけですから。RIZINファンからすると気に食わんこともいっぱいあると思いますけど、それも含めての俺は盛り上がりやと思ってるんで。一番情けないことはプロとして話題にならないことですよ。
――会見から煽って煽って……、というのが皇治選手のスタイルだと思いますが、それってやっぱりプロとしての使命感があるからなんですか?
皇治 まあ、自分の性格もあるんですけどね。じゃあ「なんで会見やるんですか?」という話じゃないですか。いま、SNSの時代やから金もかからんとカード発表できるんでしょうけど、ホテルの部屋を借りてまで記者会見する意味というのはそこも見せ場の一つやからなわけで。そこでよう盛り上げへんのやったら出てくる意味ないんちゃうかと思ってるから。俺のやり方にグチグチ言ってるヤツも多いですけど、俺からしたらプロ意識が足りないなと。だって、そこは背負わんでいいプレッシャーやと思うんです。でも、そこを背負ってこそプロやと思うんでね。
――実際、皇治選手の煽りによってチケットも売れているわけですし。
皇治 極端な話、俺1人で5000枚売れますけど、俺が10人いたらなんぼ売れんの? と。東京ドーム楽勝で満員ですよ。そう考えれば、みんなもっとプロ意識を持ってほしいと思いますけどね。
――さらに、その煽りによって相手選手にもプレッシャーがかかりますよね。
皇治 もちろんそうです。みんな絶対に言うんですよ、「いろいろと言われても動揺してないです」と。でも、本当は100%動揺しているんですよね。感情が左右されないヤツなんていないんで。俺のいままでの試合でも、対戦相手ってみんな実力を発揮できてないんですよ。大振りなったり、打ち合ってみたり。それも俺の中で立派な作戦。みんな俺のことが憎くてしゃーないんです(笑)。
――なるほど(笑)。
皇治 天心くんも言ってたみたいですよ、「皇治は思ってるより言ってこなかった」と。それ、もう動揺している証拠なんですよね。「あれ? いつもの皇治じゃないぞ」と。
――あ、それも作戦だったんですか!
――あの会見、皇治選手に哺乳瓶を渡された天心選手も比較的うまくいなしてた思うんですが、あの対応はどう思いました?
――それはアドリブ力が問われますねえ。試合に関して言うと、皇治選手はサウスポーが嫌いだと公言してますが、戦略はわりと細かく立てるタイプなんですか?
皇治 よく戦略立ててやってます。俺が倒れへん理由って、じつはそこなんですよ。わかっている攻撃をもらってるから倒れない。けっして俺は打たれ強くはないですよ。
――そうなんですか?
皇治 みんな、俺のこと「打たれ強い」と言いますけど、それは何回も映像を見てて相手の攻撃がわかってるんで。向こうも技術があるからちゃんと当ててくるけど、ちょっと避けてたり反応してたりしてるんでね。
――たとえば、武尊選手との試合ではダウンシーンもありましたよね?
皇治 あのダウンもヒザついてないですから。あれ、勝手にレフェリーが止めよったんで、お節介ですよ。
――お節介のダウンカウント(笑)。となると、武尊選手の攻撃も想定内だったということなんですか?
皇治 あれは、最初から言ってたんです。武尊は殴り合いが強いけど、あそこで勝機を見出すしかなかったんで、打たれてもいい身体を作って戦ったんですよね。それ以上に当ててきたというのは武尊のうまさですけど、ああいう展開になるのはわかってたんで。
――そこまで細かく研究しているんですね。
皇治 それもありますし、普通に考えて日本で一番チケット売るって出しゃばってて、そんだけ応援に来てくれる人がいるのに、意識あるうちに倒れる選手の気を知りたいですよ。
――……それって気力でいけるもんなんでしょうか?
皇治 いけますよ! 極端な話、俺はどんな拷問にあっても、意識があるうちは絶対に約束を守り切る自信があるからね。
――どんな拷問にも耐えられる(笑)。
皇治 まず、根性が違いますね。ほかの選手と。俺なんか、すべてが無理と言われて育ってきたんで。だから大阪の人たちはビビってますよ。だいたいね、天心くんなんかも彼は彼で努力したんでしょうけど、やっぱり才能があって強くて、みんなスターになることを最初から予想したと思うんですよ。でも、俺なんてそんなん予想されてなかったんで。その俺がこうなれたのは反骨精神だけです。
――根性のレベルが違うということですか。
皇治 違う、違う。俺のこと、どーちゃらこーちゃら言うてるヤツもいますけど、その人たちとは根性や度胸が違うから。だから記者会見でもああいうことができるんですよ。
――そういう戦略を練る中で、今回はどのへんに勝機を見出しているんですか?
皇治 もう、まさに度胸と根性です。そこに関しては天心くんとはレベルが違います。だって、あんなん子どもですよ。あんなん、街で会ったら楽勝です。
――路上では楽勝(笑)。
皇治 路上では赤ちゃんみたいなモンなんでね。その喧嘩をリングにどう持ち込むかが俺のやることやと思ってますし。まあ、当日1000人以上来てもらえると思うんで、アウェイ上等で皇治軍団全員で戦おうと思ってます。
――アウェイといえば、RIZIN.22でマイクしたときもなかなかのアウェイ感でしたよね(苦笑)。
皇治 凄かったですねえ。いままでは逆やったんです。天心くんみたいに、俺がしゃべったらワーとなる感じやったんですけど。逆に燃えますよ。
――単純に、RIZINの雰囲気はどう感じました?
皇治 RIZINファンは熱い試合に乗りやすいですよね。どっちかというと、K-1は試合ももちろんですけど、選手たちがアイドル化してたというか。でも、RIZINは試合そのものを見ているという感じです。だから口も悪かったですよねえ、「天心、殺せー!」って言ってましたよ(笑)。
――物騒な野次が飛んでましたね(笑)。
皇治 なかなか、人に「殺せ」なんて言われることないですよ(笑)。
――皇治選手としては、どっちがやりやすいとかあるんですか?
皇治 RIZINってちょっとプロレスチックなところもあるじゃないですか、煽りがうまいというか。だから俺としては合うなと。オープニングもめっちゃカッコいいし、全部で楽しませる。ああいうのは自分の性に合いますね。
皇治 でも結局、皇治ワールドなんでね。試合やる前も俺で盛り上がって、試合終わってからも賛否両論あって。結局、勝っても負けても俺が話題になるんです。だから「RIZINは、皇治が来てよかったなあ」って。
皇治 ホンマは大晦日がよかったんですけどねえ。俺はずっと大晦日の放送やらを観て育ったんで。そのときも、俺はずっと「将来ここで試合をするよ」と言ってて、お袋にも「マジで部屋片付けとけ」と言っとったんですよ。「ホンマに取材に来んぞ」って。
――いつか、実家に取材が入ることも想定内だった。
皇治 お袋はすんげえ寒がりで、冬は北国にいるような格好してるんでね。「そんな格好してたら、取材来てもできんやろ」って。それに「俺の部屋も作っとけよ」と言ってたんですよ。ほんなら、今回フジテレビさんが俺の部屋を撮りたいと言って実家に来よるんでね。「ほらな」と。俺、言ったことは全部そうなるんですよ。
――じゃあ、お母さまはいま必死に片付けているところなんですね(笑)。
皇治 一生懸命やってるんちゃいますか? まあ、戦いに関しても有言実行でありたいんですけど、そこは勝負事なんでね。ただ、人生において言ってきたことはやっていきたいというのは一番思てるんで、そこはできてるかなと思います。
皇治 なんか、もったいないですよねぇ。せっかく頑張っているのに。
――もったいない……ですか?
大好評インタビュー17本10万字はまだまだ続く……