
大会後恒例!RIZIN広報の笹原圭一さんの大晦日総括23000字です!(聞き手/ジャン斉藤)
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・笹原圭一「格闘技ファンの皆さん、RIZINと朝倉未来に見事に騙されましたね!!」
――あけましておめでとうございます!
笹原 おめでとうございます!
――とはいっても、笹原さんは25年近く大晦日興行に関わってきてるから、新年を迎えた感じはしないんじゃないですか?
笹原 ボクが正月気分をようやく感じるのは、1月2日にゆっくり起きて、テレビで箱根駅伝の山登りを見ているときですね(笑)。
――笹原さんの元旦は箱根駅伝の往路5区ですか(笑)。大晦日興行の余韻があるから、なかなか正月気分に浸れないんですけど、今回の大晦日もすごかったですねぇ。
笹原 斉藤さん、はっきり言いますけど、こんなスペクタクルな格闘技イベントは世界中見渡してもRIZINだけですよ!!
――長州力以来の「スペクタクル・スポーツ」宣言! (笑)。とくにシェイドゥラエフvs朝倉未来の衝撃は……結果だけ見たら「こうなるでしょ!」と言っちゃう人もいるんですけど、想像を超える衝撃があったというか。
笹原 もちろんシェイドゥラエフの実力はみんな知ってるので「ワンサイドゲームになる」「勝負にならない」という事前予想もあったんですけど、それにしても……という試合内容でしたよね。
――腰の重い朝倉未来を何度も軽々と担ぎ上げて投げ飛ばしたりとか、ちょっと考えられない光景でしたね。


笹原 大会後に社長とシェイドゥラエフが会話しているところにたまたま同席してたんですけど、シェイドゥラエフが「なんであんなに何度も投げたのかわかりますか?」って社長に聞いてきたんです。当然社長もボクも「なんで?わからない」って答えたら、「ミスターサカキバラがいつもお客さんを楽しませる派手な試合をしてくれと言われていたので、エキサイティングになるようにいつもより多く投げました」とニコニコしながら言ってきて、2人とも口あんぐりですよ(笑)
――染之助・染太郎の「いつもより多く回しています!」。RIZINファンに届かない例えですけど(笑)。
笹原 もちろんサービストーク的な部分もあるでしょうけど、シェイドゥラエフの意識の中には間違いなく観客論やお客さんの目線というのがあるんでしょうね。
――シェイドゥラエフってもともとそういう色気があるファイターでしたっけ?
笹原 いや、それはたぶんRIZINで戦うようになってから磨かれていったんだと思います。やっぱりファンから「シェイドゥラエフ、シェイドゥラエフ!」って大歓声を浴びれば、プロとしての意識は当然変わってきますよね。
――最近興味深いと思ったエピソードはUFCで6勝1分のロシア人ファイターが契約更新されなかったんですよ。それを受けてUFC王者のマカチェフが「黙って戦って勝つだけではダメだ。WWEを勉強しなくちゃならない」と。無骨で戦闘機械的なロシア人とは思えない姿勢だなって。
笹原 それでいえば、PRIDE時代のヴァンダレイ・シウバがヒョードルに「オマエは素晴らしいファイターだけど、プロレスを見て勉強しなきゃダメだ」とアドバイスをしたことと同じですね(笑)。
――ハハハハハハハ! それでもヒョードルは無口で感情を露わにしなかったたことでキャラクターが完成されたんですけど。シェイドゥラエフはエンターテイナー性が磨かれて、こんな大一番で魅せる余裕があったと。
笹原 シェイドゥラエフを連れてきた柏木さんに「なんであんなの連れてきたんだ!」って冗談半分に言う人がいますけど、違うんです。連れてきたのは柏木さんですけど、化け物に育てあげたのは、彼に声援を送ったRIZINファンの皆さんなんですよ!犯人はアナタなんです!(笑)。
――真の犯人は、声援という水を与えたRIZINファン! ついでに柏木さんはヘビー級GP失敗もRIZINファンのせいにしそう(笑)。
笹原 シェイドゥラエフ本人も異国の地でここまで人気が出ると想像してなかったはずですよ。
――RIZINのライブ感って世界屈指ではあるから、あの熱を浴びたらいつもよりも多めに回してやろうとなりますよね。
笹原 そういうスイッチが入ってもおかしくないかなと。大晦日のベラトールとの対抗戦のときにヌルマゴがガジ・ラバダノフのセコンドとして来日したじゃないですか。第1試合から満員の会場を見てビックリしてましたからね。ヌルマゴ本人はPRIDEをリアルタイムで経験してないとはいえ、知識としては把握していたと思いますけど、あの熱狂を目の当たりにして「初めて来た異国の地で、格闘技がこんなに盛り上がっているなんて信じられない。アメージングだ!」と。
――ベラトールファイターも日本で来ると弾けるですよね。アーチュレッタもベラトールでは無口な男と思われていたのに。
笹原 アーチュレッタも日本だとフレンドリーだし、気難しいマイケル・チャンドラーも、ベラトールのスタッフから「日本だとむちゃくちゃ素直だ」って驚かれてましたからね(笑)。
――アーチュレッタをいい気にさせた犯人もRIZINファンってことですね(笑)。
笹原 まさにピグマリオン効果ってやつですね。評価されれば評価されるほど、認められれば認められるほど、本人のやる気は上がっていく。シェイドゥラエフも確固たる実力に加えて、RIZINで戦うことでプロファイターとしても成長していったと思います。
――しかし、シェイドゥラエフは全然、底が見えないですよぇ。
笹原 まだ全然見えてないですよねぇ。本当に1vs2とかやっても勝っちゃいそうですし(笑)。
――1日2試合でも普通に勝ちそうで……。
笹原 MMAという名前すらなかった頃は、ロシアで32人のワンデイトーナメントがあったんですよね。いまのファンは信じられないですけど。シェイドラエフがそのうちそういうことを言い出すかもしれない(笑)。
――ボブチャンチンが見い出された大会ですよね(笑)。ワンデイトーナメントは勝ち上がっても万全の状態で試合ができるわけじゃないから、結果に紛れが出ますよね。
笹原 トーナメントは組み合わせや運なんかも左右してくるので、ドラマチックな物語になることが多いんですけどね。普通に平場の大会でワンマッチをこなしているぶんには、シェイドゥラエフを倒すのは容易じゃない。勝利予想した選手がことごとく負けることで、悪魔の予想屋と言われる大沢ケンジさんの負の魔力をもってしてもシェイドゥラエフは負けそうにないです(笑)。
――「俺はわかる。シェイドゥラエフは絶対に負けない」と予想してほしいです(笑)。シェイドゥラエフの次の相手はどうしましょう?
笹原 本人はフェザー級で防衛戦をはたしつつ、ライト級での2階級制覇を狙ってますよね。いずれにせよ試合はどんどん組んでいきます。本人は3月の有明アリーナも、4月のマリンメッセ福岡も両方とも出たいと言ってますし、2026年も荒鷲台風が吹き荒れると思います。
――3月の試合が終わったらそのまま日本に滞在して4月も出るとか。PRIDEのミルコ・クロコップ方式で、そのあいだ都内の格闘技ジムを自転車で回る地獄の道場破り(笑)。
笹原 それ、RIZINのYouTubeで企画にしますよ!東京の格闘技ジムの皆さん、居留守は禁止です!(笑)。
――しかし、久しぶりに銭が取れる外国人ファイターって感じですよね。
笹原 PRIDEでいえば、ヴァンダレイ・シウバやミルコ・クロコップ、ノゲイラとか、イベントのアイコンになれるような外国人選手がいましたけど、RIZINではイリー・プロハースカやマネル・ケイプが近かったですけど、シェイドゥラエフが初だと思います。これからもっともっと人気が出ると思いますよ。
――試合後に病院に搬送された朝倉未来選手の容体はどうなんでしょうか?
笹原 現時点だと自宅で安静にしています。眼窩底骨折をしたそうですけど、いますぐ緊急手術が必要みたいな重篤な状況ではないようです。
――朝倉未来選手も弱いわけじゃないし、日本人のフェザー級のトップ。それが手も足も出なかったという……。
笹原 未来選手は腰が強くて簡単にテイクダウンされない自信があった。加えて一撃で試合を終わらせる打撃力も持っている。そういう選手が軽々とリフトされて投げられて上を取られて……未来選手ファンからすれば、悲願のベルトを巻く瞬間を見たいと心から願っていたんですけど、その夢をシェイドゥラエフが粉砕していったわけですからね。
――パウンドを打つたびに夢が打ち砕かれていく……こっちの心も削られていく感じがしました。SNSで「もっと早く止めろ!」という意見も出てますけど。
笹原 レフェリーは当然一番間近で見ているので、ギリギリまで未来選手が動いているかぎりはすぐには止めなかったでしょうね。あれがベストかと言われると、ワーストだとは思わないですけど、ベターだったかもしれない。すごく難しかったと思います。
――10周年のトリを飾るメインイベントだから、レフェリーにもその意識って少なからずあったんだと思いますけど。
笹原 理想論をいえば、世界中で行なわれている、あらゆる試合の重さは同じなんですよ。どの選手もそれぞれの思いを持って戦っている。どっちが深いのか、重いか、そこに差があっちゃいけないと思うんですけど、現実はやっぱり違いますよね。
――UFCでもメインイベントとそれ以外では止め方が微妙に変わってくることがありますね。
笹原 競技でありながらお客さんに観てもらって成立しているエンターテインメントの特性上、どうしてもメインイベントほうが価値として重くなるのは仕方がない。なので競技だけで思考停止するのもダメだし、エンタメに全振りするのもダメで、相反する価値観のなかでベストタイミングを見極めることを諦めないことだと思います。
――今回の試合で不幸だったのは、シェイドゥラエフがパウンドを止めた瞬間と、レフェリーが割って入ろうとしたタイミングがちょうど重なってしまったんですよね。そこでレフェリーが次の展開を見てしまったことで、試合が続いて結果的に疑念を生む形になってしまったという。
笹原 試合後もJMOCの福田さんとすぐにその話をしました。しっかり検証したいと思います。
・世界中で一番お客さんが呼べる格闘家、朝倉未来
・オープニングショーの裏側
・バンタム級の未来は後藤丈治に懸かっている?
・神龍誠は0点?
・秋元強真の挑発マイク考察
・斎藤裕vs秋元強真は「タイミングが合えば」
・最高のエンタメ、福田龍彌 vs安藤達也
・運営本部が一番湧いたのはRENAの左フック
・フライ級の最高傑作、扇久保博正vs元谷友貴
・サトシはダイレクトリマッチ?
・RIZINがPPVをやめる日
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