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北米MMAを知り尽くした男・水垣偉弥が語るポイエーvsマクレガー!(この記事はニコ生配信されたインタビューを構成したものです)


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・井上直樹はもっと手がつけられなくなります■水垣偉弥

――
水垣さん!今回は水垣さんがUFCファイトパスで解説をされたマクレガーvsポイエーについて聞かせてください。

水垣 よろしくお願います!

――
そのUFCファイトパスの実況・解説ですが……なぜか最初は水垣さんひとりで実況・解説をやられてましたよね(笑)。

水垣
 ハハハハハハハ。ちょっといろいろあって……。オンラインで収録してるんですけど、アナウンサーのオンラインが落ちてしまって。

――
ああ、なるほど。そういうトラブルがあったんですね。

水垣
 今年のUFCファイトパスの日本語解説版1発目だったんですけど。「今年もよろしくお願いします!」の挨拶をボクが言うという(笑)。

――
何かのドッキリじゃなかったですね(笑)。

水垣
 ある意味でドッキリですよ(笑)。「これを読んでください」っていうアナウンサーの台本が送られてきて、「日本語版 UFC ファイトパスをごらんの皆様……」って緊張感溢れるアナウンサー気分を味わえて。

――実況アナウンサーの方は、いつ戻ってこれるかはわからなかったわけですよね?

水垣
 はい、そうですね。だから「早く帰ってきて……」と思いながら喋ってました(笑)。

――
新年一発目からご苦労さまでした! そのUFCではマクレガーがカーフキックで敗れるという衝撃的な結末でした。水垣さんはどんな試合展開を予想されていたんですか? 

水垣
 ボクはですね、全然マクレガーが勝つだろうなっていう予想で。

――
これは貧乏神予想(笑)。

水垣
 全然エンジェルじゃないんですね(笑)。ポイエーは前回の敗戦もあるので慎重に立ち上がるけど、彼はパンチはもらうタイプなので。

――
実際にマクレガーのパンチをけっこうもらってましたね。

水垣
 ポイエーが前に出たところをカウンターで合わされて、3ラウンドくらいにボイエーがやられるのかな……っていう戦前の予想でしたね。

――実際に序盤のボクシングではこのままマクレガーがパンチで倒すんじゃないか、という感じでしたね。

水垣
 はい、そうですね。マクレガーのパンチがバカバカ当たってましたし、だいたい予想どおりなのかなと思ったんですけど。ただ、マクレガーのスタイルが変わってたんですよね。 前までは独特の構えだったじゃないですか。足幅が広くて前手が下がってて。今回は普通の……とはいっても格闘技に普通はないんですけども。表現が難しいですけど、より一般的な構えになったのかなって。入場してケージインしてシャドーをしたときから、違和感があって「これは見せシャドーなのかな」と思ったんです。

――
いままでのマクレガーとは違ったんですね。

水垣
 試合開始しても「なんか違うな……」っていう。いまのところ構えを変えた意図はわからないんですけども。ただ印象としては構えだけ見ると、いままでのマクレガーから、ちょっと普通のファイター寄りになったのかなっていう。それでもやっぱ独特の打ち方とかはいろいろあって、パンチは当たってはいたんですけど。

――
この試合だけでは判断しづらいということですね。

水垣
 はい。まだボクの中でも落とし込めてないところではあります。

――
最初はマクレガー優勢でしたが、どのへんから試合がわからなくなりました?

水垣
 ポイエーのカーフキックをカットするような仕草を見せてましたし、何回か足は流れてましたけど、あんなにガラッと展開が変わると思ってなかったです。ボクの中では「いきなり」です。足が効いていたとしても、「そこまで一気に変わるの?」みたいな感じでしたね。

――カーフが効いていたのはわかるけど。

水垣
 ちょっとまだボク自身もカーフに対した過小評価だったというか……「あ、こんななっちゃうんだ」みたいなところがあって。

――
新型コロナじゃないですけど、重症化する人と無症状で終わっちゃう人がいるようなもんなんですかね。

水垣
  KOされるちょっと前、マクレガーの足は流れてましたけど、反応はしてたし。試合を見直すと、何回か足は流れてるんですけど、そこまでなのかなあ、と。たしかに嫌がってるなって感じだったんですけど、まだ平気だろうっていうのがボクの中ではありましたね。

――
大晦日に堀口(恭司)選手のカーフキックが話題になって、「いやいや、対策はできてますよ」と言う人もいましたけど。今回のポイエーのカーフを見ても、対策はちょっとやそっとでは難しいようにも見えてきました。

水垣 SNSでカーフが大盛りあがりだったじゃないですか。「昔からある技術だよ」っていう声もありましたけど、ここまで一気に効かせたりり、有効的に使ってる選手って少なかったと思うんです。その中でですね、やっぱり同じチーム(アメリカン・トップチーム)から大舞台で2人が同じようなことをやるっていうのは、カーフを教えてる人が何かコツを持っていて、しっかり選手に伝えられているのかなって。

――カーフはもともと有効でしたけど、さらにブラッシュアップされているというか。

水垣 ATTでカーフを教えてるコーチは誰のかよく知らないですけど、その人間がスゲエなって(笑)。他のチームも研究しても使えるようになるのかもしれませんけど、チームとして一歩先に行ったような感じですかね。

――そもそも並のファイターであれば、カーフを効かせる前にマクレガーのパンチで沈んでしまう可能性もある。

水垣
 ポイエーは殴られても、顔にそこまで出さなかったですね。2ラウンドに一気に攻めたのは、自分の判断なのかわからないですけど、あのフィニッシュですからね。畳み掛ける力は元から持ってる凄さなんですけど。

――
カーフはハメ技、裏技みたくなっちゃったじゃないですか。仮に水垣さんがマクレガーのセコンドだったとして再戦をやるとなったらどうしますか?

水垣 今回もカットの動きを見せてたので、そのカットの仕方をちょっと研究して対策することプラス、これはまだ全然想像でボクの頭の中でまだまとまってはいないんですが、今後のMMAはスイッチやステップがこれからもっと重要になってくるのかなって感じがしますね。

――
たとえばサウスポーvsオーソなら前足は蹴りづらくなりますね。

水垣
 カーフを打ってくるような選手であれば、スイッチして前足をうまく変える。そうすると相手もスイッチしてきたりとか……MMAはそうやって進化していくものだと思うんですけど、ATTが一歩、先に行ってるのかなと。

――
マクレガーの敗戦で技術解析が一気に進みそうですね。

水垣
 こないだ解説の資料を作るためにUFCの映像を見てて、11月にUFCフライ級王者のデイブソン・フィゲイレードに挑戦したアレックス・ペレスっていたじゃないですか。彼はその前の試合で、ATTのフォルミーガをカーフでKOしてるんですよね。そこからATTに火がついちゃったのかなって考えちゃったんです。

――
超未確認情報ですけど、たしか堀口選手はATTの練習中にフォルミーガにカーフを蹴られたようですね。時期とか不明なのでボンヤリしてるんですけど(笑)。

水垣
 ボクも何も裏は取れてないんですけど、一人で発見してニヤニヤしてたという(笑)。去年の6月にフォルミーガがアレックス・ペレスでカーフでKO負けしたところから、物語が始まったんじゃないかって勝手に思ってるんですけど。だもしそういう流れだったら面白いなっていう。このセンセーショナルを起こしたきかっけがフォルミーガだったら、往年の修斗ファンにはたまらないですね。

――
では、「フォルミーガキック」って名づけましょう(笑)。 カーフキックはこれでまた注目を浴びるので、対策は進むかもしれませんね。

水垣  ちゃんと対策をしていかないとマズイかなーって思ってますね。カーフキックを蹴ってきた相手のスネを破壊するようなカットの仕方が生まれたらヤバいですよね。ちょっと中2病的なところはありますけども(笑)。
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