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視聴率戦争から見えたAEWの厳しくも明るい“現実”
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視聴率戦争から見えたAEWの厳しくも明るい“現実”

2021-11-01 00:00
    アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは「WWEとの視聴率戦争で見えたAEWの“現実”」です!


    <1記事から買えるバックナンバー>

    女子プロレス団体の再始動と人種差別発言



    「WWEと本当の競争をできるようになるまでは黙ってろ!」

    かつてWCWの副社長を務め、WWEと真っ向勝負を繰り広げたエリック・ビショフは、こう釘を刺す。

    「まるで女子学生が学校の校庭で、私ってかわいいでしょって吹聴してるみたいで情けない」と嘆くのは、元WCW王者のレジェンドレスラー、ブッカーT。

    二人の元WCW大物OBから、こう非難されたのは、AEWのオーナー兼CEO(最高経営責任者)のトニー・カーンだ。

    10月15日(現地時間)に放送されたWWE「スマックダウン」と、AEW「ランペイジ」両番組による視聴者数対決に“勝利”したAEWのトニー・カーンは嬉しさのあまり、このようにツイートした。

    「WWEが仕掛けてきた30分間の直接対決は、AEWの大勝利だ!」

    こう沸き立つトニー・カーンに対し、苦言を呈したのがエリック・ビショフとブッカーTだった。

    SNSでも、AEWの勝利を歴史的快挙とするAEWファンと、それを認めないWWEファンで二分される。

    WWEとAEWで熾烈なバトルが繰り広げられた「10・15金曜夜の視聴者数戦争」とはなんだったのだろうか。

    普段、WWE「スマックダウン」は、地上波のFOX局で放送されているのだが、10月15日は米プロ野球MLBア・リーグのプレーオフをFOX局で放送するため、「スマックダウン」は系列ケーブル局のFS1(FOXスポーツ1)での放送となった。

    視聴可能世帯数の多い地上波放送のFOX局に比べ、ケーブルテレビのFS1では視聴者数が大幅に減るため、WWEは特別に通常より30分延長し、午後8時から午後10時半(米東部時間)までの2時間半放送とすることを決める。そして午後10時から始まるAEW「ランペイジ」と重なる後半30分を異例のコマーシャルなしでの放送とし、裏番組「ランペイジ」に対抗する。コマーシャルなしにする理由は、コマーシャルに入ると、チャンネルを変えられてしまう可能性があるためだ。「スマックダウン」は、その特別枠30分にベッキー・リンチvsサーシャ・バンクスの黄金カードをぶつけることを発表する。

    その発表を受けたAEWは、「ランペイジ」放送開始1時間前の午後9時からYouTubeで特別事前番組「The Buy In」を無料配信すると告知し、「スマックダウン」の真裏にぶつける。そして、ブライアン・ダニエルソンvs鈴木みのる戦の“夢の対決”を、そこで配信すると発表。「ランペイジ」では、“数字を持つ男”CMパンク対マット・サイダルという、かつてのIWAミッドサウスを思わせる好カードを第1試合に持ってくることで、「金曜夜の視聴者数戦争」の火蓋が切られた。
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