多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。(この記事は11月4日にニコ生配信されたものを編集したものです)


【1記事100円から購入できる過去記事】

・西川大和UFC契約の舞台裏/RIZINマッチメイク二転三転

・平本蓮とRIZINの契約、井上直樹vs瀧澤謙太、PFLとベアナックルは美味しい?



この配信は11月6日の弥益ドミネーター聡志vs平本蓮戦の2日前に収録されたものです。平本蓮のマネジメントを務めるシュウさんが試合前はどのような心境だったのかをお読みください。



――シュウさんがマネジメントする平本蓮選手がケガを明かしたうえでRIZIN名古屋の出場をあらためて宣言しました。3週間前にケガをしたということなんですけど、試合1週間前にこうやって発表するということは、欠場も視野に入れての動きだったんですか?

シュウ これは平本くん本人が記者会見で明かしてたから言っちゃうけど、まずケガをしました。それから医者の診断を受けて、レントゲンも撮って見た結果、まあ試合はできないだろうという判断。打撃を出すために必要不可欠な「踏ん張り」がまったくできないだろうと。そこからRIZINさんに連絡しまして、RIZINさんのほうでも治療先を手配してくれまして。そうやっていろいろとやって、最終的にはRIZINさんの熱意ある交渉に平本くんが応じたって感じですかね。

――ケガはけっこう大変なんだけども、平本選手からすると、イベントに穴を開けるわけにいかないという責任感があったっていうことですかね。

シュウ 彼は記者会見ではいろいろと強気なことを言ってますけど、そこはプロ意識はありますよね。一番はじめにケガで無理だろうという診断を下されたときは「不甲斐ない」と本人が言ってたんで、そのひとことに彼の思いは集約されていたと思うんです。

RIZINさんが手配してくれたPRPや超音波の治療を受けても、折れた骨は簡単には繋がんないんですよね。それでも、とりあえずやれることは全部やろうと。これは大沢ケンジさんに言われちゃったんだけども、シュウさんは選手を甘やかしすぎだと(笑)。

――あれま(笑)。

シュウ 私は「ケガをしたら無理に試合しなくていい」と選手に言いますし(笑)。あと、これ、いい機会ですから、ここで説明したいことがあります。

一部のファンの方々、そして選手の中にも、MMAの世界でのマネジメントの立場とか仕事に関して、ちょっと勘違いしている人もいると思うんですね。

弊社は日本の芸能事務所みたいに、タレントのレッスンとかいろんなものに長々と投資して、給料を出しているわけではない、代理人、つまりエージェント業なんです。

今回のようなケースで、団体側から「なら選手と直接話させてくれないか?」と言われたら、もちろん「いいですよ」と私は言うんです。これが日本の芸能事務所だと、それはNGというと思うんですね。そこがまず根本的に違うというを理解していただきたいですし、選手側も理解するべきだと思うんです。

マネジメントやエージェントは選手の上司ではなく、伴走者、共犯者なんです。だからファイトマネーだって、マネジメントに振り込まれるのではなく、選手に振り込まれ、そこからパーセンテージを選手がマネジメントに支払うのが通常であり、MMAの世界で、マネジメントかエージェントとかジムが選手の代わりにファイトマネーを受け取ったりとか、選手の知らないところで試合や仕事を断ったり決めたり、選手の間に入って団体と話させないとか、それは全然違うと私は思うんですよね。

だから、たとえば記者会見で試合を組んでくれて団体にありがとうというのはわかりますけど、マネジメントにありがとうという感覚、これは私は違うと思うんです。マネジメントと団体とのあいだの話は「大人の話だから」とか言って、自分は入れないないみたいなことをいう選手がいるんですけど、それも違いませんか?とよく考えてほしいです。自分の人生であり「マネジメント」は自分の「エージェント」「代理人」じゃないですか、と。だから最近私はどこでも言うようにしているんですが、日本人MMA選手全員の“矢沢永吉”化を求めているんです(笑)

――シュウさんの矢沢永吉論が出ました!

シュウ 自分の当然の権利は主張しましょうよ、と。そして、これね、永ちゃんの凄いところの一つだと思いますけど、自分のためになる人たちをうまく使いなさい。これはね、話すと長くなるんで、ここでやめますが(笑)。たとえば、UFCでもPFLでもベラトールでも、窓口はマネジメント一本化は徹底してます。絶対に選手に直接連絡が行くことはありません。けど、それが新しい複数契約の交渉の過程で最後の最後まで条件で合意できなかったら? 団体は最後に必ずマネジメントにこう言います。「なら、最後に選手と直接話して確認させてくれ」と。それに対してマネジメントがノーと言える権利はないんですよね。

実例を挙げますね。ずいぶん前の話ですけど、水垣偉弥選手vsブライアン・ボウレス選手のUFCでの試合。これ、いま初めて明かすんで、本人も知らないことなんですけど、ボウレス選手のマネジメントが新しい複数試合契約の交渉をUFCとしており、それがまとまらないと試合が組めないという状況だったんです。けど交渉が決裂したんです。そのときにUFCのマッチメイカーのショーン(・シェルビー)が電話でこう言ってきたんです。「合意できなかった。だから最後のステップとして、ブライアン本人と話すからちょっと待ってくれ」と。

それで本人と話して何をどう説得したのかは知りませんが、ボウレス選手はUFCから提示された複数試合契約のオファーを受けたんですよね。で、水垣さんとの試合は成立したんです。

団体側からしたら契約しているのは選手なんだし、私からしても別に直接話されても都合の悪いこともないですし「どうぞ、話してください」ということになるんですね。

ただ、どんなことを榊原さんに何を言われても「自分が無理」という判断なら「ノーと言い続ければいい」と平本くんには言ってたんです。だけど、そこは選手が最終的に決めることですし。今回もケガは不安だけど、平本くん本人がやりたいと決めたことなので。ケガした直後は、あの強気の平本くんが前述のように「不甲斐ない」って落ち込んでいたので、いろいろと考えることがあったんじゃないですか。

――なんでもネタにするのがSNSの世界ですが、平本選手のケガがウソだと思っている人がけっこういるんですよね。

シュウ ケガは本当ですね。手元にレントゲン写真も持ってますし。ていうか、選手がケガしたときに「逃げたんじゃないか」みたいな声が一部のファンからいつも挙がりますけど、これもうね、完全に無視してもいいと思いますよ。もともと試合するのが怖い人はこの仕事を選びませんし、相手が怖いとか、勝てないと思っていたら試合は受けないです。

――そもそもイヤだったらオファーの時点で断りますよね。

シュウ これは、競技ですからね。そこらへんの街の諍いとかケンカとはまったく違うんですから(笑)。そういうことを言い出す人たちも意外と本当はそれをわかっていて、炎上させるためにとか、別の意図でそういうことを言っている確信犯的な人も多いかもしれないんだから、ぐらいの気持ちで無視すればいいと思うんです。

――対戦相手の弥益ドミネーター聡志選手だってキャッチウエイトになるんだから、ケガの状況は確認するでしょうし。平本選手がもし欠場したら代役は鈴木千裕選手だったんですかね?


『ブレイキングダウン』、RIZINvsベラトールの対抗戦も語る1万字インタビューはまだまだ続く
この続きと平本蓮、中邑真輔、猪木追悼、齋藤彰俊、石渡伸太郎、臼田勝美……などの10月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事15本」の詰め合わせセット」はコチラ

https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2129474

この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!