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皆さんは2月と6月に配信したサーバルさんゲスト配信の回をおぼえているだろうか……? キックや那須川天心のボクシング転向話を「立ち技現地観戦の鬼」が解説したものだが、外注以外の仕事の遅さに定評があるワタクシ、ジャン斉藤の体たらくぶりと、ボクシングやキックの話題の流れの速さについていけず、掲載のタイミングを逃してしまい、お蔵入り状態。しかし、あえていま放出することで味わい深いものになるのではないか――つまり、これからお読みいただくテキストは、よく寝かされたワインなのである!!(怠けぶりを棚に上げて)。合計7万字強のおこしを14000字にまとめました!
まずは2月配信のテキストです。時はK-1vsRISE対抗戦が発表された直後、那須川天心のボクシングデビュー戦正式発表前のつもりで読みましょう! タイムスリップ!!
【1記事から購入できるバックナンバー】
・キックぼんやり層に贈る「RIZINジモキック問題」とは何か■現地観戦の鬼サーバル
――最近のキックの話でいえば、K-1とRISEの対抗戦ですが、どちらかというと交流戦に近いですね。
サーバル そうですね。それぞれの団体内のカードで大箱が埋まっちゃえばいいんでしょうけど、現実としてなかなかそれは難しい。THE MATCHはお互いが団体の威信を懸けて……という面があったと思うんですけども。負けたらどちらかが傷が付くぐらいの勝負よりは、いまはお互いに刺激を与えていこうと。いままで見られなかったカードが実現することはもちろん素晴らしいことなんですけど、やっぱりTHE MATCHのときのインパクトよりは弱いのかなって感じはしました。
――まあ、THE MATCHは超レアケースですよね。
サーバル そこはファンも感覚が麻痺しちゃったのかなっていう。自分もそうなんですけど(笑)。交流は交流ですごいことなんですけど、本当に心の底から「えっ!!」という驚きまではなく。いままでは団体同士が本気でいがみ合ってきたぶん、THE MATCHのような熱のあるイベントが生まれたわけですけど、それをずっと続けていくと今度はみんながひとつの団体みたいになってしまう。私なんかはまたTHE MATCHをやるなら数年は空けてほしいなってずっと思ってたんですけど。
――いまやっても「あのときのTHE MATCH」が成立しないのは、那須川天心と武尊の2人の教祖がそれぞれ抜けたことで、K-1もRISEも宗教的じゃなくなったからだと思うんですね。あのときは那須川天心と武尊のお互いのファンも人生を懸けるくらいの熱で応援していたというか。またTHE MATCHをやるには宗教をイチからつくり直すしかないですけど、いまは新たな教祖を作り上げる作業をしていると。
サーバル いまのジャンさんの話にすごく納得します。逆に宗教的な要素が抜けて競技になったときに、もちろん注目されるカードはあるにしても、はたしてキックはあれだけの頻度で大箱興行をやって体力が本当にもつのかなって。だからこそK-1もRISEも提携してるんだと思うんですけど。私なんかは熱がなくなっちゃう中で大箱興行をやるなら、後楽園を毎回パンパンの満員にしてみんなの熱を集中させてほしいんです。いわば昔のKrushみたいな場をつくってほしいなと思うんですけど。でも、企業として考えたときに、なかなか簡単には後戻りできないんだろうし、ABEMAのバックアップもあるわけでしょうし。ファンのエゴとしては後楽園に戻って密度を集中させてやるのもありなんじゃないのかなと。
――RIZINとベラトールもそうですし、プロレスも「ゆるやかな連帯」を形成してるんですね。いまのキックはそこに近い感じはありますね。
サーバル 私自身はTHE MATCHがあってもキック界は変わらないのかなと思ったんですけど、こうして交流が始まったことで天心vs武尊が本当にパンドラの箱を開けたんだなって思いました。
――武尊選手の今後はまだ未定ですが、那須川天心はボクシングに転向しますね。
サーバル Dropkickチャンネルの配信を聞いてる人の中にはそんなにいないと思うんですけど、那須川天心の熱狂的ファンの存在が、ボクシングファンを不快感にさせてしまってる現状があるんですよね。たとえば「天心は井上尚弥を倒せる」みたいなことを平気で言っちゃうとか(苦笑)。
――平気で言っちゃうのはさすがに怒られますよ(笑)。
サーバル 中には純粋に本気でそう思ってるファンもいるんですよね。でも、それは仕方ないというか、ファンにも季節があるわけじゃないですか。私みたく春夏秋冬の季節でいえば冬の終わりで枯れていくファンもいれば、ちょうどYouTubeなんかをきっかけにRIZINを見始めて、格闘技ファンになりたての人もいるわけだから。そういう新しいファンが「天心は井上尚弥に追いつけるのかワクワクする」みたいなことを書くだけで、20年30年見てるボクシングファンは「オマエは井上尚弥のここまでの道のりをわかってるのか?」ってカリカリするわけです。
――以前は届かなかった層の見方も、SNSで可視化されちゃいますからね。
サーバル それにいまはSNSで選手本人に直接、過激なことを言えちゃうじゃないですか。私もトラブルを避けるためにスクリーンショットで引用する場合もありますけど(笑)。いまってあの那須川天心に対して見ず知らずの人が「おまえは通用しない」とかクソミソに言えちゃう時代なんで、選手も大変ですよね。
――朝倉未来がツイッターをやめるのもわかりますよね。ツイートするなら「天心vs井上尚弥、見たいなー。ただし、お互いキャリアが違うことを充分承知したうえで、もし実現したなら見たいな程度のレベルです」っていう注釈も付けないとダメってことですね(笑)。
サーバル ボクシングファン側は昔から他の格闘技に対するアレルギーが強いんですよね。逆に年配のファンがいまだにいるってことかもしれないんですけど。その手のことを書いたら私自身がボクシングアンチみたいに捉えられて、ボクシングファンから攻撃を受けたりしてまして(笑)。
――ボクシングファンからお叱りの声が。
サーバル K-1ファンからもアンチだと思われ、ボクシングファンからもお叱りを受けてます(笑)。どっちもチケットを買って会場に行ってるんですけどね。実際ボクシングファンって50代以上が多いと思うんですよね。私もそうなんですけど。
――そこに若い世代が雪崩込んできたときの衝突ですね。おそらく那須川天心ってボクシング史上、類にも見ないほどのフォロワーを外から引き連れてボクシングにくると思うんですね。となると、ボクシングというジャンルのしきたりを知らないファンが入り込んでくるわけですよね。
サーバル 那須川天心にアレルギーがあるボクシングファンはやっぱりいます。私がたまたま見たツイートは、天心のデビュー戦は寺地拳四朗の世界戦と一緒だけど、天心のほうが試合順はあとなんじゃないか……という憶測があって。そうしたら「もし天心の試合があとだったら、自分は試合を見ないで帰る」と。
――カ、カテエ!
サーバル それはその人の心情だから、べつにいいんですよ。ただ、ここまで期待されている天心が、どんなボクシングするのか見ないで帰るというのは、それこそボクシングに対する信仰心が……。
――まさしく宗教ですよね。
サーバル そうなんです。K-1ファンの中にはなくなってしまった強い信仰心がボクシングファンにはあるんだって気付いたので、そういうふうに書いたら、よく思わないボクシングファンからいろいろとリプライをもらったりもして(笑)。それはべつにボクシングファンを不快にさせたいってことじゃなくて、そういう現象があるって言いたいだけなんですけども。私はキックファンでもあり、ボクシングファンでもあるんですが、天心のボクシング転向ってある意味でキック界からボクシング界へのプレゼントだと思ってるんですよ。
――いちばんおいしいときにボクシングに出荷したというか。
サーバル これだけのプレゼントなんだから見るぐらいはしてもいいのに「自分は断固として見ない」「一生見ない」的なことまで書く人がいたりするんです。
――そこは世界戦なのに、超目玉の那須川天心と抱き合わせにしなきゃいけない興行的状況を憂うべきだと思うんですけどね……。
サーバル ボクシングはやっぱり清く正しく美しく、貧しくてもちゃんと筋道を立てて選手は上っていくことが大事だと捉えているので。「なんで世界チャンピオンのあとに天心が出てくるんだ」「納得いかない」っていう人たちはキックファンよりは多い。ボクシングの歴史がそうなっちゃってるんで仕方ないんですけど。ただ、天心がボクシングに行くことによって得してるのはボクシング界なんですよっていうことをすごく言いたいんです。でも、そういうことをちょっと書くと過敏に反応する人がいて(苦笑)。
――「プレゼントなんかじゃない!」と。これはボクが昔から唱えている「ボクシング兄さん、弟のキックやプロレスに冷たすぎ」問題なんですけど。ボクシング兄貴は、自由気ままにやってる弟のプロレスやキック、末っ子のMMAに対して「俺はオマエらとは違ってな……」と小言が多いんですよ(笑)。なんでこんなに厳しいかといえば、自分たちにも後ろめたいものがあるのかなと。やっぱりボクシング兄貴を見習ってきてるから悪いところも受け継いでいる。だからこそ「俺はオマエたちと違うって」って言いたいんだろうなって。
サーバル そこはプライドはありますし、信者化するってことは熱狂的なファンがいる反面、過激なファンを生むということですよね。
――ボクシングはいまだに巨大な宗教というか。質問がきてます。『天心選手のデビュー戦はどれくらいのレベルの選手がいいと思いますか』。
サーバル デビュー戦なので普通に6回戦になりますが、すぐ8回戦に行くような勢いのある日本人、新人王上がりと組んでもらうのがいいとは思うんですけど、デビュー戦でそこまでは求められないのかなと思うので。
――様子見できるレベルの相手ですよね。
編集部注☆デビュー戦の相手は日本バンタム級2位の与那覇勇気でした。
サーバル 私は「何戦目かで世界チャンピオン」に拘るのはやめたほうがいいと思ってるんで、徐々にキャリアを積ませてほしい。帝拳ジムだからムチャなことはさせないのかなと思いつつも、天心は厳しい目にさらされてるんで、どの相手と組んでも「なんだよ」ってボクシングファンから絶対に文句を言われると思うんですよ。ただ、よく考えてください。私はアマチュア上がりの6回戦デビューをよく見てますけど、「相手のタイ人の実力を見ましたか?」ってすごい言いたいんです。
――チェーンナップファイトで育てていくわけですね。
サーバル そういう試合をちゃんと見てる人は、天心のデビュー戦の相手がもし勢いのある日本人なら「このレベルとやるんだ!」って評価してくれるんですけど……。天心にただ文句を言いたい、ボクシングに乗っかって文句を言うだけの層だと「天心、こんな弱い日本人とやりやがって」「天心を勝たせようとしている!」って絶対に言われるんですよ(苦笑)。
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ボクシングなんて手しか使えないなんちゃって格闘技であることがバレた今、キックや総合から降りてきてもらった側の行き遅れ格闘技(?)なのにボクシング関係者やファンが自覚してない痛い格闘技(?)になったな。宗教で言うならキリスト教やイスラム教では無くてその辺のカルト宗教と一緒。仮にチャンピオンが総合格闘技で試合をしても高校生グラップラーにすら負ける雑魚格闘技でしょ。見る方もやる価値もない。ボクシングのクソさと衰退が良く分かる記事でした。