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大会後恒例の笹原圭一RIZIN広報インタビューです。今回はRIZIN北海道を11000字で振り返ります(聞き手/ジャン斉藤)
・斎藤裕、石渡伸太郎が生き抜いた“冬の時代”のマネジメント術■遠藤正吾【22000字】
――RIZIN北海道大会はナンバーシリーズを超えるくらいの話題性があったんじゃないかなと。
笹原 試合はどれも激闘でしたし、ゲストも豪華でしたよね。アリスター・オーフレイムと朝倉未来、そしてクマが現れるイベントはRIZINだけですよ!
――クマも「We are RIZIN!!」と叫んでましたか(笑)。RIZIN初開催となった北海道大会はチケットがバカ売れたことで増席されたそうですね。
笹原 めちゃくちゃ売れました。おかげさまで満員御礼です。ここまで売れた理由を考えると、代々木や有明大会の余熱や、超RIZIN2への期待感みたいなものも追い風になっているんだと思います。
――つまりRIZINというブランドに熱がついてきたってことですよね。
笹原 そうです。こういうときって、なんかやたら「俺がRIZINを動かしてますから」みたいなことを吹聴する人が増えるんですよね(笑)。
――ハハハハハハハ! そういう人が増えるのは面倒くさそうですが、ブームの副産物みたいなものですよね。
笹原 パチンコでリーチの前に演出がざわつく感じですね(笑)。で、今回は地元選手も売りやすかったでしょうし、なによりそうした手売り以外に普通にプレイガイドで売れましたからね。
――クレベル・コイケ、ヤッチくん(矢地祐介)、梅野源治、シュレックさんとか知名度のある選手が揃ったうえで、地元選手が出れば足を運びやすいですよね。
笹原 でも、ここまでの反響は予想してなかったですね。北海道でMMAの大きなイベントは初めてですから。
――前田日明が「なぁ~にを偉そうに! リングスもね、やってるんだよね。だいたいススキノの夜はね……」って感じで葉巻をくゆらせながら説教されますよ!
笹原 あぁ、たしかにリングスもやっていますし、K-1ジャパンも1回やってますけど、純MMAイベントは初ですよね? まぁRIZINが純MMAイベントかどうかは議論がわかれるところですけど(笑)。
――シンガポール方面の方は「RIZINはエンタメ」と言ってますよ(笑)。
笹原 敬意、慈悲、誠実さ、謙虚さを持ってその言葉をありがたくちょうだいします(笑)。でも今回の北海道は格闘技未開の地ではあったので本当に客入りの見当がつかなかったんですけど、今回の成功に気をよくして調子に乗ってまた来年もやると、たぶん失敗するんだろうなぁって思ってます。
――プレミア感がなくなるとダメってことですねぇ。
笹原 そうです。北海道と沖縄は1年置きぐらいでやるのがちょうどいいんじゃないかなって思っています……と言いつつ調子に乗って来年も北海道大会をやっちゃうのがRIZINなんですけど(笑)。
――北海道大会をYouTubeで無料ライブ配信することは最初から決まっていたんですか?
笹原 当初は普通にPPVで販売する想定でしたけど、7月の超RIZIN2をU-NEXTさんで独占配信することが決まったことや、RIZINの公式YouTubeの登録者が100万人を突破したことを受けて、無料で開放しようと。
――注目度は高くて常時接続で30万人突破してましたね。
笹原 あの日のYouTubeライブでは世界1位の数字だったらしいです。その数字もRIZINのブランドが強くなってるという証左だと思います。
――大会数日前に会場のあった公園内にクマが現れたことで、公園自体が一時的に閉鎖されたじゃないですか。クマのせいで中止になるかもしれないって前代未聞の出来事ですよね(笑)。
笹原 最初にこのニュースを聞いたときに、クマで中止になったらそれはそれで面白いし、RIZINヘの注目度がムチャクチャ増すんじゃないかって不謹慎なことを考えたんですよ(笑)。
――興行をやりすぎて普通じゃ興奮できない身体になってますよ!(笑)
笹原 まぁでも真面目な話、すぐに会場関係者や警察・自治体とも話をしたんですが、中止になることはないだろうと。「気をつけて開催してください」って感じだったんです。もちろんいろいろな対策を講じてですけど。でも、かなりの大騒ぎになったので、地元のテレビ局が当日取材をしたいと。来場したお客さんの声を聞きたいって連絡があったんです。
――夕方のニュース番組なんかでありがちなやつですね。
笹原 今後の北海道開催のためにも取り上げていただくことはプラスじゃないですか。なので「主催者のコメント取りをしてくれるなら、お客さんへのインタビューはOKですよ」って交換条件を出したんですよ。
――そういういやらしい交渉、笹原さん得意そうですよね(笑)。
笹原 まぁ否定はしませんけど(笑)。で、試合当日の社長はリング上でタイトルマッチの認定宣言やベルトのお披露目をやるためにタキシード姿だったんですけど……結局クレベルの計量オーバーでセレモニー自体がなくなってしまった。でもテレビ局からすると「この主催者、コメントも撮影しろって言ってくるし、テレビに映るからってタキシードって、やたら気合いが入ってるな……」って変に思われたかもしれません(笑)。
――「そういうわけじゃないんです!」と(笑)。アリスター・オーフレイムも来場しましたが、あれってたまたま観光に来てたんですよね
笹原 はい、120%観光です。「RIZINと交渉か!?」なんてニュースになってましたけど、話題になるから放っておこうと(笑)。
――ハハハハハ! クマとアリスターの無料プロモーション(笑)。
笹原 アリスターは息子さんと来日してまして、自分が格闘家として生まれ育った日本という国を見せたいってことでした。RIZIN事務所に挨拶に来たので北海道大会に招待したって流れなんですよ。
――これがきっかけでアリスターのRIZIN出場はありないんですか?
笹原 まぁなくはないと思いますけど……ほら、アリスターってお高いじゃないですか(笑)。
――さっき自信満々に「RIZINのブランドが強くなってる!」って言ってたじゃないですか!(笑)。まあ、でも実際には高額ファイトマネーの回収カードが思いつかないですよねぇ。
笹原 でも、面白いもので、アリスターの件がニュースになったことで、レミー・ボンヤスキーからRIZIN事務所に電話があったんですよ。
――「戦う銀行員」からも電話が!
笹原 そうなんです。でもウチの若い社員が電話を取ったんですけど、いかんせん、いまの若い子たちって、レミーとかもう知らないじゃないですか。「笹原さん、英語で『お盆にスキー』とか言ってる人から電話がかかってきてます」みたいな感じなんですよ(笑)。
――ハハハハハハハ! アンデウソン・シウバも日本でラストファイトをやりたいってことで、日本の団体と交渉してるそうですけど。実際に接触してるんですか?
笹原 たしかに代理人なんかを通じて話は来ていますけど……ほら、アンデウソンってお高いじゃないですか(笑)。
――ハハハハハハハ! それらのニュースを受けてクレベル・コイケも海外向けのインタビューで「RIZINはアリスターとアンデウソンと交渉している」とコメントしたことで、日本のファンは「やっぱり事実だったんだ!」という情報ロンダリング化してて。
笹原 まあ、話題になることはいいことなので放っておきます。こんなこと言っておいて「アンデウソン・シウバvs平本蓮が決まりました!」とか発表するのがRIZINなので(笑)。
――そろそろ本題に入ります。メインのクレベルの計量オーバーですけど、その予兆はあったんですか?
笹原 いつもどおりでした。前日の写真撮影のときで残り4キロちょっとくらいだったので、まぁいつも通りの感じだね、みたいな会話をしていたんですよ。
――RIZINはお客さんの前で「公開計量」をやっていますけど、あれはいわゆるパフォーマンス計量なんですよね?
笹原 そうです。実際の「公式計量」は午前11時から14時までのあいだにクリアすれば、オーケーというやりかたなんです。
――14時を1秒でも超えるとアウト。
笹原 クレベルは14時まで残り1時間半ぐらいであと800グラム。汗をかけば落ちる体重なんですけど、その時点で汗がまったく出ずにカラッカラだったんですよ……。
――うわあ……。
笹原 その後もサウナに1時間半入っても汗がほとんど出なかったみたいで。残り10分で測りにきたんですが400グラムオーバー。クレベルはもうヘロヘロで、泣き崩れていたんです。
――こうして制限時間を超えたので計量失敗と……。
笹原 はい。そのあと対戦する鈴木千裕選手サイドにクレベルが体重オーバーしたことを伝え、試合をやるのか、やらないのか。やるとしたらクレベルが勝っても記録にならないいわゆるノーコンテストルールでやるのか、みたいなことを話したわけです。つまり選択権は千裕選手にあるってことです。
――計量オーバーの対応は団体によってまちまちです。海外の団体ではオーバーした選手がファイトマネーから10~30%の罰金を払うシステムもありますよね。
笹原 RIZINにももちろんそういう規定はあります。ただ、それが選手全員に対して抑止力になるかといえば難しいんですよ。だって選手によってファイトマネーが違うわけじゃないですか。たとえば100万円と10万円の選手がマッチメイクされたとして、10万円の選手がオーバーしたとします。10万円から10~30%もらっても相手は嬉しくはないし、オーバーしたほうだってそこまで痛くない。だったら確信犯的にオーバーしてもおかしくないですから。
――UFCだと罰金を課して、キャッチウエイトでやることが多いですけど、あきらかな確信犯は多いですね。
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断罪するだけなら、こんな楽なことはない
いまのSNSってまさにこの空気
笹原さんのドロップキックインタビューは毎回ユーモアとインテリジェンスにあふれてて好きです
キャンドルジュンの花束贈呈は笑っちゃう!
どことも独占契約をせずにU-NEXT、ABEMAと天秤にかけつつ旨味を探るスタイル。社長を筆頭に今のRIZINの強みは駆け引き上手な所なのかもしれませんね。
白か黒か、善か悪か、好きか嫌いかの二元論はつまらない。勉強させて頂きました。