多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!今回は20000字でお送りします!(聞き手/ジャン斉藤)
――8月の「UFC日本人祭り」が始まりましたね(この原稿は8月3日に取材したものです)。
シュウ そうですね。昨晩も2人(平良達郎、中村倫也)がしっかり勝ってくれてよかったですね。ただ、平良選手はかわいそうだったよね、対戦相手が変わっちゃって。
――ランキング4位のアルバジがメディカルチェックが通らず、急遽パク・ヒャンソンとの対戦することになって。
シュウ 完勝だったからいうわけじゃないですけど、やっぱり実力差がありすぎたじゃないですか。アルバジとやって勝っていれば、タイトルショットがもっと強調されたと思います。
――パク・ヒャンソンは期待の選手とはいえ、ランカー外の評価であるってことですね。
シュウ 3連勝してるとはいえランク外の若い選手ですし。たぶん他の選手にもオファーしたけど、断られたんだと思いますよ。それだけ平良選手は警戒されているファイターってことなんですけどね。
――パク・ヒャンソンは本来この試合の1週間後にスティーブ・エルセグとの試合が決まってたんですけど、エルセグにもオファーはあったみたいです。ヒャンソンも何度も断ったけど、最終的に受けたと。
シュウ マッチメーカーが何回交渉してもダメだったから、現場責任者のハンター・キャンベルがヒャンソンに直接電話して頼んだみたいですね。
――メインイベントとはいえファイトナイトのカードにハンター・キャンベルが出張ってくるのは、よっぽどのことですよね。
シュウ あのメインイベントを飛ばすわけにはいかなかったし、彼は現場が切羽詰まっているときしか出てこないですからね。最終的にはお金や契約内容で物を言わせたと思うんですよね。契約をやり直したというのは聞いていたんで。彼のマネジメントがいろんな条件をつけたのかもしれないですね。やっぱり無理をしてくれた選手には配慮するってことですね。平良選手も相手がどうであれ、タイトルマッチのレールには乗ってるとは思いますけど、次の試合をどうするかですね。
――フライ級王者パントージャは12月にジョシュア・バン相手に防衛戦をやるんですけど。その次のタイトルショットとなれば、かなり試合期間が空いちゃうんですよねね。
シュウ そこまでもう1試合やるとなれば、やっぱり強いランカーとの試合になるから、そこをしっかりと乗り越えなくちゃいけないってことですよね。中村選手も良い勝ち方をしたし、すごく評価が上がったんじゃないかなと思います。いままでにない武器で勝ったじゃないですか。
――三日月蹴りで決めましたね。
シュウ 新しい武器を身につけたことで評価も変わってきますよね。あんなインパクトのある勝ち方をしたのに5万ドルのパフォーマンス・ボーナスが出ないのはかわいそうですよ。
――たしかに5万ドルの手応えですよね(笑)。中村選手はこれでUFC3勝目ですけど、初フィニッシュでいい勝ち方だったので、またすぐに試合が組まれる可能性は高いですね。
シュウ サイクルとしては次の試合は12月か1月くらいですけど、ケガしてないと思いますし、アピールすればすぐに組まれるんじゃないですかね。今回ボクが知りたいのは、UFCを配信するU-NEXTの視聴数がどれくらいあったのかってことですね。
――8月のUFCは風間敏臣選手のエイペックス、鶴屋怜選手の上海(この配信後、怪我で欠場することが発表)もあるし、数字が比較されてますね。
シュウ そうなんですよ。そこが試合結果の次に気になるところです。
――U-NEXTからUFCにデータは送られるでしょうし、それによって日本市場の戦略がまた変わってくる。ちなみにこれまでU-NEXTの格闘技コンテンツで一番数字を取ったのは、ぶっちぎりでパントージャvs朝倉海みたいです。
シュウ RIZINで活躍した朝倉海選手や堀口(恭司)選手は長いあいだジャパンでキャンペーンしてたわけだから、日本で数字を稼ぐのはあたりまえなんですよ。メジャーリーグだって、日本で大活躍していた選手と、それなりの活躍だった選手とでは注目度が違いますよね。野球ファンではないんで、この比較論が正しいかどうか定かではないですけど、一昔前なら、松井秀喜選手と松井稼頭央選手とでは、日本での報道も違ったじゃないですか。
――同じ松井でも扱いは違いましたねぇ。今度の朝倉海vsエリオットと、他の日本人選手の数字の違いは知りたいですし、その数字の落差ってRIZINファンが見てるかどうかじゃないかと。
シュウ そうなんですよね。そこでUFCを見ているコアなファンの数も知れますし。
――U-NEXTって月額2189円でなんでも見れるわけじゃないですか。RIZINのPPVは5,000円近くしますけど、日本人が誰も出ていないUFCエイペックスやPFLとどっちの数字が上なんだろうなと(笑)。
シュウ RIZINのPPVは、RIZINでもやってるし、ABEMAでもPPVがあるから、いろんなプラットフォームでやれている強みがありますよね。
――昔はテレビの視聴率が公開されてモノサシになってましたけど、いまはブラックボックスになってますね。
シュウ いまってもっと詳しくデータがわかってるはずなんです。何分見てやめたかとか全部わかる。見せていただきたいくらいですけどね(笑)。
――このあいだUFC7勝1敗のヘビー級ファイターが契約更新してもらえなかったんですけど、判定勝ちが多かったので、あらゆる数字の面からと商品として扱えないという判断を下したのかなと。
シュウ あとはそのファイターに何か問題があったかですよね。モカエフ選手も無敗だったのに問題が多すぎるということでハンター・キャンベルに切られちゃったから。今度風間選手の試合でラスベガスの現場に行くから、そこでいろいろ聞いてみようかなと。こういうのってメールで聞くことではないじゃないですか(笑)。
――シュウさんはラスベガスのあとに日本に来るんですよね。
シュウ そうですね。そのとき井上直樹選手と一緒にRIZIN事務所に行って今後のお話をしなくちゃいけないので……。
――井上選手は福田龍彌戦で契約満了なんですよね。その話はあとにするとして……超RIZIN4はもちろんご覧になったんですよね。

シュウ はい。時差があるのでニューヨークだと朝まで起きて見る感じです。マネジメントしている選手が勝ったら最後にビールを飲むんですけど、今回ビールを飲んだのは朝8時ですからね(笑)。
――大変だ(笑)。今回の超RIZIN4は試合数も多くて長かったですよね。
シュウ 長いですねぇ(笑)。でも、UFCと違って飽きさせないようなエンターテイメント感はありますよね。
――UFCの長さとはまた違いますね。UFCの場合は最初から見なくてもいいという構成で。
シュウ だからUFCってプレリムのときはお客さんが入ってなかったりするんですよね。RIZINの場合は格闘技がそこまで好きじゃない人でも見ていられるエンターテイメント感があるんじゃないですかね。
――演出を工夫したりとか。
シュウ そうです。今回の超RIZIN4もオープニングセレモニーが2回もあったじゃないですか。ボクの場合はマネジメントしている神龍誠選手の試合もあったから、初めから最後まで見てたんですけど、4部構成みたいに分けられていてストーリー性がありましたよね。
――フライ級GPの神龍選手は山本アーセンに見事な一本勝ち。
シュウ 神龍選手はすごくいい勝ち方をしてくれましたね。ただ、ボクはアーセン選手のこともよく知ってるからね。ニューヨークに来たときにウチの子供とよく遊んでくれたし、すごい良い子なんですけど……。
――あっさり極められすぎましたね……。
シュウ しかも自分のコーナーまで持っていって、テイクダウンしてこれから……ってときですからね。
――神龍選手がうまいってところはあるんでしょうけど。
シュウ そうだと思います。とくに序盤だと汗もかいてないからハマっちゃうと抜けにくいんですよ。
――神龍選手は勝ったんですけど、2回戦に進出できるかどうかは『フライ級GP総選挙』の結果次第で。フライ級GPは8人制から急遽10名制に変更されましたが、どう思いました?
シュウ まあ、この件に限らず選手と話をするんだけども、行き着くところはもうこれがRIZINってことですよね。
――This is RIZIN(笑)。
シュウ RIZINが作ってる舞台、ステージ、世界がこれ。RIZINのやり方が不満だったら他の団体と契約するしかないんですよ。それに落選した選手の救済プランが明確になってて、納得できるものだったからいいんじゃないかと思ってました。落選しても試合は用意されて、ちゃんと稼げるわけですし。「試合ができる=ギャランティがもらえる」ってことですからね。
――落選してそのまま試合もできないんだったら残酷すぎるけど、救済プランは存在するわけですね。それでも落選はしたくないとはいえ(笑)。
シュウ たとえばリザーブに回されて1回勝ったら次はタイトルマッチが用意されるとか、いろんなパターンを考えられると思うんですけどね。
・MMAはトータルマストのほうが合っている
・井上直樹はRIZINか、UFCか
・商品価値のためにもフィニッシュが必要
・「UFC中毒」に陥ってはいけない
・北米MMA大恐慌の足音
・ONE財務表の見方
・RIZINのせいで日本の格闘技が衰退している?……2万字の大ボリュームの続きはこのあとへ
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