多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!16000字でお送りします! この原稿はニコニコ生放送で配信されたものです(聞き手/ジャン斉藤)
――MMA業界の裏側や最前線のお話をうかがうシュウ・ヒラタさんのMMMマシンガントーク。まずは『RIZIN男祭り』の感想からよろしくお願いします!
シュウ アメリカでもコアのファンのあいだでは『RIZIN男祭り』は話題になってましたよね。野球場レベルの会場でやれる団体は世界的にもなかなかないですからね。ただ、試合よりも榊原(信行)さんのあのふんどし姿にインパクトがあった人が多いかもしれないですね(笑)。
――ハハハハハハ。オープニングの衝撃がすごかったと(笑)。アメリカでは、ふんどしでお尻を出すことはどういう風に捉えられてるんですか?
シュウ これが20~30年くらい前だったら、お尻を出すのはちょっと無礼だみたいな空気があったかもしれないですけど、いまはそういう感じではないですね。日本には相撲なんかの文化があることを知ってる人は知ってる。知らなかったら、いまの時代はChatGPTですぐ調べられますから。
――AIによって一瞬で国境を超えるわけですね。
シュウ たとえば若い子とトランプサポーターの政治を巡る口ケンカを聞いてると、若い子はすぐにAIから証拠を出してくるわけですよ。それで議論を進められると年上の人間は「どうせ、それはAIだろ」とキレる(笑)。若い子たちはなんでもその場で調べるわけじゃないですか。切り取りの時代になっちゃってるし、榊原さんのふんどしもショート動画で流れるから、そのインパクトがあったんじゃないですかね。
――いくらUFCでもスタジアムをあれだけ埋めることはなかなか難しいですよね
シュウ そうなんですよ。やっぱりアメリカにもアンチUFCファンがいるんです。そういうアンチのコメントやリアクションを見たり聞いたりしていると、「APEXなんて倉庫で戦っているのと変わらない」「倉庫と野球場、どっちがいいと思っているのか」みたいに批判するんですよ(笑)。
――日本のファンが考えている以上にAPEX開催のUFCって評判が悪いですよね。ガレージファイト扱い。
シュウ やっぱり音楽やライブスポーツの良さって、ファンのリアクションもあって盛り上がるわけじゃないですか。APEXだと実質スタジオマッチだから、その興奮を味わえなくなってしまうので。
――それは配信組も画面越しからでも会場の熱気を感じたいわけですね。
シュウ スポーツ中継に必要なのはライブの盛り上がりですからね。APEXはそこがかなり欠けちゃってる。
あと、これ余談になりますが、APEXの試合が選手たちのあいだでも評判がよろしくないのは「大観衆の前で試合をできない」ということもありますけど、他にも一つ理由があるんです。契約上、約束されている「4枚の招待券」が出ないんですよ。これに関して選手側からのブーイングがあり、去年かな。その選手の試合だけ見れるということで、4枚出ることになったんですけど、1試合だけ見たら、もう出て行かないといけない。つまり入れ替え制の席ということなんですよね。
――それはなんだかなあ……って感じですねぇ。
シュウ RIZINの東京ドーム大会に関していえば、心配されてたのはカードですよね。平本(蓮)選手の欠場によってインパクトが薄くなった。いまだから言えますけど、RIZIN内部でも3万人埋めてもダメだという声があったみたいです。できれば4万、5万じゃないと見栄えも良くならない。
――3万人でも充分すごいんですけどね(笑)。
シュウ でも、最終的に及第点に届いたんですからすごいですよね。
――平本選手の欠場が決まって、朝倉未来の対戦候補だったYA-MANと鈴木千裕がそれぞれ負けた瞬間、成功の目はないかなと見てたんですけど……。
シュウ そこはRIZINのブランド力や固定ファンがいて、朝倉未来選手に引っ張られてきたインフルエンサー系のファンがうまい具合に絡まったってことですね。それだけ、いまのRIZINというブランドには勢いがあるということなんじゃないでしょうか。
――RIZINはマッチメイクにいろいろと苦労して、一時期は堀口恭司vs井上直樹も検討したぐらいで(笑)。まあ堀口選手はUFCと契約しちゃったし、直樹選手は香川大会の元谷裕貴戦でケガをしたから、どのみち難しかったんですけど。RIZINはあの手この手でドーム成功を手繰り寄せようとしたと。
シュウ 朝倉選手の相手は千裕選手に落ち着いたわけですけど。ボクは平本選手のマネジメントとしての立場もあったので、ここで千裕選手が勝っちゃったら、平本選手のうまみが1つなくなっちゃうなと思ってたんですよ。
――つまり朝倉未来との再戦というスーパーカードが消えると。
シュウ そうなんです。ここで未来選手が負けてしまったら、仮に再戦をやっても盛り上がるのか?と。
――朝倉選手が負けたら現役続行もどうなるかわからないですよね。
シュウ でも、未来選手が勝ったことで再戦すれば確実に盛り上がりますよ。ファイトビジネスの感覚からすると未来選手にはサンキューベリマッチということなんです(笑)。千裕選手も連戦が続いてたし、大変だったと思いますけど、そこは勝負の世界ですからね。
――再戦はいつやるのか。いろんな選択肢がありますよね。大晦日なのか、あらためて東京ドームなのか。
シュウ フェザーでいえば、シェイドゥラエフ選手がニューチャンピオンにつきましたよね。シェイドゥラエフ選手ってPRIDEの時代でいえばヒョードルですよ。RIZINさんが世界で勝負できるカードなんですけど、アメリカでは思ったより評価されてないんですよね。
――それはある意味でいいことですよ。だってUFCに引っ張られてないってことだから!(笑)。
シュウ だけど、あのレコードだったらRIZINさんとの複数試合契約が終わったら、マネジメントの鉄則としてはUFCにアプローチはしますよね。本人が試合後明かしてましたけど、すでにクレベル戦前にUFCからのアプローチはあったみたいですし。UFCはどんな条件を出すのか。いまの榊原さんだったら意外と張ってマッチングしてくれるんじゃないかと。
――RIZINがけっこうな条件で引き止めると。
シュウ UFCは他の選手のファイトマネーのつりあいを考えたときに、シェイドゥラエフ選手にはそこまでいい条件を出してこないと思うんですよね。
――正直シェイドゥラエフに10万ドルを提示するかは微妙ですよね。
シュウ 本来のセオリーだったらありないです。でも、そこでUFCが10万ドルを提示した場合、RIZINさんは20万ドルを張ってくるんじゃないかなと。なんの根拠もないんですけど(笑)。
・井上直樹“契約最終試合”の相手は誰か
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・RIZINに近づくPFLの落日
・北米のフィーダーショーは死に体か……16000字の続きはまだまだ続く
コメント
コメントを書くベイノア選手のlfaの件に関しては、ジャンさんも配信で結構変なこと言ってたような。