――ティム・エリオットvs朝倉海はリアルタイムでご覧になったんですか?
水垣 はい。そのあとにも何回か見ました。海選手は1ラウンドはいい感じで戦っていて「勝てるかな」と見てたんですけど。終盤にテイクダウンされたじゃないですか。流れが変わっちゃうかもしれないな……とは思いました。で、2ラウンドになって打撃の流れが悪くなったところでテイクダウンされて極められてしまったので。思ったよりあっさりテイクダウンされちゃいましたねぇ……。
――1ラウンドの後半のテイクダウンはハイキックを掴まれてのテイクダウンですよね。2度目とは違ってクリーンテイクダウンではないけど、そこから打撃の流れは変わるもんなんですね。
水垣 エリオットが寝かせちゃったあと、朝倉選手は抑え込まれたまま動けなかった。そこでエリオットが何を感じたのか?ですよね。打撃で朝倉選手のほうが分があったわけだから、組んで寝かせれば「なんとかなる!」って気持ちが強くなったのかもしれないんですよ。
――ああ、なるほど。スタンドでもなんとか凌いで組もう……と頑張れるわけですね。
水垣 エリオットは組めばなんとかなると思った。逆に朝倉選手も組まれるのは嫌がるし、そうすると打撃が出しにくくなったりすることで、試合の流れが全然変わるんですよね。あのテイクダウンで何かされたわけじゃないけど、精神的に影響があったんじゃないかなと。あの1ラウンドは海選手が取ったんですけど、イヤな雰囲気を感じましたね。
――変な話ですけど、あそこでハイキックを出さずにテイクダウンされてなかったら、2ラウンドの展開も違ったかもしれないってことですか?
水垣 全然変わったと思いますね。1ラウンドの打撃の流れのまま次のラウンドに入れたと思いますし。もちろんどこで試合が動くかはわからないんですけど、2ラウンドの入りは違ったんじゃないかなって思いますね。それまでがすごくよかっただけに、流れが変わっちゃいましたね。
――実際、2ラウンドになってから変わりましたよね。海選手の手が出なくなったというか……。
水垣 スタンドの流れも少し変わったし、エリオットが前に出てきましたよね。1ラウンドはエリオットが下がってる展開が長かったんですけど、2ラウンドは逆に朝倉選手が下がるシーンが多かったので。
――エリオットは「組めば、なんとかなる!」と前に出てきたと。
水垣 ただ、エリオットって特別にテイクダウンが強い選手じゃないんですよね。どうやってテイクダウンするのかなと思ったんですけど、わりとサクッと一発で取れちゃったことが気になりましたねぇ。
――なんで簡単にテイクダウンされちゃったんですか?
水垣 うーん……まずエリットが朝倉選手の打撃を怖がってないところがひとつ大きい理由ですよね。朝倉選手のパンチ力ってかなりあると思うんですよ。「これは食らったら倒れるな」と引いちゃう選手と、逆に前に出られる選手。エリオットは前に出てテイクダウンすればいいと覚悟を決めた。
――引いたら、やられるだけですし……。
水垣 そのときに「寝かせちゃえば、なんとかなる」という心の支えがあれば、前に出られるし、テイクダウンを常に狙っていた。だからあのタイミングでパッと取れたんだと思うんですよね。
――エリオットはある程度、被弾しても前に出るぞと。
水垣 そこのメンタルはけっこう大きかったんじゃないですかね。
――朝倉選手ってテイクダウンをされる印象はそんなにないんですけど……階級をフライに下げた影響もあると言われてますが、どう思われますか?
水垣 それも考えられますよね。エジソン・バルボーザ
がフェザーに落としたときも腰が軽くなった気がしたんですよね。ジョゼ・アルドがバンタムに落としたときも同様に
感じたので、階級に適応する時間がかかるのかなって。そもそも体重自体が軽くなるんで、以前より踏ん張れなかったりするとは思うんですよね。
――海選手はフライ級2戦目ですけども、まだしっくりきてない可能性があるわけですね。ギロチンチョークのフィニッシュに至るまでの流れはどう見ましたか?
水垣 ギロチンを巻かれたときの対処が一歩遅れたし、相手を抱えた判断がまずかったかなって。あれだと首をケアできない。デメトリアス・ジョンソンがこのシーンを解説してましたけど、「ボクがジョセフ・ベナビデスにギロチンをやられたときの対処法をすればよかったんだ」と。相手の腰の下に手を入れながら押して緩めて、中の手で首も解除する。中に手があったほうが逃げやすいんですよね。朝倉選手は手を抜いて外から抱えてしまった判断がミスでしたね。
――朝倉選手はそういったデフェンス技術が身についてないのか、それともあの状況の中で判断をミスってしまったのか。
水垣 いや、もう判断をミスったと思いますね。朝倉選手はたぶん練習でもそんなにテイクダウンされないと思うんですよね。試合でもああいう戦い方をされた経験はそこまでないこともあって、一瞬の判断が遅れてミスに繋がったというところですかね。エリオット相手にどういう対策をしてきたかはわからないですけど、ギロチンが武器の相手とやるときは、そこも想定はするとは思うんですけど。実際にはうまく対応できなかったということですね。
――1戦目のパントージャはチョークが得意。エリオットもギロチンが得意という情報をわかっていながらその罠にハマってしまったと。
水垣 わかっているからこそ対策はやってきたと思うんですけど。パントージャに関してはバックを取られないことは徹底してたように見えて、そのうえで取られちゃったんで。そこはしょうがないというか、準備していたけど技量の差があったなという印象なんですけど。
――パントージャがうまかった。
水垣 パントージャが上だなっていう感じがしましたけど、今回に関してはどうなんだろう。朝倉選手はどちらかというと、「テイクダウンされないで打撃を当てる」ということにフォーカスしてたんじゃないかなと。テイクダウンされずに打撃でやりきる。そこの練習に注力してたんじゃないかなって試合を見てて思いました。そこでパッとテイクダウンされちゃったことが致命的なミスに繋がったんじゃないかなと。
――寝技の対策は練ってきたけど、テイクダウンされずに打撃で倒すことがメインテーマだった。そんな海選手からすれば判断ミスをしやすいシチュエーションになってしまったっと。
水垣 1ラウンド目にテイクダウンされたときにそのまま抑え込まれたじゃないですか。残りの時間は少なかったですし、「このラウンドは取ってるだろうな」っていう感触があったからかもしれないですけど、わりと抑えられたまま、とくに何もしなかったんですよね。
――ラウンドは取っているし、無理に動く必要はないと。
水垣 もっと動いてもよかったんじゃないかなって思ったんですよ。で、2ラウンド目にテイクダウンされたときはある程度時間は残ってるし、ラウンドを取ってる手応えはなかったから、そこでスクランブルして上を取り返して……というのが頭だったと思うんですよね。だけど、朝倉選手はスタンド勝負の準備に時間を割いていたような気がしましたねぇ。
――2戦連続一本負け。31歳という年齢的にも技術的な向上は望めるんでしょうか。
・朝倉海の契約がネックか
・バンタムでもフライでも茨の道
・海選手は寝技を怠けてるわけではなく…
・平良達郎は荒々しさが出た
・スラムされる前に離さない理由
・井上直樹がUFCに行くのはいまか
・セコンドを選ぶのは選手本人の責任…14000字インタビューはまだまだ続く
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